若冲が来てくれました‐プライスコレクション江戸絵画の美と生命

制作 : 日本経済新聞社 
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907243005

感想・レビュー・書評

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  • 2013年3月から9月まで東北3県をまわって開かれている若冲展の図録です。http://jakuchu.exhn.jp/

    いつもは美術展に行ってそこで購入していた図録を、この展覧会ではアマゾンで売っている(少し高い)ことが分かったので、展覧会に出かける前に購入して全体を見ておいた。これがよかった!

    江戸中期の京の絵師、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)は、そのユーモラスで温かな視線を感じられる絵が多く、しかも、たとえば鶴の羽根の透き通るような重なりをどの様に表すかを工夫し、オリジナルな技法を編みだし描くなど、その作品は現代のデザイナー達にもinspireされることがあるらしく、人気が高い。

    カリフォルニアに住むプライスさん夫妻の、東北震災を受けたこどもたちに元気を!という願いと配慮によって実現した、このプライス・コレクション展は、観る人にたくさんの元気をくれる。こどもたちにも分かりやすい展示の工夫をした展覧会が盛況で、その楽しさは図録にも表れている。

    あえて注文を付けられるのであれば、個人のコレクション作品を調査研究することはなかなか難しいので、こうした展覧会などの機会を捉えて、制作年代の決定を図って記録してほしいと思う。図録に、賛助作品は書かれているものの、コレクション作品は、制作年代(およそであっても)が書かれていないことが残念だと思われた。

  • いや~、素晴らしく、美しく、楽しい画集である。東北復興支援の「若冲がきてくれました」展の図録であるが、安いのに(2500円)もの凄くできがいい。子どもに分かるようにとのことで、説明もわかりやすいし、「美人大好き」「プライスさんの動物園」などの分類もいい。図録が楽しいなんて・・・。それにしても、若冲以外のプライスのコレクションも素晴らしいこと。品格がありつつ、平明でユーモアのある絵ばかり。まさに元気と勇気を与える絵である。福島まで見に行きたくてたまらなくなった。以下、興味を持った絵。
    ・旭日雄鶏図(若冲)世界に鶏一匹と言わんばかりの気高く豪奢な鶏!
    ・雪中松に兎・梅に鴉図屏風(葛蛇玉)黒地に真っ白な雪がふりかかってモダン!
    ・白象黒牛図屏風(芦雪)どでかくユーモアたっぷり!

    【備忘】
    たまらず、新幹線で福島県立美術館まで行ってきた。
    若冲は凄かった。期待していた「旭日雄鶏図」など、絢爛豪華な細密着色画は当然よかったが、「花鳥人物図屏風」「鶴図屏風」などの大胆・奔放な墨絵が、何というか生命やエネルギーの固まりというか、本当に素晴らしくて、ため息が出た。そのほか、やはり、「雪中松に兎・梅に鴉図屏風」(葛蛇玉)が黒白グレーの色調に、降りかかる真っ白な雪が幻想的で美しく、よかった。プライスコレクションは、本当に人を幸せにする良質なコレクションだであり、志高い良い美術展であった。

    それから何と!同美術館には、常設展で、松本俊介(「駅」)とワイエス(「松ぼっくり男爵」)があったのだ。松本俊介とワイエスは、美術音痴であまり絵が好きでない自分が、「いいなぁ」と思う数少ない画家である(あと、長谷川りんじろうが好き)。思いがけず、これに触れることができて、至福のひとときだった。ルノアールとか、モネとかあったけど、こっちの方が全然よい絵だった(両名の絵には詩情のようなものがあるところが共通すると思う)。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784907243005

  • ホントにスゴイ。若冲の魅力が詰まっている。笑いアリ、涙アリの一冊。できれば子供に見せたい。

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著者プロフィール

執筆は編集委員、コメンテーター。

「2022年 『これからの日本の論点2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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