変光星: 自閉の少女に見えていた世界

著者 :
  • 花風社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907725594

作品紹介・あらすじ

「いじめる子は悪くない。いじめられる子が悪い」その常識に苦しめられた。豊かな才能を秘めながら教育現場で虐げられた自閉症の少女の目に映った日本という社会。学校という場。

感想・レビュー・書評

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  • 自閉症(ただし、高機能自閉症ないしアスペルガー症候群か)の疾患を有する著者の自叙伝。著者の持つ感覚の特異性、五感から受け取る感覚の恐怖感が生々しく描写。また、画一的対応を旨としていた学校制度や友人関係に対する違和感、疎外感も丁寧に叙述(いじめ的な描写も)。この疾患をもつ者全員が同一の症状ではないが、なぜ口頭の指示に従えないかが感得しやすい(ただし、自閉症患者の情報感受を健常者が追体験したり、実感することは難しいだろうが…)。是非、学校の先生に読んでもらいたい。2004年刊行。旧版1995年刊行。

  • 図書館有

  • 自閉症がまだ、親の育て方が悪いからと考えられていた1960年代。その頃に生まれたアスペルガーの少女は理解されず壮絶ないじめに苦しめられる。それは、学校の先生も加担したものもある。皆と違うことは、悪いことなのだろうか?それを批判する権利があるのだろうか考えさせられる。

  • 社会が大まじめで指示する一方的なルールや道徳をマジメに捉えると
    滑稽なまでに形式化された社会から浮いてしまう
    自由の仮面をかぶって絶対主義を本音とする(相対)社会では
    ルールを建前とした中に閉じ籠もらなければならない
    その息苦しさを刹那の欲望を発散することで紛らわし
    その場を騒がしく着飾って時を凌ぐしかない
    そこには傲慢や慇懃を持って支配するか奴隷やペットに成り下がるかの
    縦社会しか存在しない
    それを体感することで真理を見出す手がかりとするためにこの世がある

    ルールを、その裏をかくための目安として捉えられなければ
    社会になじめずイジメの餌食とならざるおえない
    禁止のルールや道徳がもたらす陰による弊害は
    この責任をうやむやにした反作用によって表面化するようだ
    個性を無視して押し並べた平等な社会には不満が襲い掛かるだろう

    ルールを、各自の自発性をうながす目安にできれば
    愛が満たす陰のない社会を目指せるのではないだろうか
    ルールも道徳も約束もお互いの変化に対する納得があってこそ
    自己責任をまっとうできるし責めることなく理解できる
    こうした集いは対等で自由な関係に満たされるだろう

  • 「自閉の少女から見た世界」。今まで自分が漠然と思いこんでいた「イメージ」をはっきりと否定された。無知と無力に恥じ入るのみです。

  • 周りに悪意のある人が多く、読んでいてつらいところもあるが引き込まれる

  • マンガ「この星のぬくもり」の原作で、96年飛鳥新社刊の復刊。

  • 著者に手紙を書いて、わたしの世界は激変した。

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著者プロフィール

本名同じ。1963年福岡市生まれ。自閉症当事者。不登校経験者。
12歳(中1)から30歳まで,いじめ問題,学校・教育問題について,当事者の立場からメディアや関係者たちに向けて投書し続ける。
1996年に,自閉症者による単著としては日本初の,自閉症当事者による本格的な手記『変光星――ある自閉症者の少女期の回想』を発表。1999年にはドラマ化の話も持ち上がるも諸般の事由にて辞退。
2002年にはその続編である『平行線――ある自閉症者の青年期の回想』をリリース。
両著は今日に続くロングセラーになる(ともに遠見書房で再刊されている)。
本書『自閉女(ジヘジョ)の冒険──モンスター支援者たちとの遭遇と別れ』はそれらに続く手記3作目となる。
他の著作にエッセイ集『金平糖――自閉症納言のデコボコ人生論』(遠見書房,2017)がある。
なお,現在(2020)は高齢ひきこもりの当事者でもある。

「2020年 『自閉女(ジヘジョ)の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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