25%の人が政治を私物化する国 (詩想社新書)

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  • 詩想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908170232

作品紹介・あらすじ

利権に連なる一部の人に完全に私物化された日本政治。政官財の利権構造と、権力者による国民支配の実態を暴き、日本刷新の道を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 対米従属、対米隷属路線を脱却しようがテーマの本。非常にわかりやすいが、「中国は?」ってなる。
    ミラーマンにされたことについては冤罪だと思うし、本人がそれを主張しているのでそこは信じたいかも。
    「偽情報退散!マスコミとお金は人の幸せをこうして食べている(5次元文庫)」は、たぶんこの植草一秀理論を元に書いているように思える。
    それくらい、ノリが似ている。とくに、薬品関係、農薬関係、健康への影響まわりのところ。



    2017年までの実質賃金伸び率の統計作成方法と、2018年以降は違う。2019年の衆議院総選挙のために、経済成長を表現するために自民党がやった。
    正規労働者の比率は下がる一方…→★ここは事実ではないのでは?小熊英二「日本社会のしくみ」を確認。

    植草さん主張
    ・特定秘密保護法反対
    ・集団的自衛権行使反対
    ・平和安保法制反対
    ・TPP参加反対
    ・種子法廃止に反対
    ・漁業法改定に反対
    ・水道法改定に反対
    ・働き方改革は働き方改悪である
    ・入管法改定に反対
    ・原発稼働反対
    ・対米従属&対米隷属反対
    これらの政策運営に多くの国民が反対意見を表明してきた…→「多くの国民」とはどれくらいの人数で、どんな所属のどんな役割の人たちか?プロ市民の割合や、その背後は?

    →中国共産党の動きや、対米従属に反対する対中従属勢力や民主党関係の動きについては言及してない?冒頭では言及しないだけ?

    五つの心得
    1.情報を鵜呑みにしない。とくに強い影響力を持つマスメディアからの情報。まずは疑おう。
    2.権利を粗末にしない。参政権があるんだから「行っても意味がないから行かない」と言わずに投票に行こう。
    3.政党まかせにしない。まかせられる政党がいないなら山本太郎みたいに政党を作ろう。
    4.政治刷新のための戦術として目標を絞り込む?
    5.決してあきらめない?

    →立憲民主は反自民プロレスメンバーなので、実質自民党と同じだが、山本太郎はガチ勢なので、自民党からすると面倒くさい小物芸人。
    →4.と5.はよくわからない。

    16社体制…マスメディアの大手は16
    全国放送のテレビで視聴率1%でも100万人以上に情報伝達することができる。これが、マスメディアの力。

    全国放送のキー局5と系列新聞社5
    ・日テレ→読売
    ・TBS→毎日
    ・テレ朝→朝日
    ・フジ→産経
    ・テレ東→日経

    都道府県に原則1つずつは地方新聞社が存在する。地方紙への情報提供する通信社は2つ。これ以外に通信社はない。
    ・共同通信社
    ・時事通信社
    ローカルニュース以外の全国ニュースや海外ニュースはこの2社の情報をそのまま流しているのが地方紙。

    複数都道府県にまたがり情報を流すブロック紙は3社。
    ・北海道新聞
    ・中日新聞
    ・西日本新聞

    公共放送のNHK

    これらを合わせて16。大多数はここのどこかからしか情報を得てない。

    ★絶対にこの人は信用できないとわかるまで信用し続けるのが日本人。絶対にこの人は信用できるとわかるまで信用しないのが中国人。

    権力者はメディアをコントロールし、メディアは国民の人心をコントロールする。とくにNHKの信頼度が高いのでそれが可能。

    日本の有権者の半分は参政権を放棄するが、熱心に取り組む人がいる。政治から利益を得る人々。
    財政の構造改革のテーマは財政赤字削減ではなく、財政支出の見直しである。どこに利権が生まれて、美味しくいただけるのか、そこに関係するから熱心になる。利権に関与しない人々は興味がわかないのは当たり前。

