社会的投資市場形成に向けたロードマップ

  • 日本ファンドレイジング協会
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  • Amazon.co.jp ・本 (25ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907431013

感想・レビュー・書評

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  • 1、社会的投資とは?

    世界大百科事典で調べると、投資とは「将来得られるであろう収益を目的として,現在資金を支出すること」という定義になっています。一般的に、投資というと”収益”=経済的リターンであり、投資する際にはこの経済的リターンを期待して資金を支出することを指すと思います。
    一方、社会的投資とは「社会課題解決のための事業を行う組織(営利・非営利)に対して社会的リターンと経済的リターンの両方を期待して資金を支出すること」を言い、期待する投資のリターンは上記で説明した経済的リターンだけでなく、社会的リターン、つまり、投資対象の組織や事業が社会課題解決のためにどれくらいの成果を生み出したか、という事も含まれることとなります。

    2、欧米を中心に広まる社会投資、日本でも導入に向けて

    本書では「社会的インパクト評価」、「休眠預金の活用」、「世界の社会的証券取引」、「社会的インパクト債券」など、各セクションではヨーロッパやアメリカ、インドの社会的投資に係る先行事例を紹介しています。そしてそれらを踏まえて、本書は日本で社会的投資市場を形成するために必要なアクションプランを示しています。

    3、社会的投資市場を実現させる9つの施策

    本書では日本で社会的投資市場形成を実現させる施策として、下記9件を挙げています。
    ①税制優遇
    ②運用緩和
    ③公的資金等の活用
    ④資金仲介者の育成・支援
    ⑤資金仲介メカニズムの制度化
    ⑥社会的企業の育成・支援
    ⑦推進体制の確立
    ⑧エコシステムの構築
    ⑨社会的投資の認知度向上
    このうち①~③が資金の出し手、④⑤が資金の出し手と受け手の仲介者、⑥が資金の受け手、⑦~⑨が環境づくりに関する施策となっており、各章ではそれぞれの施策についてさらにブレークダウンして、海外の事例紹介なども踏まえながら解説されています。
    本書が出版された2014年はちょうどキャメロン首相の呼びかけで発足した「G8社会的インパクト投資タスクフォース」が各国首脳宛に、社会的投資促進に向けた提言が行われた年です。
    (参考:http://socialimpactinvestment.org/
    これからグローバルレベルで社会的投資市場形成に向けた様々なプロジェクトが立ち上がるでしょう。

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著者プロフィール

米国Thunderbird Global School of Management にて経営学修士課程を修了後、GE Internationalを経て2010年より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任助教、2016年より2020年まで特任講師を務める。主に社会的インパクト評価を中心に研究し、2015年内閣府「共助社会づくり懇談会 社会的インパクト評価検討WG」委員会主査を務める。特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン代表理事。

「2021年 『自治体経営の生産性改革―総合計画によるトータルシステム構築と価値共創の仕組みづくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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