作品紹介・あらすじ
シリアスなコメディか、笑えるディストピアか。デビュー作『止まりだしたら走らない』以来2年ぶりダ・ヴィンチ・恐山が品田遊として帰ってきた!鋭い分析と冴えわたる想像力で紡がれる物語が読む者をいわく言い難い感情に導く。黙示録的短篇集解禁!!巻末袋とじ付。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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・品田遊2作目
・ファイル_01 猫を飼ったことはないが猫を持ち上げたくなった。にょーん。伸びた猫は出す声も伸びるのかな
・表紙を読了後に見返すと面白い
・ファイル_06 紫色の洗面器みたいなこと起きたらどうするのが正解なんだろう。隣人がYouTuberってちょっと困る
・ファイル_07 みちるちゃんはホラー。心にこびりついて離れない「いやさ」がある。これが呪いか
・_08の最強ブログ生成システムは魂の叫びに感じた。chatGPAに作らせたらこんな感じか。小説というよりは詩だと思う
・_10 習字の話はコメディ。だよね?
・_12亀ヶ谷スレは発想が天才すぎる。ある手法なのこれ?
・_14 有名人は「俺は完全に頭がおかしい」と理性を持っていることも怖い。カミュの異邦人みたい。
・_ 15 「最後の1日」の意味とは?
・_16 伏線回収の快感
・_17 侵略者の持ち込む病原菌のような
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ずっとおかしいんだけど、なんかリアルで現実的。センスの塊すぎ。
好き
・亀ヶ谷典久の動向を見守るスレpart2836
・有名人
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ドラマチックな展開とかないのに面白かった。不思議な気持ち。こういう本のジャンルは何て言うんだろう?
「猫を持ち上げるな」や「亀ヶ谷典久の動向を見守るスレ part2836」などではネットの反応がリアルすぎて気持ち悪くなった。本当にこういうこと起こりそうでやだな〜
レコメンドの話やクラムゲートも好き。
SNSなど身近なものを題材にしているのも「もし自分がこの立場に置かれたら...」と想像しやすくてとても良い。短編集作品の中でかなり好きな作品になった。
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「猫を持ち上げるな」★★★
「カステラ」★★★
「この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は」★★
「カスタマーサポート」★★★
「天才小説家・北美山修介の秘密」★★
「紫色の洗面器」★★★
「みちるちゃんの呪い」★★★
「1日5分の操作で月収20万!最強ブログ生成システムで稼いじゃおう」★★★★
「過程の医学」★★
「習字の授業」★★★
「ピクニックの日」★★★
「亀ケ谷典久の動向を見守るスレpart2836」★★★
「GIF」★★★★
「FILE」★★★
「有名人」★★★
「最後の1日」★★★
「同窓会」★★
「クラムゲートの封は切られる」★★
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アイデアというか目のつけどころが面白い。
好きな作風です。
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日本版ブラックミラー。生活に根付いた世知辛いSF。
装幀がとてもいい。イラストは可愛いし、話によってテキストのスタイルが変わるのも面白い。
『クラムゲートの封は切られる』
主人公達がある星へ降り立ったことで、凍っていたその星の時間が解凍され滅びてしまうという話。
作中に出てきた、寿命を調べるために刃を入れられたことで殺された724年生きたハチワレ貝にちなんで、この物語が綴られたページは袋とじになっている。物語の結末はとうに印刷されているので、刃を入れなくても終焉はあらかじめそこにあるという点も、物語と重なる。
『最後の1日』
追いかけてくる(殺人的にだるい)思考から逃れる為にSNSやソシャゲに没頭する心理が巧みに描かれている。
バイト先から電話がきて脅迫的な不安に胸を締め付けられた主人公はTwitterをひらく。「さっき」と入力したあと、何を書けばいいかわからなくなる。代わりに他人のツイートを読む。
“見知らぬ誰かが入力した小さな意味の群れを次々と飲み込んでいくうち、沸き起こった思いを言葉にまとめようとする欲求はなだめられる。10分後には、寿也の心理状態はチーフから電話がかかってくる前と同様の平静さを取り戻していた。”
ものすごくわかる。虚しすぎるので普段見ないフリをしている思考の流れが精緻に描かれている。スマホ依存を考える際の資料として使えそう。
“走るほど、何かわからないものに追いつかれそうな気がした。
立ち漕ぎする。背後から何かが距離を詰めてきている。
早く逃げないと、殺される。
逃げろ。
寿也はペダルを思い切り踏み込んだ。”
寿也は(殺人的にだるい)思考から逃げる為に自転車を漕ぎまくって、側溝にはまって物理的に死んでしまう。倒叙的に組み立てられたストーリーも面白い。
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インターネット。「推し、燃ゆ」に通じるインターネット感。どの話も面白かった。最初の猫の話が好き。
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短編集。ショートショートと言うべきか。ちょっとした仮定が物語を作っている
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初っ端から面白い。なのに気分が悪い。普遍性はあるが題材もネタも現時性が高いので早々に錆びが出そう。しかし今はまだ面白いのだ。
著者プロフィール
東京都出身。作家。
著者に『止まりだしたら走らない』(リトルモア)、『名称未設定ファイル』(キノブックス)がある。
「ダ・ヴィンチ・恐山」名義で、株式会社バーグハンバーグバーグ運営の「オモコロ」などの幅広い媒体でライターとしても活動中。
「2021年 『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」
品田遊の作品
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