    全国の有権者の投票率が50%とすると
    自民党得票率は18%
    公明党得票率は7%
    あわせて25%。これが利権に関与する人々の総数。

    多かれ少なかれ、利権に関与するメンバーは一丸となって選挙活動に取り組む。自分たちと目的が一致しない人々には「投票にこないでほしい」と思っているし、そう誘導する。

    選挙に興味を持たせないために、選挙が近づくと大物芸能人の麻薬事件や、不倫騒動や、詐欺事件に殺人事件など、選挙に興味がいかないような報道を各マスメディア横並びで流す。一般市民はできるだけ選挙に行かないでくれ、というメッセージ。
    →これは統計データがほしい。選挙日が近くなくても常にこんな感じがするけど。

    ★現代日本社会の縮図は町内会にみられる。
    町内会費月700円でも400世帯あれば年間336万円になる。この一部は「役員懇親会」という名の飲み会代に利用される。これが利権。
    →PTAは?

    自治体は、例えばゴミの有料化を進めるために、町内会への助成金を増やすことで町内会の意思決定を促すことがある。市長選が近づくと町内会で市長との懇親会が開かれたりする。
    利権に関与する町内会幹部を組織的に支配し、上から下までの既得権益を守る。
    →財政運営の透明性向上を訴えれば既得権益者からあの手この手で邪魔されるし村八分?逆に仲間になれば利権に関与できる!

    利権政治勢力の人民支配ツール5
    1.洗脳
    2.教育
    3.堕落
    4.恐怖
    5.買収

    堕落はGHQのスリーSが有名な手法
    スポーツ、セックス、スクリーン

    スポーツ振興は人々を政治から引き離すツールであるだけではなく、滅私奉公に誘導させることにも有効。
    東京オリンピックでの「ボランティア募集」という策にそれが見て取れる。

    対米従属ではなかったので人物破壊工作を受けたのが、植草一秀、鳩山由紀夫、小沢一郎。
    →対米従属を脱出しようとすると、嫌でも反対勢力の力を借りることになるはず。これが対中従属になるのであれば、結局は支配されるポジションから変わらないのでは?

    →ツール5の進捗予想
    日本
    1.洗脳→●
    2.教育→●
    3.堕落→●
    4.恐怖→▲
    5.買収→●

    中国
    1.洗脳→▲
    2.教育→▲
    3.堕落→▲
    4.恐怖→●●●●●●●●●●
    5.買収→●

    アベノミクス3本の矢は、金融緩和政策、財政出動政策、成長戦略。
    そもそも経済政策とは、金融政策、財政政策、経済構造にかかる政策。
    なので、別に新しいことをしたわけではない。目新しいことをしているような印象操作。

    金融緩和政策としてインフレ誘導。
    メリットを享受できる→名目賃金を据え置いたままでインフレになると実質的賃金を圧縮できる企業。労働コストの削減が目的。
    デメリット→賃金を受け取る労働者や年金生活者。預金や貯金の価値も下がる。
    ただし、負債を抱えている場合はインフレが生じればその分負担が軽くなる。

    鉄工業生産指数…経済の動きを正確に表す。
    2014年3月で消費税5%が8%になった時から2年余り減少が続いた。

    インフレ2%は実現できなかった
    →なぜ?

    成長戦略の柱
    1.農業の自由化
    2.医療の自由化
    3.労働規制の撤廃
    4.法人税減税
    5.特区・民営化推進
    これらの目的は、シンプルに「グローバル化」である。

    トリクルダウン→取り尽くされてダウン

    GDP成長率について、民主党政権時代と、第二次安倍内閣後の2019年3月までの「平均」で比較して、民主党1.7%プラス、自民党1.3%プラス。
    →GDP成長率の期間での平均値を比較する意味がわからない…

