ローカリズム宣言―「成長」から「定常」へ

著者 :
  • デコ
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906905164

感想・レビュー・書評

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  • p.274 資本主義市場経済での企業活動が「大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄」という「成長と人口増」を自明の前提としたモデルである以上、つまり、「人口減」という局面をまったく想定していない以上、人口減があるレベルを超えた時点で、システムそのものが大きく崩れることは避けがたい。
    ☆定常状態といえども、常にエネルギー流入を必要とする。定常成長モデルとは言えないだろうか。

  • 普段は小説ばかり読んでいるので、たまには違うものをと思い手に取って見た一冊。いわゆる都会から田舎暮らしを始めようぜ!という本とは異なります。

    元々、流行り廃れよりも自分の気に入ったものを長く使いたい・常に成長を求めるような上昇志向の高い人たちを前にすると疲れてしまう自分には内田さんの提唱する「定常」という考え方は合っていると感じました。

    ・好きだと思った点
    自分たちの集団を構成しているのは、今ここにいる人たちだけではなく死者やこれから生まれて来る後世の人たちも含まれているという考え方

    いわゆる常に成長やランク付けを求め、グローバルに出た自分を誇り、日本に残る人々を嘲笑う人へお皮肉的な目線

  • 非常に有益な本だと感じました。
    以下、自分が特に関心を抱いた場所をピックアップしました。
    1. 「人間の身体が消費の限界」という示唆も誰もが分かっているはずなのに忘れてしまっている(あるいは考えないふりをしている)、それを超えるための金融であり、これまで手に入れたものを全てなかったものにするための兵器であることは自明ですね。全ては資本主義を延命させるための過ぎないということですね。

    2. また「藩を自治体の基礎にするというアイディア」も示唆に富んだ面白いものだと思いました。結局のところヨーロッパのカトリック諸国の行政単位となるコミューンとは違って、日本の廃藩置県ではかなり形式的に行政区が分割されてしまったということなんでしょうね。なので150年たった今も都道府県が地域住民のアイデンティティになり得ていないと。

    あと一応世間的には若者と呼ばれる年齢として(笑)、 「若者の直感」という魅力的なキーワードが頻繁に出てきたのは良かったです。
    大事なところが多過ぎてメモにノートを何ページも使っちゃいました。

  • 内田樹のローカル生活のススメ。他人との競争ではなく、共存を目指す。生活のミニマム化、シンプル化、助け合い精神などで地方での生活に移行する流れがある。将来、自分の身の丈に合った暮らしをしたい自分にとっては、良い指南書になりそう。

  • 全編を貫く思想は「脱グローバル資本主義」である。さまざまな場面で齟齬や矛盾を明らかにしつつあるこのシステムから、どのようにして「生き延びていくか」ということについて、多くの示唆に富んだ提言がなされている。

  • ★★★2019年1月レビュー★★★

    非常に読み応えのある本だった。


    「成長」から「定常」へ この本のサブタイトルにもなっているが、重要な考え方だと思う。
    衣食住の満ち足りた状態でさらに成長を目指すのであれば。本来は売り買いすべきでないような教育・医療・水道などの生きていくために必要なものまで市場で売買する仕組みを作るしかない。恐ろしい事だ。


    このような資本主義の危機を敏感に感じ取り、地方を目指す人々が日本で同時多発的に発生している。僕は移住はしていないが、地方移住に共感を覚える。
    「廃県置藩」という文化的区分によって自治体を運営すべきというのも面白い。


    豊かな自然を守り、人と人とのつながりを大切にし、お金に頼らない暮らしをする。藻谷氏の『里山資本主義』にも書かれていることだが、社会を持続可能なものにするための有効な選択肢だと思う。

  • ポストグローバリズムの一つのかたちとしてのローカリズム。その価値と必要性を描き切った一冊。資本主義社会から「前向きに背を向ける」生き方の提案は、今の私も含め若い世代に刺さるのではないか。
    日本という国のアップデートが叫ばれる中、ウチダ先生のように「定常」の価値を提唱する方の存在は尊い。
    同じ左派でも経済成長を目指すグループもあり、脱成長戦略は批判されることもあるが、それだけ建設的な議論の呼び水となるとても良質なたたき台なんだと思う。

    特に大学から私塾へのコペルニクス的転回の箇所は必読の価値あり。地域や同好に根ざしたコニュニティのかたちは、それこそウチダ先生の凱風館のような古き良きかたちか、今流行りのオンラインサロンか、両極端なかたちをとって発展していくような予感がする。

    この本を触媒にして、コルク佐渡島庸平さんの『WE ARE LONELY BUT NOT ALONE』を読むと面白そうだ。

  • 現代社会の見方の一つとして。若い人たちは、直感的に分かっていることなのかも? 中途半端な世代の人は、特に読んでおいたほうがいいかもしれない。って内容でした。

  • ポスト資本主義の時代に必要なのは相互支援、相互扶助の共同体を作ること。そこには金で交換するものはない。
    危機を生き延びるために設計された集団は「単独では何の役に立つかさっぱりわからない人たち」を大量に抱え込んでいる。これが鶏鳴狗盗という四字熟語の意味である。今の日本は同じような人間ばかりになっているので、

  • う〜〜〜ん
    コメントしづらいな

    これからの日本の行方を語っているというか...
    ↑に向けての本能的動きとして地方とか規模縮小とか...
    身の回りの手の届く範囲でのある種の豊かな生活とか...
    ってことなのかなぁ〜?

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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