ゲンロン3 脱戦後日本美術

制作 : 東浩紀  キム・ソンジョン  黒瀬陽平  パク・チャンキョン  会田誠  安藤礼二  椹木野衣  新藤淳  土屋誠一  稲賀繁美  ハンス・ベルティング  ジョン・クラーク  クレイグ・オーウェンス  パク・カブン  井出明  市川真人  安天  辻田真佐憲  西田亮介  上田洋子  福冨渉  海猫沢めろん 
  • 株式会社ゲンロン
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本棚登録 : 122
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907188177

作品紹介・あらすじ

【特集:脱戦後日本美術】
もう悪い場所論や地域アート論はうんざりだ!
美術批評の日本特殊論を打ち破るため、巻頭に来るのはまずは東浩紀と黒瀬陽平による韓国リアルDMZプロジェクトの徹底取材。グラビアとインタビューでダークツーリズムと現代美術の新展開に迫る。
同国を代表するアーティスト、パク・チャンキョン氏の特別寄稿も獲得。
続く座談会では、会田誠・椹木野衣・安藤礼二3氏を迎え、戦後日本美術の問題を徹底討議。
特集後半では流行の「世界美術史」論を徹底解剖。ベルティングとクラークの必読文献初訳を収録したほか、稲賀繁美・新藤淳・土屋誠一らの論考が新しい美術批評の地平を開く。

【国境を越えた批評へ】
特集と連動し、韓国の新世代批評家、若干29歳のパク・カブンを本邦初紹介。ゲンロンの活動は日本を越え外へ。
井出明の評論、海猫沢めろんの連載小説、タイ文学が加わりますます国際色豊かなコラム。
前号比さらに50頁増の超特大号!!!!

感想・レビュー・書評

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  • 馬定延さんのsiafのイベントでのアーティスト・トークで、三原聡一郎さんの「土の日記」という作品に触れられ、そこから、リアルDMZプロジェクトに興味を持ち、キム・ソンジョンさんの「博物館から庭へ-リアルDMZプロジェクトの哲学」「国際性と地域性の並行関係ーリアルDMZプロジェクト」にたどり着き、読了。DMZに着目したイベント、というのが異色で着眼点が鋭く、興味が惹かれた。自然環境をどうやってプロジェクトの中に生かしていくか。様々な場所から植物を引き抜いて並べる、歴史的な「庭」ではなく、新しい「庭」の概念を提示したい。DMZの「過去性」を強調するとモニュメントの制作に陥り忘却に寄与する。「現在性」を強調すると北朝鮮の脅威を煽る政府のイデオロギーに近づく、という罠を乗り越える必要。日本の美術会は、東日本大震災以前は、総じて内面的な美意識の追求が強いように思ったが、以後は政治的社会的な問題に関心を持ち、考える作家が増えたといった指摘。ナム・ジュン・パイクが提示したネットワーク作りの重要性、韓国の美術家を世界に繋げる機会を提供したこと。地域ごとのビエンナーレは、潤沢な予算を得て展覧会をするよりは、特定のテーマを扱い、長期的に調査と制作を行うことが良いのでは、という提案。プロジェクトは、武装された「非武装地帯」と言う皮肉に向けられたもので、DMZの現実の非武装化や平和に関する議論を促し、韓国と北朝鮮の交流推進を模索している、という思想。といったあたりが興味深かった。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784907188177

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)、『忘却にあらがう』(朝日新聞出版)ほか多数。

「2023年 『訂正可能性の哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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