    政治の役割は、国会において予算を決定してそれを執行することである。

    ★2018年の会計。
    歳出純計は238.9兆円。
    うち国債費(満期国債分の償還や利払い分の合計)87.8兆円
    うち財政投融資(民間へ国が投資する金額)12.6兆円
     それらを除いた残りが138.5兆円
     さらにその内訳が
     社会保障関係費90兆円…この財源は年金保険料と健康保険料。年々微増していっている。消費税と同じく、下々からきっちり確実に回収する。
     政策関係支出30兆円…利権が多く含まれている
     地方交付税交付金20兆円…利権が含まれている

    https://chikyumura.org/2018/06/report201806.html
    ★2018年度は一般会計97.7兆円、特別会計388.5兆円で一般会計の4倍!
    合計486.2兆円だが、一般会計と特別会計は重複があり、その144.1兆円を引くと342.1兆円。さらに借り換え償還額(借金を別の借金で返済)103.2兆円を控除すると
    本当の歳出(純計)は238.9兆円だ。
    これらの仕組みも金額も、国民は知らされていない。
    →なぜ重複があるのか?その算出方法は?
    →借り換え償還は自転車操業?
    →借り換え償還額の算出方法は?


    政治のあり方3種
    ・リバータニアニズム…米国の主流の考え方。自分のことは自分でやろう。貧民になっても自己責任。経済活動に政府が介入すべきでないし、経済活動の結果、格差が広がってもそれを是正しようと政府が介入すべきではない。弱肉強食。
    ・リベラリズム…リバータニアニズムと発想が逆。社会保障制度の充実、生活保護、失業手当、富裕層から高額の税金をとって貧民にも最低ラインの生活を保証しよう。
    ・コミュニタリアニズム…リバータニアニズムとリベラリズムの中間?理想論。お花畑理論なので現実的ではない。

    2000年代から小泉政権によるリバータニアニズムがプッシュされる。背後は米国。自由主義。市場原理主義。
    新自由主義…自由主義をベースに置く格差容認の経済政策
    これらの自由主義の世界では、格差は確実に広がり、それは1代で終わらず、多世代にわたって格差が固定化される。確実に。
    生活保護や障がい者保護についてバッシングがあるのは、新自由主義側からのリベラリズムを叩くアクション。
    社会保障関係費90兆円の内訳として、大半は高齢者向けの年金支払、医療費、介護費用なので、生活保護や障がい者保護の支出はわずかでしかない。
    これがわかっていれば、生活保護などをたたくという行為にはならない。あくまでそこが悪だと印象つける印象操作。正義の棒を与えるマスメディアのやり方。

    「頑張った人が報われる社会」なんてのは綺麗事であり、非現実的。
    実際は、策謀を巡らせて利権に食い込んで巨大利得を得るハイエナと、
    汗水たらしても最低限の生活すらままならない過労死寸前の働きアリが大量にいる世界。

    植草一秀「おれはリベラリズム」

    米国≒自民党=新自由主義=「小さな政府」が好き。

    「小さな政府」の3つの類型
    1.民営化施策
    2.社会保障費の削減や圧縮
    3.利権支出の削減

    2000年代から郵政民営化をはじめ、1や2はかなり実現してきたが、3はやらないしやれない。
    なぜなら、とっても美味しいから。やめるわけない。

    民営化をすすめる手順としては、グローバル資本をバックにつけて、
    民営化で得られる利益の一部をキックバックする約束を政治家や学者にとりつけ、
    そいつらに宣伝させてすすめる。関係者はwinwinになる。政治に参加しない奴隷たちが損するけどそんなの知ったこっちゃない。しねしね。

    リバータニアニズムの世界は弱肉強食であるので、これを継続させれば限りなく下層は死んでいく。生きていても死んだようなもの。
    一方、上層部は「下層の人間は努力しないからだ」という印象を持つが、そもそものスタートラインが違うので、そんな単純でもない。

