ピカソになりきった男

  • キノブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908059452

感想・レビュー・書評

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  • 贋作と模倣
    その違いは何なのか?

    2005年に逮捕された名画の贋作作家・ギィ・リブの手記
    娼館で生まれ育った少年が贋作作家として生きていくようになったきっかけから、華やかでダークな絵画のダークな側面、そしてなんとその才能を生かして映画界へデビューしていくまでを描いている。

    ある美術評論家に「ピカソが生きていたら彼を雇ったであろう」と評されたギィ・リブ

    彼の贋作のすごさは名画のコピーを作ることではない。
    巨匠になりきってそのタッチで新作を生み出すことなのだ。
    ギィの絵を見たいと思ったけど、この本には写真が一切ない。
    彼の贋作は全て没収&破棄されたからだという。
    でも、彼いわく「いくつかは美術館やギャラリーで本物として流通している」のだとか。

    この本はある贋作作家の人生を描いているのだけど
    その片方で美術界のビジネスの恐ろしさやカラクリなどが描かれていて、美術マネーの恐ろしさやそれに群がる有象無象、美術愛好家をくいものにする人々の恐ろしさを描いている。

    ギィは逮捕されてから、その天才的な、なりきり才能を認められルノワールの映画の美術担当の仕事をすることになる。
    そんなイイ話もあってよかった…なんて思う。

    なんだけど…ラストちょっと切ない。

    様々な巨匠になりきって他人の絵を描いてきたギィ
    しかし、何にもなくなってあらためて「素の自分の絵」を描いてみるとそこには何もなかったりする。
    誰にも評価されず、でもって耳元では
    「まだ他の巨匠の絵があるんじゃない?」
    なんてささやかれたりする

    失ったものはオリジナリティー
    それは、芸術を中心に生きてきた人間にとっては
    恐ろしすぎる代償である。

  • マイ贋作ブーム。北森鴻「狐罠」、望月諒子「大絵画展」、門井慶喜「天才たちの値段」に続いて、伝説のフランス人贋作作家ギィ・リブの自伝。

    生い立ち、関わる人々、贋作を生み出す様子、まるでハードボイルド小説のよう。事実は小説より奇なりを地でいく人生。
    語り口とあいまって、どこまで本当のことなのかかがわからない。いまもなお、ギィの贋作がカタログにのっているのだろうか。

    作品をみてみたかった。
    裁判の描写をみても、圧巻だったことだろう。
    > まるで裁判所主催の近代アート展にでもいるようだった!
    > 足りなかったのはシャンパンと、おつまみのお菓子ぐらいだろう。

  • 前半はちょっとだるかったけど、後半贋作に関わり出してからは一気に面白くなった。

    願わくば、作品を見てみたかったが没収または破棄されて残っていないとのことで、残念。しかし、またまだこの人の贋作はアート界にたくさんあるとのこと。

    もしかしたら美術館で見るあの絵やこの絵も贋作かも!?と思ったら、自分のアートを見る目が試されるようで面白みがある。結局アートは誰が描いたかよりも、受け手が何を受け取るかだと思わされる一冊だった。

  • 30年間贋作を描き続けてきた画家が、
    自らの半生を綴った手記です。
    美術界の裏側が赤裸々に語られています。
    著者は1948年生まれ。
    幼少期を娼館で暮らし、10代はじめには家を飛び出し路上生活。
    その後は絹織物デザイン工房の職人になったり、フランス海軍に入隊したり、
    でもそれらの経験が、後の彼の人生に大いに役立ちました。
    独学で絵を学んでいた彼は、
    水彩画家として身を立てることを目指しますが、
    ある人物との出会いをきっかけに贋作作家となります。
    贋作といっても彼が描いたのは
    現存する、あるいはかつて現存した絵を模写するのではなく、
    タッチや色彩、マチエールを真似て、
    その画家なら描くであろう
    ピカソ風、マティス風といった新作絵画でした。
    学校教育を受けていない彼は、膨大な量の美術書を読み漁り、
    すべて独学で知識やテクニックを身に着けます。
    絵を描く前は時間を掛けて、その画家になりきる努力をします。
    俳優が役になりきるようなものですね。
    その画家がどのような人生を送り、どの時期にどのような生活をし、
    なにを考えてどのような絵を描いたか、想像しながら作品を生み出すのです。
    彼が真似た画家は、ピカソやシャガールをはじめ、
    マティス、ルノワール、ダリ、モディリアーニ、デュフィ、ヴラマンク、
    マリー・ローランサン、レジェ、フジタなど多岐にわたります。
    彼はほかの贋作家のように、
    ひとりの画家、一つのテクニックに自らを限定しませんでした。
    彼の興味は、様々な画法や、素材、時代を探求すること。
    また、プロの鑑定家の目を欺くほどの
    完璧な作品を描きあげることに、
    無上の喜びを感じていたようです。
    彼は自分の絵で歴史に名を刻むことはできませんでしたが、
    波乱万丈紆余曲折のボヘミアン的な人生は、
    エコール・ド・パリの画家たちにも引けを取らない
    とても豊かなものだったように思えてなりません。
    本書を読むと、本物とは何か?アートとは何か?
    ということを考えさせられます。




    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 大変に面白かったが、あえて言えば贋作の写真だったり、アトリエの写真なんかも多少はあっただろうに、それを間に挟めばより背景がクリアになったろうと思えた

  • 肝心の贋作の作り方が薄味。それぞれの画家との対話から何を感じ取っていたのかを書いてほしかった。なんでピカソとは波長がよくあったのかも謎。

    人を感動させる贋作>Tシャツにプリントされた本物の絵画

  • 非常に面白い!

  • アートを評価する時、「作者が誰か」で振り回され、本物の絵の良さだけで語るとこが難しい美術界の不自由さを考えさせられた。
    画家を憑依させ、本人になりきって作品を描いていく手法が興味深い。

  • 天才贋作画家の自伝。
    アート市場の現実に驚かされるが、やや自慢話めいて白ける部分もある。

  • 贋作画家の半生をたどる自伝
    名画の贋作を作るのではなく、偉大な画家の未発表作品を作るというところがユニーク

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