世界中の青空をあつめて

著者 :
  • キノブックス
3.70
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本棚登録 : 229
感想 : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908059230

作品紹介・あらすじ

祖父母の手紙を通じて出会った二人は、かつて少年少女だった5人の、叶わなかった夢のその先を探す旅に出る-。1964年、東京。そこには確かに5人の"約束"があった。「デビクロくんの恋と魔法」「100回泣くこと」作者が描く、大人の"あわキュン"小説誕生!

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5
    1964年東京。
    そこには確かに5人の〝約束〟があった。
    祖父母の手紙を通じて出会ったり二人は、かつて少年少女だった5人の、
    叶わなかった夢のその先を探す旅にでるーー。


    東京で挫折し、愛媛の実家で無為な生活を過ごす和樹。
    2020年のオリンピックが東京に決まった時、
    寡黙な祖父から、糊付けされたままの一通の古い封筒を預かる。
    ーもしもオリンピックが東京に決まったら、この封筒を開けてください。
    開くと中から古い写真が二枚と、「ーコーチへ。わたしたちの約束をここに埋めました。
    オリンピックの年に一緒に掘り起こしましょう」と書かれた手紙が入っていた。
    祖父の〝果たされなかった約束〟を探しに東京へ向かった和樹。

    手紙に書かれてた5人の中学生の捜索や埋められた場所は、やはりなかなか見つけられない。
    しかし、偶然出会った麻帆が、その内の一人の孫だった…。
    二人は埋められた手紙を発見し、届ける旅に出る。
    6人の辿った歴史を知った二人はある行動を起こす。
    果たされなかった約束を果たす為に…。

    プロローグから心身ともに疲弊した和樹の姿が描かれていて、
    和樹の抱える傷が何なのか気になりながらよみました。
    過去の出来事が明らかになった時、和樹凄い!って思った。
    あの祖父の孫だからこそ、最後まで逃げなかったんだねって思った。
    愛媛での日々と、東京で出会った様々な人や旅が和樹の過去の傷も乗り越えてた。

    新しい物語をもてたとき、人間は立ち直る。
    新しい物語や、新しい約束をもてた時、人間は復興する。
    どんな過去だって、新しい物語の始まりになるから。
    バーを越えられなくたって、その先には行けるんだね。

    優しくて爽やかなストーリーで、登場人物も皆、魅力的だった。
    とても、温かい気持ちになりました。

  • 50年前の祖父たちの青春を追いかける。時代が変わっても、根っこのキャラクターとか、女子トークの中身とかは、あまり変わらないというのは、面白かった。
    中村航さんらしい温かさが心地いい。

  • 中村航さんの独特の言葉のセンスが隅々から漂ってくるだけで癒されました。青春と呼ばれる時間の、大人になってからは感じることのできない暖かさやむず痒さを思い返す老人たちの描写が大好きでした。祖父の言葉の重さに元気をもらって、読み終わった後にはすっきりとした気持ちになれる本でした。

  • 2年ぶりの中村航さん、いつもの如く一気に読了。
    最近、善人ばかりが登場する暖かいだけの話に食傷し、小路幸也さん、森沢明夫さんなど休読(?)中なのですが、その反動か中村航さんに手を出してしまいました。中高生向きのBoy meets girlというイメージが強い中村さんなので、好きだというとちょっと照れるのですけどね。
    主人公もヒロインも社会人で、脇を固めるのが前の東京オリンピックを成人として迎えた高齢者たちと年齢層は高めですが、この作品もいつもの中村さん。潰れかけた主人公が、周りの支えも受けながら前に進み始める。そして周りの人々も新たな一歩を踏み出していく。
    とても素直な(特徴が無いとも言えますが)文体で綴られる気持ち良い話。手が止まらなくなって丸一日で読了です。

  • 最終章でジーンとした。いい話だった。

  • 歳をとってもつながりは、大切。

    タイムカプセルをしたくなりました。

  • ① この本を選んだ理由
    図書館でタイトルに惹かれて手に取りました。


    ②あらすじ 
    未来をなくしてしまった主人公藤川が、田舎でダラダラと過ごしているところに、祖父宛の手紙をみつけ、物語がはじまっていきます。祖父のかつての教え子たちの未来に向かっていく姿勢に、藤川も同調していきます。


    ③感想
    とてもいい作品でした。

    歳をとったときに、なんのために生きてるんだろう…と思う疑問を取り除いてくれる作品でした。

    また、2021年に延期になった東京オリンピックに対して、もう中止にしちゃえばいいのにと思ってましたが、そこに多くの夢が存在していることを考えるきっかけになり、今の時期この本を読むと違った見方ができる作品だと思いました。

    時を超えた世界に引き込まれて、心動かされるシーンが多くありました。


    ④心に残ったこと
    「戻る場所」なんて、意識したことなかったから、場所について考えるきっかけになりました。また、「目標を持ち続けること」の大切さと、コミュニティの大切さを痛感しました。

    読み終えて、「いつまでも、いつまでも」を人生の一つのテーマにしてみようと思いました。自分の限界に挑戦するという言葉が、とても心に残ります。


    ⑤登場人物
    藤川和樹
    藤川政夫

    武居麻帆
    武居美代子

  • 始めて中村航さんの小説を読んだ。
    心温まる一冊だった。
    まず主人公、そして主人公の祖父の義理難いがゆえの後悔がなんとも悲しく、かっこ良かった。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140332

  • 仕事に挫折して田舎へ。オリンピックをきっかけにおじいさんのかわりにある約束を探しに東京へ。少し泣けて面白かった。2018.10.17

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著者プロフィール

建築家。博士(建築学)。株式会社MOSAIC DEDIGN代表。
1978年東京都生まれ。2002年日本大学理工学部建築学科(高宮眞介研究室)卒業、2005年早稲田大学大学院修士課程(古谷誠章研究室)修了。2008年同大学博士後期課程単位取得退学、助手・嘱託研究員を経て、2010年〜16年東京大学大学院隈研吾研究室助教。2011年東南アジアのストリートの屋台に関する研究で博士(建築学)取得。同年建築設計事務所MOSAIC DEDIGN設立。明治大学I-AUD、早稲田大学、日本大学などで非常勤講師を務める。店舗・住宅・ホテル・商業施設・マーケットなど、屋台からアーバンデザインまで、何か楽しいことやりましょう!をキーワードに大小さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

「2023年 『POP URBANISM』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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