    消費税は1989年4月から開始。
    大蔵省「ねんがんの かんせつぜいを どうにゅうできたぞ」

    トランプ大統領は米国を支配する資本家の完全支配下ではない。
    その結果、資本家のコマであるマスメディアからバッシングを受け続けている。
    とはいえ、資本家との折り合いをつけなければトランプも大統領を続けられないが、
    結果として自由主義=グローバル化をすすめる資本家をバックとした民主党が政権を奪取するにいたった。

    植草一秀の具体的方策
    1.最低時給1,500円
    2.消費税撤廃
    3.民営化と経済特区の停止
    4.TPPプラス・FTA交渉停止
    5.財政支出からの利権支出削減


    働き方改革4つの基軸
    1.長時間残業の法的枠組み整備
    2.同一労働同一賃金
    3.裁量労働制の適用範囲拡大
    4.高度プロフェッショナル制度
    目的は、労働コストの削減。残業代を払わないでよくなるとか、非正規にあわせて正規社員のコストをさげるとか。
    一度作った残業代を払わないでよい枠組みを、今後はもっと広い範囲に広げていけばさらに削減することができる。
    労働時間管理が全くされなくなり、新たな過労死を招く恐れがある。
    →「健康管理時間」として、月々管理され、労働時間が多い職員には指摘が入る仕組みになっているが、これはなんだろう?

    すべての施策の根底には、グローバル資本への利益供与がある。
    大資本が日本で事業展開する際に最も邪魔なのが労働コストである。その労働コストを削減・圧縮するのが最重要施策。
    これが、そのまま自民党のミッションとなっている。
    次は、「解雇の自由化」がテーマ。

    ★日本政府は賃金が低く人手不足となっている以下分野で使える外国人労働者を「輸入」する方針。
    ・介護
    ・外食
    ・宿泊
    ・建設
    ・ビル清掃
    ・農業
    ・飲食料品製造
    →言い換えると、この分野の現場仕事をすることがないように将来設計をすべき。

    農業における「技能実習生」はまさにこれ。技能実研修制度のもとで、ありえないくらい安い賃金で外国人労働者(奴隷)を使う。
    これと同じことを、他の分野にも展開しようとしている。
    現代版奴隷貿易制度を創設するための入管法改正

    最低賃金を全国一律1500円/時間とすれば、地方創生になる。
    →人口の構成比とか、不動産の状況とか考えたらどうなんだろうか…?

    ★リバータニアニズムの主張として、経済活動の結果得られた私有財産を国家が徴収しそれを貧困者に給付するのは許さない、というのがある。
     可能な限り社会保障支出を切り詰めることを主張するものが、他方で、政府の利権を伴う裁量支出については容認するというのは筋が通らない。
     ダブルスタンダードである。
     市場原理を重視すると言いながら、賃金が低く人が集まらないところへ賃金の引き上げで解決しようとしないのはやはりおかしい。

    IMFとOECDは定期的に日本の経済政策について提言(命令)する。
    IMFには財務省から職員が派遣される。
    OECDには経済企画庁か通産省から職員が派遣される。
    省庁再編により経済企画庁が内閣府に吸収され、その内閣府の実権を握ったのが財務省。
    つまり、財務省がどちらについても主導権を握っている。
    さらに、現在は財務省がOECD幹部ポストに人を送っている。

    ★財務省がOECDという衣をきて、財務省が作った主張を発表している。

    森友学園の件で、財務省は安倍首相に対し、消費税増税を引き換えに事実を公開しなかった。
    安倍首相は議員生命を保つために、財務省の言いなりになり消費税増税を果たした。

    1985年、タックスPR、いわゆるTPRの件で、大阪大学教授の本間正明が「消費税導入は中間層以下の国民の税負担増になる」と試算した。
    これを朝日新聞が報道したことで、反対論に火がつき中曽根首相は売上税法案提出を断念。
    しかし、TPRの事務統括者である財政金融研究所のN次長が「本間を取り込め」と命令。
    結果、反対派だったはずの本間教授は賄賂やら何やらですっかり大蔵省寄りの学者に転換した。
    そして、4年後に、消費税が導入された。
    1989年 3% 
    1997年 5% 橋本龍太郎内閣での閣議決定
    2014年 8% 菅直人が方針を示し、野田佳彦が制定


