ゲンロン0 観光客の哲学

著者 :
  • 株式会社ゲンロン
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本棚登録 : 892
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907188207

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすさがすごい。
    ラカンの解説ではじめていっている意味がわかった文に出会った。
    論理が明確。

  • 政治に他者に関わることなく引きこもって自らの欲求を追求して暮らすことが可能な動物の時代。神も国家もアイデンティティの拠り所として機能せず、グローバルリズムを否定するためにテロリストでさえふわふわした浅薄な理由で(動画を見て)生まれる。テクノロジーとグローバル化により均質になっていく世界で、数々の哲学者の論説をひもときながら人はどうあるべきか模索する。

    本来は世界市民となるはずだった現代人はリベラリズムに疲れはて、リバタリアニズムとコミュニタリアニズムに分裂している。グローバリズム(経済的利益、肉体関係)はナショナリズム(政治、恋愛関係)を取り残したまま歪な秩序として浸透したのだ。SNSやLGBT運動に見られるネットと愛さえあればどうにかなるというマルティテュードも実効性が薄い。
    シンギュラリティは空想社会主義にすぎず、仮想現実世界では匿名性がフェイクニュースやヘイトなど悪い意味で現実を侵食していく。

    筆者は観光客=二次創作だと主張する。観光とはまさに産業社会によりうみ出された産物、大衆消費行動だ。しかし観光は単なる娯楽であると同時に誤配を生み、偶然性によって人の視野を広げ社会を繋げ直す。そして観光客は訪れる場所を観光地に変える。観光客は無力ではない。

    国という概念が機能しなくなったテロリズムの問題は文学の範疇にあると筆者はとく。ドフトエフスキーの地下室人の手記、カラマーゾフの兄弟、悪霊について取り上げている。強制されると反発するためだけに反発するのが人の性。人はライプニッツ的理想の世界に殉じようとするが、現実の不条理に耐えられなくて絶望してテロリストとなり、さらにどちらの態度からも離れた無関心なニヒリストとなる。ニヒリストを克服するには、不能な父(観光客)となるしかないという。そして解決は次の世代に託し、そしてまたテロリストが生まれていく…。終わりなき円環の中に人は生きていくと筆者はしめくくる。

  • 哲学=まじめというこれまでのイメージを覆そうという野心作。そのために欠かせないスパイスが「偶然性」。
    ドストエフスキー論がいちばんスリリングだった。
    重い主題については軽く語るのがいいと書くミラン・クンデラともつながった。
    九鬼周造の「偶然性の哲学」とも。
    ジャック・デリダの「散種」についてもいずれ読んでみなければいけない。

  • 『ゲンロン0』を半分ほど読み終えたのですが、これほど知的高揚感が駆り立てられたのは久しぶりの感覚。明らかに東さんのこれまでの著作よりも平易な文体かつ、圧倒的な論理の明快さ。中高生でも読めるはず。没落しかけていた人文知に光明みえた。

    <メモ>
    思考・思索・思想を揺さぶれ!
    思考を深め、思想を案出するとは何か

    学部卒論

    数学の言葉、社会科学の言葉、文学の言葉により、説得を試みる。やはりスーパースター。

    まとめp204

  •  ゲンロンカフェ主催の東浩紀の書きおろし哲学書。

     丁寧に書かれていて、哲学書として格段に読みやすい。もちろんだからといってよく分かるわけではないが、考えることを後押ししてくれる。東浩紀の思想を読む本ではあるが、そこに様々な哲学者の思想が絡んできて、広く哲学の勉強にもなる。
     観光とはその地の人でも完全な無関係でもないその間の存在のことか。グローバリズムとナショナリズムなど、様々なことの間について書かれている。個別の具体的なニュースとはあまり絡めて書かれていないが、広く現在の世界を読み解く鍵があるように感じた。
     ここ数年の東浩紀が色々な場所で話したことや書いたこととがこの本によってつながっていくように思えた。やはり本というのは大事。

     濃厚な哲学読書体験。
     こういう本こそムーブメントを起こしてヒットしてほしい。

  • 2017年4月9日に紹介されました!

  • 確かに過去のどのゲンロンよりも読みやすい(カラマーゾフの兄弟は再読しないといけないけど)。観光客という響き、家族という言葉に対して扱う内容は深い。2017年の、いま、この環境において、いかに他者と関わることができるのか、世界とどうつながることができるのか、社会をつくることができるのか。それが「観光客」で、そして「家族」であるというのがたどり着いたところ。誤配された家族的類似性。これから第二部の内容をどう深めていくのかが、文字通り親である東浩紀と東チルドレンの宿題。

  • 2017.4.1-2017.4.9
    お勧め。
    読後に思つたことをブログに書きました。(全4回)
    https://blogs.yahoo.co.jp/yoshiharajya/55759883.html

  • 2017/4/8

  • あずまんのゲンロン0最高だった。なぜリベラルは崩壊しつつあるのか。ナショナリズム(国家・政治・人間)とグローバリズム(帝国・経済・動物)という二層構造の時代を生きる我々に、新たな視座を与えてくれる観光客の原理を指し示す希望の書。

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著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

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