草木とみた夢: 牧野富太郎ものがたり

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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907108328

作品紹介・あらすじ

小学校中退の独学で日本初の本格的な植物図鑑を送り出し、「日本の植物学の父」とよばれた牧野富太郎。
貧しさや困難に見舞われながらも「草を褥に木の根を枕 花と恋して九十年」の言葉どおり、ひたむきに植物を愛し、その魅力を伝えることに情熱をそそいだ生涯を、簡潔な文と美しい絵で描く、あたらしい伝記絵本。
巻末に国立科学博物館植物研究部研究主幹・田中伸幸氏の解説を掲載。見返しに「本書に描かれた牧野富太郎ゆかりの植物」と「牧野富太郎年譜」つき。

感想・レビュー・書評

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  • 敬愛する牧野富太郎さんの伝記絵本。
    図書館の開架で見つけ、表紙だけでたちまち惹きつけられた。
    てらいのない簡潔な文章と涼し気で優しい色使い。
    これはちゃんと読まねばと、さっそく借りてきた。

    日本初の本格的な植物図鑑を世におくり出し「日本植物学の父」とまでよばれた牧野富太郎さんは、1862年高知県高岡郡のお生まれ。
    幼い頃に両親と祖父を亡くし、祖母・浪子さんに育てられる。
    小学校は2年で自主退学。大好きな植物採集をして過ごす。。。
    という年譜も見返しにある。
    なまなかではない人生。しかし絵の中の富太郎少年はいつも微笑んでいる。
    決して誇張ではなく、好きなものを探求するとはどういうことかを表している。
    「この植物はなんだろう」という、きわめて明解な好奇心から始まり、長じてからは「学んだこと、分かったことはみんなに知ってもらうべき」という心構えになっていく。

    表紙画像で、富太郎さんが正装をしているのがお分かりかと思う。
    野山に出かけるときはいつでもこのようなスタイル。
    それが植物に対する礼儀だからという理由だ。
    65歳で博士号をとったが、それさえも自ら望んだものではない。
    探求心と、多くのひとに知らせたいというひたむきさのみ。
    94歳で亡くなられる日まで図鑑を作り続け、今も使われる「牧野日本植物図鑑」が完成したのは78歳の時だったという。

    日本の植物の約300種は、富太郎さんがつけた学名であるらしい。
    作中に描かれたあふれんばかりの植物は、どれもご本人ゆかりのもの。
    山野草好きな私は、ひとつひとつ観察しては名前を確認した。
    ぜひゆっくりと見せながらお読みくださいな。
    音読で約16分かかるから、教室では更に時間がかかるだろう。
    ブックトークの最初に持ってくる読み物としてもお勧め。あとは関連本を4,5冊。

    経済優先が研究の分野にも及び、お金になることばかりが注目される。
    果たして今の世に、富太郎さんのような人物が生まれるのだろうか。
    このような生き方が果たして出来るのだろうか。
    幸せになることが生きる目的ではない。
    でも熱意を持ち続けることの大切さをこの本は教えてくれる。
    子どもたちにも「こんな風に生きられたら」という憧れを抱かせるだろう。
    ベテランのノンフィクション作家・谷本雄治さんと、造園家でもある大野八生さんの挿絵で、大変品のある一冊になっている。大人の皆さんもぜひどうぞ。

  • 朝ドラは見てなかったし、正直牧野富太郎の事は何も知らなかった。好きな事への素直な探究心、知る、学ぶ、知識を広める前には何人でも平等である事を体現された方なんだと思う。学者ではないけれど、好きな事や自分が打ち込むと決めた事に、楽しみを見出しと追求する貪欲さが、人や世界を動かすのだな。絵本の絵と文章から牧野富太郎の温もりが感じられた。

  • 日本を代表する植物学者、牧野富太郎の伝記絵本。植物が大好きで、次から次へと興味がわいてくる、そんな少年富太郎のワクワクが伝わってきます。人物は愛らしく、植物は丁寧に描かれていて、楽しく読める絵本です。

  • 去年の暮れに牧野富太郎さんのことを知ることができて、関係する本を読んでみたくなり図書館から借りました。

    絵や文章がとても心地いい本です。

    牧野富太郎さんのご生涯はとても日本人的だと思い、こういう生き方をすると日本人はとても優れた生き方ができるんだね、と私の母親と話し合いました。

    6歳のころまでにご両親と、祖父を失くされて、祖母の方に育てられました。

    ただ、時間がたつのも忘れ、寝る間も惜しんで好きなものに熱中されて94歳の亡くなられるまで、優れたご研究、ご活動、ご活躍をされるという日本人の生き方は、残念ながらもうこれからの日本では、もうなかなか難しいのではないのかと正直思ってしまいました。

    調べましたらわたしの住む東京にも、ありがたいことに練馬に牧野富太郎記念庭園、東京都立大学に牧野標本館がありますので、牧野富太郎さんの業績に触れにいきたいと思いました。

  • 大野八生さんの絵と牧野富太郎さんのイメージが、ぴったりです。

    植物に魅入られた生涯。
    また好きを突き詰めた人の幸福を思う。

  • やさしい富太郎と草花たちの絵。
    現実はどうだったか分からないけれど、
    基本、笑顔の富太郎。
    94歳で亡くなるまで好きなことに打ち込めて、
    きっと幸せな生涯だったのでしょう。
    寝る間を惜しんで熱中できるものがあるっていいな。

  • 「小学校中退の独学で日本初の本格的な植物図鑑を送り出し、「日本の植物学の父」とよばれた牧野富太郎。
    貧しさや困難に見舞われながらも「草を褥に木の根を枕 花と恋して九十年」の言葉どおり、ひたむきに植物を愛し、その魅力を伝えることに情熱をそそいだ生涯を、簡潔な文と美しい絵で描く、あたらしい伝記絵本。
    巻末に国立科学博物館植物研究部研究主幹・田中伸幸氏の解説を掲載。見返しに「本書に描かれた牧野富太郎ゆかりの植物」と「牧野富太郎年譜」つき。」

  • 牧野日本植物図鑑を見るたびに、高知の関連施設に行きたいと感じています。
    牧野富太郎の一生をサラッと書いてありました。ちょっと物足りなかったな。絵の植物が何なのか調べるのが面白かった。

  • 日本が世界に誇る植物学者、牧野富太郎の伝記絵本。学校教育を受けていないことで学会から閉め出されたこともあったそうだが、家族や仲間に支えられ、94才まで植物を研究し続けました。

    高知にある牧野植物園は、広々としていて素敵でした。練馬区にある牧野記念館のお庭は、博士の眼差しが感じられる良いお庭でした。

  •  学歴がないことでバカにされたりしながらも、コツコツと植物の研究を続けて、とうとう…。大好きなことをやりぬく勇気がわいてくる本だよ。
    (一般担当/あほうどり)

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著者プロフィール

谷本雄治(たにもと ゆうじ)

愛知県生まれ。児童書を中心にノンフィクション作家として活躍。
主な作品に『ぼくは農家のファーブルだ』(岩崎書店)
『カブトエビの寒い夏』(農山漁村文化協会)
『ご近所のムシがおもしろい!』(岩波書店)
『天の蚕が夢をつむぐ ~大島紬ものがたり』(フレーベル館)
『牧野富太郎ものがたり 草木とみた夢』(出版ワークス)など。

「2023年 『牧野富太郎物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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