    鳩山由紀夫は完了の天下り利権を根絶しない限り、消費税増税を認めない方針を明示。
    財務省にとっては最悪。

    ★財務省の目的は、消費税を引き上げ、天下り利権を拡大すること。
    財政支出における社会保障支出を削減し、裁量支出を拡大すること。


    米国&官僚&大企業による政治支配に歯向かった鳩山内閣はわずか8ヶ月で退陣に追い込まれた。
    大企業により政治支配の根源となっている企業献金の全面廃止方針を明示したのだから、当然総攻撃をくらう。
    次に首相になった菅直人は、対米従属に回帰し、財務省利権を温存し、企業献金廃止の件もポイ捨てした。
    米国「お利口さんやね」
    そして、2010年6月17日の公約発表会見にて、菅直人は消費税10%引き上げ方針を明示する。

    2009年8月6日 野田佳彦 シロアリ街頭演説「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」
    と言っておいて、2012年8月に野田が消費税増税法を強行制定した。
    小沢一郎が新党結成してしまい、これをつぶしたいので2012年12月に野田は総選挙を実施。
    結果的に民主党が負けて、自民党に大政奉還がなされる。

    消費税は消費懲罰税である。

    企業の内部留保に税を課す、というのは課税後の法人所得から配当と役員報酬を差し引いた残余の蓄積への課税なので、二重課税である。
    という理論は、そのまま消費税にもあてはまるのでは?植草理論
    消費税というのは、個人が1年間に得た所得から所得税や社会保障料を差し引いた残余の可処分所の一部を消費にまわすことへの課税なので、二重課税ではないか?

    植草一秀「シロアリ退治しないで消費税増税した責任がある菅直人と野田佳彦はしね」

    消費税は限りなく富裕層に優しい課税制度。
    財務省「国民は、1%の資本家や超富裕層と、99%の奴隷階層でOK」
    ロスチャイルド「世界革命行動計画」のとおり。

    ★★★輸出事業者の輸出金額から消費税に相当する金額が還付される。いわゆる「輸出奨励金」

    法人税が下がる→課税後の法人所得が増える→配当にまわせる&役員報酬にまわせる&内部留保増える
    →とくに、「配当にまわせる」はすなわち株主にならないと置いてかれる、という意味になる。
    →「役員報酬にまわせる」というのはそのまんまで、決定権をもつ役員が恩恵を受けられるので、そらそうなるわな。

    野田内閣、安倍内閣は法人税を下げた。この理由はおおまかに3つ。
    1.財務省が消費税増税するための理由を必要とした
    2.大企業を優遇することで、大企業が支配権をもつマスメディアを使って消費税増税を推進することができる
    3.グローバル資本が日本の法人税負担の削減を求めてきた(とくにこれ)

    消費税導入の1989年と2016年の国税収入の比較(兆円)
         1989年   2016年  増減
    税収合計 54.9    55.5   +0.6
     所得税 21.4    17.6   -3.8
     法人税 19.0    10.3   -8.7
     消費税 3.3    17.2   +13.9


    所得税の話も単純ではなく、高額所得者に占める割合が高い「利子配当所得」「株式譲渡益所得」い対しては、
    累進課税ではなく20%分離課税という扱いとなっている。
    配当でかせげば稼ぐほど税負担割合は減る。

    マスメディアを使った日本の財政危機を演出するフレーズは「国の借金が1000兆を超えている!」である。
    が、実際にはB/S(2017年)では資産が1336兆円で負債が1296兆であり、40兆円の資産超過となっている。この資産超過については宣伝されない。
    ★内閣府が発表している国民経済計算統計では、39兆円の資産超過であることが明示されている。政府資産に金融資産と実物資産をあわせているため。
     財務省が発表している財政統計資料では、549兆円の債務超過であるとされている。政府資産から実物資産を取り除いているため。
     明らかに、債務超過で危機感を煽るための演出である。実物資産を取り除く、という行為自体は明らかに会計上おかしな話であり、B/Sがわからない愚民をバカにしている。

