へんしん不要 (SERIES3/4 6)

著者 :
  • タバブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907053437

作品紹介・あらすじ

心も体も防御力低め、四季折々の不調にやられ、挨拶代わりに「元気?」と聞かれるとちょっと困ってしまう。落ち込みがちな日々をつづり、宛先のない手紙を書き続けた二年間。書くことで見つけた、あたらしい景色と生きる自信。
「またいつか、お手紙出します。ままならないことばかりの日々はこれからも続くでしょうが、それまでどうぞご自愛ください。元気でいてもいなくても、なるべく気を楽にして、伸びやかに暮らしてください。へんしんは、不要です」

感想・レビュー・書評

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  • 深夜に誰かが話しているラジオに耳を澄ましているようなエッセイ。読んでいると心が静かになってくる感じ。

  • 元気でいたいことと元気になることは違うし、なんかどうしようもなく何もかもが手につかないこともあってそんな自分に自己嫌悪もしてもっと辛くなってみたいなこと最近よくある。無性に泣きたくなってでもわたしは泣けなくて、誰かがこうやって言葉にしているのを読んで代わりに泣いてもらってる気になる。気を張らず少しだけ頑張って穏やかに暮らせますように、わたしもあなたも。

  • 辛くて気持ちが晴れなくて、なかなか気持ちが切り替えられなかった時の自分にかけてあげたかった言葉がたくさんあった。

    人の痛みや辛さを想像することができる人になりたいし、もっと優しい世界になったらいいなと思う。

  • 自分の生きづらさは、ほかの誰かもどこかで共感し得るものだと思ってる。私自身が、誰かの生きづらさを書いた文章を読んで共感しているから。

    防御力が低い、すぐにHPが無くなる、生きづらさを抱えながら生きるひと、あるあるなのかもしれないが、それをすっと文章に起こしてくれることが本当にありがたいと思う。そういうひとの言葉は優しくて、やっぱり温かい。

    どこか社会にはうまく合わなくても、世渡りが下手くそでも、そういう優しさをもつひとの文章に触れると、安心する。

    生きづらさを抱えながらも生活はなんとかやり過ごす。そうやって生きている人はいっぱいいて、私もその一人だから。

  • 餅井さんからのお便りという体のWEB連載時間から楽しく読んでいたものが一冊に。一冊になるとやっぱり嬉しい。

    今年は望外の喜びもあった一方で、辛い事、しんどい事もあった。未だにその事を考えると悲しさに襲われる。

    心も体も防御力低め、四季折々の不調にやられ、挨拶代わりに「元気」?と聞かれるとちょっと困ってしまう。

    というダウナーな餅井さんは、それでもなんとかやっていますというお便りを重ねてくれる。
    サニーデイサービスの『青春狂奏曲』みたいだ。最近ほそっちはどうだい? と気になったら、用がなくてもLINEすることにしてます。

    『へんしん不要』を読んで、ぼくもぼくで1日1日を重ねて、毎日をなんとか生きていこうという元気をもらえた気がします。
    あと、お便りって良いなぁと思いました。

  •  著者デビュー作。肩の力を抜いて読みたい本だ。

     宛名のない、日記のような手紙。所々で語られているのは、自身の無力さであったり、気紛れな身体や精神の変調であったりする。
     ままならないことばかりの日々。ままならない生。けれども自身のままならぬ本性、内面と相対しながら現前する外界へ、自分の弱さを織り込みながらも現実に向き合っていく。自身の内面性から出発して、世界の多様性を見出すことさえできる。

     「世界にはあらゆる形の痛みやよろこびがある。私やあなたはたった一人の人間でしかないから、そのすべてを得ることはできないし、またすべてを得ずにいることもできない。同じように、この世界には信じられないほどたくさんの問題があるけれど、世界を生きる全員が、あらゆる問題の当事者となることはできません。それでも、問題を抱えた誰かの近くに座標を動かすことはできる。それを可能にする力のことを私は『想像力』と呼ぶのだと思います」(pp.134-135)

     内面性は他人のまなざしのもとで公的なものとなり、一つの文学ジャンルとなる、と語ったのはメーヌ・ド・ビランについて語るアンリ・グイエだったけども、この内省の哲学者ビランに準じる資質を餅井さんは備えているのかな、と思える。

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著者プロフィール

1993年宮城県生まれ。ライター。食べること、性、ままならない生活についての文章を中心に書いています。連載に「妄想食堂」(wezzy)、自主制作冊子に『食に淫する』『明け方の空腹』など。『へんしん不要』が初の単著となる。

「2020年 『へんしん不要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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