ローカリズム宣言―「成長」から「定常」へ

著者 :
  • デコ
4.18
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本棚登録 : 154
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906905164

作品紹介・あらすじ

守るべきは「お金」よりも「山河」。あなたは、これからこの国で、どう生きるか?

感想・レビュー・書評

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  • 都会から田舎に移住した若者として、感覚的に感じていたことや自分の中でぼんやりと考えていたことが、資本主義の流れを中心に具体的に言語化されていて、読んでいて自分の移住の決断や、ローカルに働くことの意味を感じることができた。とても役立った。手元に1冊置いておきたい。

  • 読みやすい。
    市場経済か、経済成長主義から、人間性を取り戻して、定常経済へ。
    私も人間らしく生きたい、生きよう、と思える、新年に相応しい本でした。


    第一章では、人間性をなくしていく人間たちの様を認識し、砂漠で生きてるんだな、不毛だ、喜びがない、と感じて悲しくなっていく。

    『経済成長が止まった社会でなお無理に経済成長を続けようとしている人たちは、それが中世への対抗であると言うことに気づかないほど狂っているのです。』p33

  • p.274 資本主義市場経済での企業活動が「大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄」という「成長と人口増」を自明の前提としたモデルである以上、つまり、「人口減」という局面をまったく想定していない以上、人口減があるレベルを超えた時点で、システムそのものが大きく崩れることは避けがたい。
    ☆定常状態といえども、常にエネルギー流入を必要とする。定常成長モデルとは言えないだろうか。

  • 普段は小説ばかり読んでいるので、たまには違うものをと思い手に取って見た一冊。いわゆる都会から田舎暮らしを始めようぜ!という本とは異なります。

    元々、流行り廃れよりも自分の気に入ったものを長く使いたい・常に成長を求めるような上昇志向の高い人たちを前にすると疲れてしまう自分には内田さんの提唱する「定常」という考え方は合っていると感じました。

    ・好きだと思った点
    自分たちの集団を構成しているのは、今ここにいる人たちだけではなく死者やこれから生まれて来る後世の人たちも含まれているという考え方

    いわゆる常に成長やランク付けを求め、グローバルに出た自分を誇り、日本に残る人々を嘲笑う人へお皮肉的な目線

  • 非常に有益な本だと感じました。
    以下、自分が特に関心を抱いた場所をピックアップしました。
    1. 「人間の身体が消費の限界」という示唆も誰もが分かっているはずなのに忘れてしまっている(あるいは考えないふりをしている)、それを超えるための金融であり、これまで手に入れたものを全てなかったものにするための兵器であることは自明ですね。全ては資本主義を延命させるための過ぎないということですね。

    2. また「藩を自治体の基礎にするというアイディア」も示唆に富んだ面白いものだと思いました。結局のところヨーロッパのカトリック諸国の行政単位となるコミューンとは違って、日本の廃藩置県ではかなり形式的に行政区が分割されてしまったということなんでしょうね。なので150年たった今も都道府県が地域住民のアイデンティティになり得ていないと。

    あと一応世間的には若者と呼ばれる年齢として(笑)、 「若者の直感」という魅力的なキーワードが頻繁に出てきたのは良かったです。
    大事なところが多過ぎてメモにノートを何ページも使っちゃいました。

  • 内田樹のローカル生活のススメ。他人との競争ではなく、共存を目指す。生活のミニマム化、シンプル化、助け合い精神などで地方での生活に移行する流れがある。将来、自分の身の丈に合った暮らしをしたい自分にとっては、良い指南書になりそう。

  • 自分が志向してて、友人が実践している生活「田舎で暮らし、自然を保護しながら自然資本に生かされる里山生活」の現代における歴史的・経済的意義を明快に示してくれた書。

    ローカリズム宣言とは、成長モデルに基づく資本主義経済・グローバリゼーションから脱却し、定常モデルの経済に移行し生きていくことの高らかな宣言である。
    定常モデルに生きるということは、フローではなくストックを維持し、活用することで生きる糧を得ることであり、各人が個性を発揮して共同体を維持し、自然や伝統、文化、社会を保全するというサステナビリティを実現することである。
    現在の地方移住という動きは、この、成長モデルから、定常モデルへの脱却の運動である。