    植草一秀提案
    ・法人税負担と所得税負担の適正化
     利子配当所得、株式譲渡益所得の分離課税を20%→40% 税収10兆円UP
    ・利権支出をおさえて50兆円を20%カット

    税収合計 55.5 → 45.5
    ・所得税 17.6 → 27.6 +10
    ・法人税 10.6 → 17.9 +7.3
    ・消費税 17.2 → 0   -17.2
    (利権支出をおさえて50兆円を20%カットで10兆円でるので、税収として10兆円は不要になる)

    太陽光発電パネル自体の価格は低下してきた。
    あとは、送電、変電プロセスが公的管理下におかれ、その利用の自由が保証されるのであれば、日本のエネルギー構造は一変するだろう。
    →原発反対派が太陽光発電を持ち上げるし、原発推進派は太陽光発電をバッシングする。どっちが本当なのかわからない。

    公的機関の民営化は、独占と営利化が懸念事項となる。
    例えるなら、山頂で売られる300円のペットボトルの水みたいなことが起こりうる。

    国鉄が分割されて民営化されたときに起こったこと
    ・運輸省や国土交通省の官僚が天下りで民営化会社の役員ポストへ
    ・旧国鉄の幹部が民営化会社の役員ポストへ
    ・国鉄時代には実現できなかった巨額の役員報酬を実現する

    民営化の理由に事業の効率化や生産性向上が謳われるが、営利化することでその利益分がユーザへ転嫁される。

    ジョセフ・スティグリッツ「IMFや世界銀行が多用した民営化プロセスは、正確には賄賂化である。
    国家のリーダーたちは、世銀の要求を盾にして国内反対派を黙らせて、喜んで電力・水道会社を売り払った。
    国家財産の売却価格をほんの数十億ドル差し引くだけで、スイスの銀行口座に10%のコミッションが振り込まれるんだから、
    彼らの目が輝くのは当然。」


    2012年12月総選挙で野党だった自民党は「TPP断固反対」を叫んでいた。
    しかし、
    2018年12月30日 TPP11(米国抜き)が発効。
    2019年2月1日 日欧EPAが発効。
    さらに、RCEPを発効しようとしている。(2019年6月の執筆時点で)

    TPPプラスの問題3点
    1.日本の農業が壊滅的な打撃を受ける(?)
    2.
    3.

    →P.156で「第一は、日本の農業が壊滅的な打撃を受けることがほぼ確実である」と言っているが、
     「肉の関税」の話と「自動車のうちのライトトラックの関税」の話しかしていないように見える。
     肉の話は畜産の話だし、農業の話とは違うように思える。どうした?植草一秀。

    日本政府は「主要農作物種子法」廃止をすすめた。
    グローバル資本家にとって、種子市場における利益拡大のためには主要農作物種子法が邪魔だった。
    また、「種苗法」の運用改定も進行。

    フランスのカーン大学で2年間ネズミに遺伝子組み換え(=GM)食品を食べさせたところ、
    がんだらけになったという研究結果がある。
    →本当??「情報を鵜呑みにするな」発動か?

    遺伝子組み換え作物の種子の開発メーカーは、強い毒性をもつ農薬を販売している。
    それらメーカーとしては、毒性に耐えられる種子と農薬をセットで販売したい。
    土地になじませることで、それ以外の農作物はしばらくできなくなるので、その土地への独占販売ができる?

