チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1
- ゲンロン (2013年7月4日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784907188016
作品紹介・あらすじ
チェルノブイリ・ツアーへようこそ。
チェルノブイリの原発跡地を訪問取材した津田大介・開沼博・東浩紀が、現地関係者へのインタビューほか、論文・資料も充実しています。
長期プロジェクト「福島第一原発観光地化計画」の成果となる出版第一弾。
チェルノブイリ取材にあたって、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を通じ、同サイト史上最高額となる6,095,001円の支援を頂きました!
感想・レビュー・書評
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「ダークツーリズム」という言葉には僕自身は新鮮な響き感を受けるが、考えてみるとそれは割と身近にも存在してる。
国内で見るとそれは原爆ドームであり、県内だと海軍壕公園や残存する無数のガマ。主に戦跡だ。
本書の第二部(取材編)で現地の観光に携わる色んな人々に共通しているのは、たとえそれが観光旅行であろうと、現地の現実を知ってもらうことを肯定的に捉えていること。それは沖縄の戦跡地でも該当する。ダークツーリズムの目的はそもそも「悲劇の継承」だ。
そこで得た何かで社会にコミットするのが理想だけど、そこまで大げさじゃなくても、訪れた人たちの「中に何か」が残れば、それで歴史は繋がっていくのかもしれない。
勿論その試みは負の部分も抱えているはず。それもひっくるめての歴史だという認識のもと、最後は「楽しむ」ことでしか歴史は繋がってかない。というあずまんの編集後記にしびれた。
最大の敵は風化。そうしない最大の方法が「楽しむことかもしれない。
なんだか抽象的になった。
この話は福島に繋がる。沖縄に繋がってもいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まず写真が美しい。
東浩紀氏という、とても静か、とは言えない人物を中心に編集されていながら、全体としてひっそりとした雰囲気を醸し出しているのは、新津保氏の写真のおかげだろうか。
雑誌風の作りになっており、確かに「ガイド」としても活用できるが、同時に「これからのフクシマ」をチェルノブイリに見る、という読み応えのある内容だった。
観光地化される負の遺産。
広島出身被爆三世の私は、ダークツーリズムの観光地として成功している原爆ドームに思いを馳せざるを得なかった。
原子力と言う罪深い技術を手にした我々の、これから。
ただ国家や電力会社を責め立てるだけでなく、推進するそれらを放置した我々全員に潜在的に存在する責任を考えさせられた。 -
チェルノブイリの現在を見るためのツアー
福島へもみんなで行くと良いと思う。 -
読み応えありまくり、我々が本質的に戦わないといけない敵は風化だ。
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ノンフィクション
原子力発電 -
チェルノブイリに学ぶ。ダークツーリズムの意義。福島のこれから。日本人のこれから。
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1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所が観光地となっている。「ゾーン」と呼ばれる立ち入り制限区域にガイド付きで入ることができるのだ。本書は、その観光ツアーに参加し、そこに関わる人々へのインタビューを編纂したものである。過去の負の遺産となった場所を巡ることは一般に「ダークツーリズム」と呼ばれる。チェルノブイリ観光もそのひとつだ。そうとは意識していなかったが、広島平和祈念館やアウシュビッツ収容所などもダークツーリズムの範疇に入る。本書ではチェルノブイリ原子力発電所だけでなく、事故について展示するキエフの博物館や、チェルノブイリを舞台にしたゲーム「STALKER」、プリピャチ市の元住民らのためのサイト、などが合わせて紹介される。
この雑誌の編集者は、現代思想の東裕紀、福島大学の社会学者の開沼博、Webジャーナリストの津田大介、写真家の新津保建秀、などである。本書の背景として、福島第一原子力発電所の今後への彼らの問題意識と「観光地化」への構想がある。
チェルノブイリ原子力発電所の件で驚いたのは、まだその施設が送配電施設としてだが現役であること、さらに発電所内でまだ働いている人がいることだ。訪問者は、発電所の中に入って見学までさせてもらうことができる。本書に参加する人々は、観光地化により正確な情報が流通することについて価値を見出している。また過去の風化へ対抗する手段としてもその有効性を見出している。
すでに刊行されているが、この次の号にて福島第一原発観光地化計画を取り上げている。また、25年後の「フクシマ」を考えるとして、プロジェクトを発足させている。プロジェクトのサイトはこちら→ http://ch.nicovideo.jp/fukuichikankoproject/。
チェルノブイリツアーはその後東氏のゲンロン社が募集催行している模様 → http://school.genron.co.jp/chernobyl/。6泊7日のツアーとして訪問先もまとめられていて、本書の内容とも当然ある程度合致していて参考になる。
この後、長きにわたってフクシマがどのように変わっていくのか。彼らの行動はどういう影響を与えるのだろうか。福島第一原発観光化計画も読んでみたい。(Kindle Primeだと無料のようだし)
なお巻末に関連書籍や関連サイトがまとめられている。本書刊行後にノーベル賞を受けることになるスベトラーナ・アレクシェービッチの『チェルノブイリの祈り』も参考書籍として紹介されている。
『チェルノブイリの祈り――未来の物語』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032250 -
日本にはなかなかできない発想。日本の報道は自主規制が多すぎて、本来の役割を果たしていないことに起因する。いつになったら日本は変わるのだろう。起こった事象に対して客観視するのではなく、主観的な対応を国民がとってしまうことも心配。
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チェルノブイリの観光地化に福島の未来を見る。立入禁止区域内ツアーとキエフの博物館展示。区域庁副長官、博物館副館長、元作業員作家、NPO代表、旅行会社代表などに現状と未来についてインタビュー。ジャーナリストと社会学者による考察。
そんな場所にのほほんと行くなんて申し訳ない、じゃないんですね。それより、時間をかけて行くこと・身を置くこと・感じること・想いを馳せること、だと。
著者プロフィール
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