- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907053277
作品紹介・あらすじ
いまから学んでも遅くはない。
一日でも早く、あなたと、新しいことばで、話がしたい
イ・ラン(ミュージシャン、映像作家)
あなたには、自分を守る義務がある。自分を守ることは、口をひらき、声を上げることからはじまる-
2016年にソウル・江南駅で起きた女性刺殺事件をきっかけに、韓国社会で可視化され始めた女性嫌悪、性差別の問題。本書は差別問題を語る時、女性にこれ以上の苦痛や我慢を強いることを防ぐべく企画された日常会話のマニュアル書です。
著者は外国語大学で通訳・翻訳を学ぶ、韓国のフェミニスト。本書は独立系の新興出版社から発売され、韓国フェミニズムムーブメントのきっかけになった話題の本です。日本でもジェンダー関連のニュースが絶えないなか、フェミニズムテーマの小説、翻訳書の刊行が続いており、これまでになく女性問題への関心が高まっている今、お隣の国、韓国の状況にもぜひご注目ください。
感想・レビュー・書評
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「82年生まれ、キムジヨン」と併せて購入、読了。
2冊とも新刊で贅沢をしたけど、買って良かった。
本書はセクシストに対してどのように身を守り、声をあげるか、かなり具体的な方法を示して教えている。
こう聞かれたらこう答えよ、と明確に書かれている。誰からも教えてもらえなかった著者が、悲しくも実体験で学んだことを鋼の心で纏め上げ、世に出した勇気と決意の一冊だ。
時は2019年の現在でも、私はフェミニストである、と大きな声で言うのは勇気がいる。面倒くさい女だ、と思われたくない、事を荒だてたくない、物分かりのいい女と思われたい。
けど、決死の覚悟で権利…(それは、安全や自由)を掴んできた彼女らの功績にはあやかりたい。
もう、そんなのダサすぎると思った。
30歳もすぎて、社会の一角を担っているのに、そこの責任を放棄して「誰かがやる」のを待って甘い汁だけ吸おうなんて、そんなの都合よすぎると思った。
いざと言う時、わたしが「それ」に直面したとき、姉や、同僚、すれ違った女性、わたしより若い女性たちが「それ」に直面した時、毅然と戦わなくてはいけない。必ずやひとりにさせないで、一緒に立ち向かわなくてはいけない。
そのために持てる武器が言葉の剣なら、それを磨いておこうと思う。たとえどんなに苦手でも。それは私の義務だから。
それに気付けただけでも、十二分に読んだ価値があった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校の時に読もうとしたときには、差別の構造も知らなかったし筆者の主張が強すぎる・偏っていると感じて途中で読むのをやめた。だが今回読んでいると納得する部分が多くて、そこに対する共感は女性差別だけでなく他の差別・抑圧の事例に触れたからなのか。
女性差別だけでなく、様々な場合において適応できる会話法だと感じ、参考になる部分が多かった。
人と話している中で、相手の意図がはっきり見えなくて、それにより知らないうちに自分の心が疲弊している場合がある。そういうことを防ぐための解決にもこの本は役立つ。
自分が弱い立場にいる場合に他の人とどう話すか、という視点で書かれていて、もちろんその面で勉強になる部分も多かったが、同時に、自分が弱い立場にいる人と話す際にどういったことに気を付けるべきか、本を読む前よりも見えるようになった。 -
著者の書き方が優しくて胸が張り裂けそうな想いで読みました。女性やその他のマイノリティの属性がある方には共感できることが多いと思います。
委員長は男、副委員長は女 と決められている時代に生まれたので、これは当たり前と思って生きて知らないうちに諦めていたんだなと気付きました。
なんか失礼だけど指摘するほどでもないかとうんざりしていたことがハッキリする本です。たぶんこの文章をキツいと思う人はまだ時代に取り残されていますね……
全ての女性のためにももう少しだけ強気で生きていこうかなと思います。優しい人だけ大事にしろよな!!!!!!!!!!!
心が強くなりますし、お薦めですよ フェミニズム初心者は読むべし -
2020年5月
読み終わった後の高揚感といったら!
こんな力強い言葉で女性嫌悪と闘える人がいるんだ思うと勇気が湧いてくる。
「あなたがフェミニストを自任していても、一度ミスをすればその瞬間、「オマエのどこがフェミニストなんだ」と叩かれるでしょう。まずはできていないところから見てやろうという視線が注がれるのです。」
これは本当にその通りだと思う。
フェミニズムと言うと自分はさも一家言ある人間であるかのように細かな"指摘"を繰り返す人多いよなぁ。 -
買って正解の本。これからは私もフェミニストと名乗って、生きていこうと思いました。
「話すのを決めるのはあなた」等という言葉がありがたかった。セクハラに遭っても、折り合わなければいけないという思いがどこかにあったけど、そんなことないんだと勇気づけてくれた。
「82年生まれ キム・ジヨン」の解説本として、セットで読むのがおすすめ。 -
韓国で起きた江南駅事件、
日本で起きたコンクリート詰め殺人事件、小金井ストーカー殺人未遂事件、女子トイレの盗撮カメラ、街中のキャットコール、痴漢
全部の事件が同じ線の上にあるということ
経験したことがないから分からないというひとに、わかるまで教えてあげるのは、わたしの義務ではない
口先では知りたいといいながらその場所から一歩も動かず、ただで説明を求めるような相手に教えてあげる義理もないよ
本や映画、漫画、ドラマでもなんでも、追体験できる手段はいくらでもある
この本を読むまでは気づけなかった
苦しかった2年前のわたしに早く教えてあげたかった本 -
本書を読んだら、話が噛み合わない男友達との会話が、掲載されているセクシストとの会話例にそのまま当てはまり、ショックだった。
ここに書かれているような返しを咄嗟にできなかったことは悔やまれるが、話を中断するという選択をとらざるを得なかった過去を自分の中で少し許せた気がした。
女性差別的振る舞いを正す責任は、そもそも女性ではなく、真摯に学ぼうとしない男性本人にある。 -
セクシスト的な人への対応の仕方マニュアル。
男性に対して丁寧に説明する中で古傷に塩が塗り込まれるような感覚になるから、一般の女性が、「それについては話したくない」という選択肢を当然持っていることに光を当てたのはよいと思う。
もし本当に社会を変えていくなら、女性全員がこの語り口でバサバサ斬っていくのはあまり得策ではない気がした。一般女性はこの書にあるような言葉で心身を守りつつ、活動家たちが男性やセクシスト向けに丁寧に説明していくことは必要だと思う。対立を深めるのではなくて、権力者側にいる男性の中に味方を作っていくことこそが社会を変える元になると思うので、その努力は必要。女の言うことは聞かなくても、同じ男から言われたら説得力も増す。
毅然とした態度を取ることと喧嘩腰になることは違う。私たちにはことばが必要、で、そのことばは平等と平和の礎になるべきものだ。その場で身を守るためのことばはこの本にたくさんあるが、本当に良い社会を築くためのことば、対話することばは別にある気がする。
ルサンチマン感が強い。