    農薬「ラウンドアップ」を扱っていたモンサント社がドイツの製薬メーカーであるバイエルに買収された。
    バイエルは、毒性の強い「グリホサート」などを扱い続けているが、健康被害がでれば製薬も売れる。
    究極のマッチポンプ。

    日本で乳がんの発生率が急激に上昇しているが、成長ホルモンを使用したアメリカ産牛肉の輸入増大と深い因果関係がある。
    →根拠がほしいよ植草さん。


    ISD条項。
    日本でのビジネスに投資した資本が日本の制度により損害を被った場合は、世界銀行傘下の仲裁廷に提訴する。
    結論は、グローバル資本の意向どおりになる。

    米国抜きのTPP11では多くの国がISD条項を拒否したが、日本の安倍内閣は推進。バックが米国資本であり、将来的に交渉がある場合にISD条項が必要になるため?
    →結局TPP12じゃなくてTPP11(CPTTP)が発効されたっぽいが、元のTPPとどこが違うのか?差異は?


    プログラム支出…制度が確定したら自動的に支出される
    裁量支出…財務省のさじ加減で支出される

    財務省は利権支出先が天下りであり、利権政治勢力は利権支出を拡大することでキックバックを受け取る。
    これらは収賄に該当しない形をとる。
    具体的な事例として、塚田一郎国土交通副大臣の2019年4月7日街頭演説からわかることは、
    安倍首相の本拠地である下関市と、麻生財務相の地元北九州市を結ぶ巨大な3本目の橋を建造する案件。
    すでに2本の橋があり、交通量を考えても不要なのに、無駄な公共工事をするのは、地元の土木・建設業者に
    仕事を作り、キックバックを受け取ることになる。巨大な公共工事は金額も大きく予算もとれる。
    →具体的に「収賄に該当しない形でキックバックを受け取る」方法って何?

    民主党政権がやった事業仕分けはただの学芸会の出し物であり、全く意味がない茶番。
    会社で例えれば、代表取締役や役員が総出で、現場社員に「このような改革を進めて良いでしょうか?」と
    お伺いを立てて、現場社員が「できません」と答えるような図式だった。

    米国の軍事支出は年間5000億ドル超。66%は人件費で、残り34%は軍事産業への支出である。
    軍事産業はグローバル資本による軍産複合体であり、戦争ネタが不可欠である。
    軍事衝突や緊張を走らせ、日本から米国軍産複合体へ大量発注をさせるのが、米国大統領のミッションである。

    植草一秀「対米従属を脱却せよ。真の独立を目指せ。」

    長州レジーム

    日本国憲法は、GSが主導するGHQが主導的役割を担って制定されたものであり、他国に類を見ない「戦争放棄」が条項に含まれている。
    裏返せば、それだけのことを日本帝国軍がやったということ。
    日本を徹底した民主主義国家として、農業を主軸とし、低成長国家として育成することが当初の狙いだったが、
    1947年にソ連との冷戦下に突入したため、その方針をアメリカは転換した。
    一転して、重工業育成政策が採用された。再軍備に産業強化。

    1950年 朝鮮戦争

    米国が日本を重工業育成モードで進めるために選抜した窓口が、吉田茂と岸信介だった。
    吉田茂はGS・GHQと仲良くしつつ、鳩山一郎を失脚させて、1946年5月16日昭和天皇から組閣の大命を受けて組閣。
    1947年総選挙で片山哲に政権を奪われたが、続く芦田均内閣を1948年に昭電疑獄事件工作により失脚させ再び首相に就任。
    1948年から1954年の6年間で、吉田茂内閣が今の日本の体制を築き上げた。
    これは、戦後まもなく想定された民主主義国家とは全くもって別のかたちであり、非民主化の体制であった。
    「逆コース」という。
    当然、徹底した民主主義国家を目指した日本国憲法と、吉田内閣によって構築された現在の日本の体制は相容れないものである。