    筆者は、成長モデルと定常モデルを対比する中で、次の様な事柄を論じていく。
    ・資本主義、株式会社という等価交換に基づく制度は万能ではなく限界がある(効率化による雇用の喪失や環境保全のコストの外部化による環境の悪化など)。一方、顔の見える・持続的継続的なやり取りをベースにした小商いが経済モデルになるということ。
    ・共同体とは、没個性の人間の集まりではなく、寧ろ多様な個性の発揮により危機に強い形で維持されるということ。
    ・現代において、地方移住し定常モデルで生きるということは、直感に従って冒険することであり、『やりたいことはやる、やりたくないことはやらない、以上』という生き方であること。
    ・サステナビリティを発揮するには、成長に対する嫌気、資源の有限性に対する危機感だけでは成立しない。これらに加えて、初与の条件として贈与を受けた自然資本や社会、文化を次世代に反対給付するという使命感があって成立すること。

    定常モデルへ踏み出す上で気になる、食べていけるか?コミュニティに入れるかが、懸念点になっていることも、本書を読んで改めて気づかされた。自分はすっかり成長モデルで頭ががちがちになっていて、人間関係ですらも、等価交換的な価値観になっているからだ。また、自炊すらせず、消費することに慣れ過ぎているからだ。
    だが、自分の求める「自然に生かされ自然を守り生きること」、「人と人のつながるということ」を目指した「自然と人の共存」、「人と人の共存」をみずから体現するのは、正に定常モデルに生きることに他ならず、地方移住したい自身の理由を気づかせてくれた。

    このことは、東日本大震災の時のボランティア経験を通じて都市生活は持続的ではない、脆いと感じた自分の直感にも合致していて、ここまで分かりやすく、腹に落ちる説明に出会えたことは僥倖である。

    自分は、スーパーシステムとして自然を破壊する成長モデルに抗うことと、自ら定常モデルにて生きることの両方を実現したいと思う。
    前者については、2019年現在、仕事を通じてうまく対応ができなかった。今後どんな形で、関わっていくかを模索したい。
    後者については、人として必要なものを提供するという命題において、自分のできることを見つけ出したいと思う。

  • 全編を貫く思想は「脱グローバル資本主義」である。さまざまな場面で齟齬や矛盾を明らかにしつつあるこのシステムから、どのようにして「生き延びていくか」ということについて、多くの示唆に富んだ提言がなされている。

  • ★★★2019年1月レビュー★★★

    非常に読み応えのある本だった。


    「成長」から「定常」へ この本のサブタイトルにもなっているが、重要な考え方だと思う。
    衣食住の満ち足りた状態でさらに成長を目指すのであれば。本来は売り買いすべきでないような教育・医療・水道などの生きていくために必要なものまで市場で売買する仕組みを作るしかない。恐ろしい事だ。


    このような資本主義の危機を敏感に感じ取り、地方を目指す人々が日本で同時多発的に発生している。僕は移住はしていないが、地方移住に共感を覚える。
    「廃県置藩」という文化的区分によって自治体を運営すべきというのも面白い。


    豊かな自然を守り、人と人とのつながりを大切にし、お金に頼らない暮らしをする。藻谷氏の『里山資本主義』にも書かれていることだが、社会を持続可能なものにするための有効な選択肢だと思う。

  • ポストグローバリズムの一つのかたちとしてのローカリズム。その価値と必要性を描き切った一冊。資本主義社会から「前向きに背を向ける」生き方の提案は、今の私も含め若い世代に刺さるのではないか。
    日本という国のアップデートが叫ばれる中、ウチダ先生のように「定常」の価値を提唱する方の存在は尊い。
    同じ左派でも経済成長を目指すグループもあり、脱成長戦略は批判されることもあるが、それだけ建設的な議論の呼び水となるとても良質なたたき台なんだと思う。

    特に大学から私塾へのコペルニクス的転回の箇所は必読の価値あり。地域や同好に根ざしたコニュニティのかたちは、それこそウチダ先生の凱風館のような古き良きかたちか、今流行りのオンラインサロンか、両極端なかたちをとって発展していくような予感がする。

    この本を触媒にして、コルク佐渡島庸平さんの『WE ARE LONELY BUT NOT ALONE』を読むと面白そうだ。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。思想家、エッセイスト。2007年『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、10年『日本辺境論』で新書大賞2010を受賞。11年伊丹十三賞受賞。著書に『寝ながら学べる構造主義』など。

「2021年 『武道論 これからの心身の構え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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