チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

  • ゲンロン
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レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907188016

感想・レビュー・書評

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  • チェルノブイリの現在を見るためのツアー
    福島へもみんなで行くと良いと思う。

  • チェルノブイリに学ぶ。ダークツーリズムの意義。福島のこれから。日本人のこれから。

  • 1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所が観光地となっている。「ゾーン」と呼ばれる立ち入り制限区域にガイド付きで入ることができるのだ。本書は、その観光ツアーに参加し、そこに関わる人々へのインタビューを編纂したものである。過去の負の遺産となった場所を巡ることは一般に「ダークツーリズム」と呼ばれる。チェルノブイリ観光もそのひとつだ。そうとは意識していなかったが、広島平和祈念館やアウシュビッツ収容所などもダークツーリズムの範疇に入る。本書ではチェルノブイリ原子力発電所だけでなく、事故について展示するキエフの博物館や、チェルノブイリを舞台にしたゲーム「STALKER」、プリピャチ市の元住民らのためのサイト、などが合わせて紹介される。

    この雑誌の編集者は、現代思想の東裕紀、福島大学の社会学者の開沼博、Webジャーナリストの津田大介、写真家の新津保建秀、などである。本書の背景として、福島第一原子力発電所の今後への彼らの問題意識と「観光地化」への構想がある。

    チェルノブイリ原子力発電所の件で驚いたのは、まだその施設が送配電施設としてだが現役であること、さらに発電所内でまだ働いている人がいることだ。訪問者は、発電所の中に入って見学までさせてもらうことができる。本書に参加する人々は、観光地化により正確な情報が流通することについて価値を見出している。また過去の風化へ対抗する手段としてもその有効性を見出している。

    すでに刊行されているが、この次の号にて福島第一原発観光地化計画を取り上げている。また、25年後の「フクシマ」を考えるとして、プロジェクトを発足させている。プロジェクトのサイトはこちら→ http://ch.nicovideo.jp/fukuichikankoproject/

    チェルノブイリツアーはその後東氏のゲンロン社が募集催行している模様 → http://school.genron.co.jp/chernobyl/。6泊7日のツアーとして訪問先もまとめられていて、本書の内容とも当然ある程度合致していて参考になる。

    この後、長きにわたってフクシマがどのように変わっていくのか。彼らの行動はどういう影響を与えるのだろうか。福島第一原発観光化計画も読んでみたい。(Kindle Primeだと無料のようだし)

    なお巻末に関連書籍や関連サイトがまとめられている。本書刊行後にノーベル賞を受けることになるスベトラーナ・アレクシェービッチの『チェルノブイリの祈り』も参考書籍として紹介されている。



    『チェルノブイリの祈り――未来の物語』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032250

  • チェルノブイリをはじめ、ダークツーリズムをする意義などが書いてある。
    ダークな部分を学ぶというのも旅行の1つの役割だと思うので自宅のトラベルカフェ本棚に追加したい。

  • 原発事故から27年経過したチェルノブイリやその周辺、関わっている人たちへの取材からなる本。
    観光地化しているチェルノブイリ……えーそれはちょっと……と思ったけれど、世界のダークツーリズムの紹介を見て、確かに広島の原爆ドームは観光地化していて、去年だったか久しぶりに行った時、日本人観光客が原爆ドームを背景にピースサインをして写真におさまっている姿を見たことを思い出しました。
    なんだかなという思いもありつつ、忘れさられてしまうのはもっと嫌です。ならば、観光地化して、内外から人に来てもらう、興味をもってもらうことが大切である、と。

    チェルノブイリ博物館の写真が現代アートのようで、国が違うとこうも展示が違うのかと驚きました。

  • 27年経った今も収束していないチェルノブイリ。そして福島の先はまだまだ長い。そう考えるとダークツーリズムという方法でも、忘れないように日常的に振り返ることを多くすることは必要だよなと思った。チェルノブイリの風景が美しくてそれ故に悲しい。

  • ぱらぱらとめくって写真がとてもよかったので購入した。
    チェルノブイリが観光化されていることも知らなかったが、本書を読んで、忘れないこと、という目的がきちんと達せられているように思った。
    そしてチェルノブイリの博物館や公園が、事実を淡々と述べるような日本の資料館的なものではなく、かなり抽象的・概念的に事故を扱っているのが新鮮だった。
    福島の原発の観光地化には反射的に顔をしかめる人も多いと思う。私も本書を読む前はそうだった。が、「忘れない」ということを実現するためには、大変有効な方法ではないかと、この本を読んで、思うようになった。

  • いまだチェルノブイリ原発を抱えるウクライナでは発電を原発に依存していること。観光地化してほしいと望んでいるの現地の人達であること。火力発電でも放射性物質が排出されることなど、新しい発見があった。

  • 原発事故地を観光地へ。と聞くと、不謹慎だと怒り出す人もいるかもしれない。しかし。先日広島に行ってきた。原爆ドームの横を抜けて平和記念公園にある広島国際会議場へ。この近辺も、ダークツーリズムの対象になっている、と考えてみれば、そんな怒りも収まるだろう。
    チェルノブイリは廃墟になっている、というイメージがぬぐいきれなかったが、送電停止後もハブ的電力施設として稼働しているし、石棺作業などで作業員も多い。そして現地の人々の声。責任はみんなにある、と。チェルノブイリの問題を、ソ連のせい、原発というもののせい、と単純化してしまうと隘路にはまるぞ、という指摘(は、そのまま日本にも当てはめていいだろう)。

  • ダークツーリズムという言葉だけを聞いてしまうと、アングラで怖いもの見たさの野次馬的な観光を想像してしまう。それはある意味事実なのだろうけど、物事の一面でしかない。ダークツーリズムによってもたらされるのは収益ではなく、何よりも人々の記憶の保全、歴史の保全という大事な役割が生まれる。過ちを繰り返さないためには、大事な事だ。また、観光が盛り上がることによって、そこに住む人々が癒されることもある。ウクライナに住む人々は、避けるべきは風評被害だという。今の日本は何も学んでいないのか。
    僕はこの本を読むまでチェルノブイリについては何も知らなかったのだろう。今でもごく一部しか知らない。ただウクライナの一部の人々の活動が、記憶を残し、真実を伝えていることを知った。これからはどう前向きになっていくしかない。
    この本の議題とは別だが、一部で割かれる「からゆきさん」についても、僕は知らなかった。知らないことばかりだ。

著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

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