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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907053451

作品紹介・あらすじ

2020年春、新型コロナウイルスの流行により激変した私たちの日常。感染者・死亡者は日に日に増加し、経済活動は停滞、コミュニケーションも制限された。この未知なる状況の中で、人々はどんな生活を送り、何を思ったのか? 作家、漫画家、ミュージシャン、店舗経営者......日本および世界各地で暮らす17人が、コロナ禍数ヶ月の日々を記録した日記アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年8月に出されたものなんだけど、あの時、皆どんなことを思って生活していたのかが急に気になって、読んだ。(強いて言うなら、目当てはニコ•ニコルソンさんかな……)

    円城塔さんの日記では、高確率で同じ本を読んでいて、なんとなく辿っていっている思考のようなものにまで触れられた気がした。
    定期的に来る、母親からの父親一周忌お知らせメールは、笑っていいのかいけないやつなのか、ちょっと難しい。

    アメリカやヨーロッパに住んでいる日本人筆者の日記では、自分たちが急に差別の対象となったことへの気持ち悪い違和感が書かれていた。
    同時に、星野源のMVに対する怒りのコメントもかなりの割合で入っていることに、驚いた。
    私には、どこからどこまでが呑気の範囲で括られるのか、よく分かっていない。

    さらに自分に想像力がないなと思ったのは、ワンオペ育児と書いている人の日記だった。
    この時期に、新生児を抱えて日々過ごすことの不安や神経質な思いの一端を知った。

    振り返ると、マスク不足で不安に思っていたことは、随分前のことのようにも思う。
    検温とアルコール消毒はもはや日常で、目の前に立てられたアクリル板のせいで、向かいの人が何を話しているかも、もう聞こえなくなった。

    そんな世界でも、相変わらず私は、誰かから見ると呑気な生活を送っていて。
    そしてその誰かは、世間を社会を恨んで絶望して、今にも生きることを諦めかけているかもしれない。

    見えないことを推量することの意味は、結局、見えることには敵わないのだろうか。
    無力にも、ただ問うことを繰り返している。

  • 【大塚英志氏書評】コロナ禍を理性的に過ごす人々の記録|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20201212_1618799.html?DETAIL

    コロナ禍日記 | タバブックス
    http://tababooks.com/books/coronadiary

  •  コロナウイルスが世界を覆う中、様々な立場の人によるコロナ禍における日記のアンソロジー。毎日テレビやネットでコロナについて連日報道される中、どうやって毎日を過ごすのか?と生活に向き合う期間はこれまでなかなか無かったと思う。声の大きな人の短い意見よりも、各人がどのように生きていて、その中で何を考えているのか、それが連動した形で読める日記というフォーマットは今の状況にぴったりだと思う。特に海外在住の日本人の日記がこれまでどの媒体でも読んでなかったので興味深かった。やはりアジア系にはコロナウイルスが中国発ということもあり人種差別が降りかかっているようだし、隣の芝生は青く見えるので他国と比べて日本はと思う場面も多いけど似たような迷走をしていたり。その地の生の声を聞けるのは日記ならではだなと思う。
     また同じ日本だとしても職業/子どものいるなし/場所/衛生的な価値観によってコロナ禍における行動基準が異なっているし、日記に何を書くのか?その選別する視点が一番興味深い。日記の醍醐味が存分に発揮されていた。マヒトゥ・ザ・ピーポーはほとんどステイトメントに近い形で独特のスタイル。日記文学としてパンチラインのつるべ打ちで特に好き。皆があきらかにおかしいなと思った日本の政策の数々に対する違和感も数か月前にも関わらず今読むと新鮮に思えるのが不思議な気持ちだった。(王谷晶の日記の政権に対する悪口は振り切れてて最高!)あと自粛生活だと基本的に家の中にいるので日記として書くことは食に関することに多くの著者が収斂していく(もしくは敢えてフォーカスしていく)ところがオモシロかった。もともと植本一子の日記を目当てに買ったんだけど個人的に興味があった作家や立場の人達の日記を読めたことが嬉しかった。本著をきっかけに各自の著書も読んでみたい。

  • コロナ禍の様々な人々の日記からなる本は、「仕事本」を既に読んでいるのだけど、タイトル通りあちらは仕事が中心、こちらは生活が中心(もちろん、仕事と生活は絡まり合っているのだけど)。
    食べたものを記録する人が多いのが新鮮だった。
    生活と食は不可分だからでもあるし、この時期、生活の変化が感じられるのが食くらいしかなかったからでもあるだろう。
    が、私があの時期に日記を書いていたら食事のこと書いたかなぁ…特においしかったものは書いたかもだけど。あまり食への興味が強くない。
    「仕事本」の感想と重なるのだけど、人が生きている、というのを感じられるのは良い重みあることだった。
    手放しで読むことを楽しめるような日々ではないにしても、コロナ禍以前よりは近い生活で一定の時期を過ごすという稀な(はず)のお互いの体験をベースに、ページ越しに生きている人達と指が触れ合うような感覚は味わって良かったと思う。

  • 緊急事態宣言真っ只中の日記なので、仕方ないけれど、先の見えない日々を辛い辛いと書いている日記が多くて、読んでるうちに苦しい気持ちに。
    職業や住んでいる場所も偏りがあるように感じて、コロナ禍の日記集としては、「仕事本」の方が私には面白く感じました。

  • 2020年春の日記。もう少し時期が近かったら苦しくて読めなかったかも。
    もちろんひとりとして同じ経験をしている人はいないけれど、あの春の不気味なほど静かな自分の暮らしを思い起こすところもあって不思議。パーテーションとかビニールカーテンとかいまではすっかり適応したものの慣れなさにも言及されていて、すぐ人は慣れるからそのとき感じたことは記録していった方がおもろいよな〜。

  • ただただ日々の集積のみがここにある。
    自分の中で空白の期間になっていたものが、他人の日記を通して少しずつ埋められていく。
    この暮らしを無かったことにしてはならないと感じた。それぞれがそれぞれのやり方で戦い抜いた日々を忘れてはいけないと思った。

  • 緊急事態宣言中の2019/4月前後の日記が多い。目当ては作家の王谷晶さんと大好きなライブハウスFEVERオーナーの奥様
    今(2021/1)読み返していると、あ、この方Twitterでヨーロッパのアジア人差別でバズってなかった?とか世帯2枚マスクや愛犬くつろぎ動画ってあったなぁ等、一年弱前なのになぜかほのかに懐かしい。

  • 半分くらい読んだか。ちょっと読んで読めそうなのだけ読む。しんどいのはパスする。これがちゃんと読めるようになるにはやはり10年くらいはかかるのだろう。最近ようやく東日本大震災のものが読めるようになったのだから。

  • コロナ禍をどうやって過ごしたのか。日記にすることで、日常の変化やそれに対する筆者や世間の反応の変遷が見えて面白かった。国や仕事によっての違いも興味深くて、その辺もっと幅広く知りたいと思った。

    苦しかった頃のことをいろいろと思い出して憂鬱な気持ちにもなったけれど、記録として大事な一冊になるでしょう。

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著者プロフィール

植本 一子(うえもと・いちこ):写真家。1984年、広島県生まれ。2003年、キヤノン写真新世紀で優秀賞。2013年から下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」をかまえる。主な著作に『愛は時間がかかる』『かなわない』『家族最後の日』『降伏の記録』『台風一過』『うれしい生活』『家族最初の日』などがある。

「2024年 『さびしさについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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