沈黙する知性

  • 夜間飛行
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本棚登録 : 97
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906790364

感想・レビュー・書評

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  • ご恵投いただき一気に読了。ありがとうございます。対談で話されているお二人共、顔と声を知っている。のですが、どっちが言っているのか何度も見直したくらい、口調が揃っている。対談ぽくなく読める。ただ、読みながら、自分に向けた本じゃないんだという感触がずっとあった。昔話を面白く聞けない。子供を作らないのは成熟を恐れていると言われて、いや金がないからだって統計出てるじゃないすか。それでも子を生んだ母親が貧困に喘いでるじゃないですか。自分は、その人らを同胞と思うし、救いたい。救われたい。かっこいい大人と信頼して、自分は五十手前で非正規雇用をやっている現在を思うと、「何にもならなかった」という疲労感がくる。教えを生かせなかったんだと。「自業自得」だと(言われたんです、直に)。世代間闘争にするな、はごもっともである。けれど、彼らのことは結局わからないし、こちらのことも彼らに決してわからないんだ。生きる力の湧く希望の書ではなかった

  • 対談なので読みやすいと言えば読みやすいのだが内容はなかなか難しかった。
    特に私は吉本隆明をほとんど読んでないので、吉本隆明について書かれた部分は「ふーん」としか読むことができず悲しかった。


    "内田 (略)実際には、人間はどんな状況にも結構すぐ適応できるんだから、新しい環境に身を置くこと自体はたいした問題じゃない。でも、環境に適応する過程でその環境を支配する社会規範が内面化して、自分という人間自体が変わってしまう。その「自分が変わること」への不安と恐怖がなんだかあるように見えるんだよ。" 145ページ

    "平川 (略)吉本やイシグロがやったことは長い時間スパンのなかで、当事者たちが機縁によって導かれてしまうことになった不幸から、いかにして彼らの個人的な倫理を救い出すことができるかということだったんじゃないかと思うんだ。そうすることでしか、国や個人が過ちに導かれていく道筋は見えてこないと思っていたんじゃないかと思う。" 331ページ

  • 架橋する対談、読み終えてそんな風に思った。なんに対して橋をかけるかといえば、吉本隆明とか小林秀雄といった名前は知っているけれど、あまり読んだことのない人たち。まぁまったく読んだことがないわけでもないんだけど。最近の報道とかSNSとかを含めた世相に対する内田氏と平川氏のだべりではあるんだけど、そこで言われていることには背景がある、というのが肝かな。その肝か、彼らの読んできたさまざまな思想家、評論家であるという気がしたんだよね。だから、本書で言われている内容以上に、その拝啓となった人たち、カミュとか江藤淳とか伊丹十三とかね、読んでみたいと思ったな。いや、読まなくては、とね。

  • 19/11/19。
    12/3読了。

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著者プロフィール

内田樹(うちだ・たつる)
1950年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『「おじさん」的思考』『街場の憂国論』(共に晶文社)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)、『街場の戦争論』(ミシマ社)、『困難な成熟』(夜間飛行)、『困難な結婚』(アルテスパブリッシング)、『そのうちなんとかなるだろう』(マガジンハウス)、『生きづらさについて考える』(毎日新聞出版)、編著に『転換期を生きるきみたちへ』『街場の平成論』(共に晶文社)など多数。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞。

「2020年 『しょぼい生活革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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