詩人調査 (松本圭二セレクション 第7巻)

  • 航思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906738311

作品紹介・あらすじ

詩の生成、詩人の誕生――

小説家志望の青年が詩を書きはじめるまでを綴った「あるゴダール伝」。
元タクシードライバーの詩人で、かつてはテロリスト志望だったと思しき男が、
PCモニター上に現れた宇宙公務員の質問に答えていく「詩人調査」。
詩とは何か、詩人とは何か、そして詩人にとって詩とは何かを描く2篇。
(栞=寄稿:金井美恵子、著者解題)


では、『海を見に行け』は不発弾だったのか。
それはまだわからない。
ひょっとしたら、それを偶然手にした一人一人の読者の内部で、すでに小爆発を起していたかも知れない。
そして彼自身や彼の友人や恋人を海に連れていったかも。
しかし、その程度の爆発で権田さんが満足するはずもない。
20年後の今でも、『海を見に行け』は東京の古本屋の暗がりで大爆発の時を待っているはずだ。
――「あるゴダール伝」

わたしはね、東京では結局、一度も海を見ていないんです。
不思議ですよね。
海は近くにあるはずなのに、うんと遠い気がしていました。
ですから『海を見に行け』という詩集には、
便所に流したニョロニョロが下水を渡って海に出るというイメージが色濃くあったかも知れない。
あるいは神田川に棄てた『チェーホフ爆弾』がどんぶらこと流れて
海まで運ばれていくイメージとか。
――「詩人調査」


※「詩人調査」は文芸評論家・斎藤美奈子さんが朝日新聞で、2010年小説ベスト3の一作として選んだ作品です。

著者プロフィール

松本圭二(まつもと・けいじ)詩人、フィルム・アーキヴィスト。
1965年生まれ。四日市市出身。早稲田大学第一文学部中退。
2006年、『アストロノート』で萩原朔太郎賞受賞。
他の詩集に、『ロング・リリイフ』『詩集工都』(ともに七月堂)、
『詩篇アマータイム』(思潮社)、
前記詩集を含む「松本圭二セレクション」全9巻、『松本悲歌』(ともに航思社)など。

「2022年 『老犬 その他の詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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