    逆コース下で発生した怪事件
    ・国鉄三大事件
    ・帝銀事件
    詳しくは松本清張「日本の黒い霧」参照

    ★CIAは資金を使って自民党を創設。こっちがメイン。
     権力に対峙する風合いを醸し出しつつ、実は権力とつながりプロレスをやる、えせ反政府政党として民社党も創設。
     左側の防波堤、という。
     民社党だけじゃなくて、朝日新聞もその目的でCIAが主導して育成したとか。

    吉田茂はサンフランシスコ講和条約と同時に日米安全保障条約を独断専行で締結。
    その結果、日本は独立を回復したにもかかわらず、米軍の日本駐留が維持され現在に至っている。
    米軍に治外法権を与える「日米地位協定」も70年間維持されたままである。
    まさに対米従属の父としての吉田茂。

    鳩山一郎は対米従属路線ではなく、距離を保つ路線。
    ソ連との平和条約締結寸前まで交渉を進展させ、シベリア抑留者50万人を日本に帰還させた。
    米国はここで横槍を入れる。
    「日本が歯舞・色丹島返還による平和条約に踏み切るなら、米国は永遠に沖縄を日本に返還しない」
    これにより、日本は北方領土について「4島が日本帰属である」という米国主導の主張に切り替えてしまい、
    現在のようにロシアと平行線をたどってしまうようになった。

    ★米国は日本が近隣諸国と適度に緊張状態を保つために、
     尖閣、竹島、北方四島の領土問題という種を仕込んだ。


    1956年12月自民党総裁選で、米国傀儡の岸信介ではなく、米国へモノが言える石橋湛山が勝利。
    これはGHQにとって望ましくないので、1957年1月25日、帰京した直後に脳梗塞を発症。65日で退陣し、
    代わりに岸信介が首相に就任した。GHQの生物兵器によるものではないか?とされているとか。
    1960年に岸信介内閣は日米安保条約改定を断行。

    砂川事件

    米国と距離を置いた首相
    ・片山哲
    ・芦田均
    ・鳩山一郎
    ・石橋湛山
    ・田中角栄
    ・細川護熙
    ・鳩山由紀夫(小沢一郎)

    対米隷属の首相
    ・吉田茂
    ・岸信介
    ・佐藤栄作
    ・中曽根康弘
    ・小泉純一郎
    ・安倍晋三

    対米従属、対米隷属をすることで、政治的・社会的・経済的身分の安泰が保障された。
    →今後は逆側陣営として中国がいるけど、どうなのか?

    マスメディアのなかで主導的役割を果たす芸能プロダクション
    ・ジャニーズ事務所
    ・AKBグル-プ
    ・吉本興業
    ・バーニング

    この4つの芸能プロダクションと16体制のマスメディアをコントロールできれば、
    日本の情報マス空間はおおよそ網羅できる。

    吉田内閣がつくった「逆コース」に理念に沿って「放送法」が制定された。
    NHKは、政治権力のほうを向いていれば安泰。受信料は契約者から流入するけど、
    法律上は義務だから、視聴者のほうを向く必要はまったくない。情弱は払うから大丈夫。

    植草一秀「NHKはスクランブル化すべき。任意契約制にすべき。」
    植草一秀「主権者向けの共通ポータルサイトをつくるべき。」
    →スクランブル化はとっても賛成。共通ポータルサイトから優良情報にアクセスさせる、とあるけど、「優良情報」って何?

    日本の教育は、奴隷養成所である。
    与えられたことがらを暗記し、目上の者に従う処理能力の高い人間がほしい。
    よくできる子は幹部候補にして育てる。自分で考えて自分の意見を持つエラーは弾く。
    管理しやすい奴隷を作るのが目的。

    「教育の義務」とは、「子女に普通教育を受けさせる義務」である。「子女に学校教育を受けさせる義務」ではない。
    普通教育をする現場が必ずしも学校である必要はない。不登校児童に無理やり学校へ活かせる必要はないが、
    普通教育を受けさせるように環境を整えてあげる必要はある。

    「不登校児童」には「非正規」の意味合いがある。エラー品。


    理想
    ・主権者が代表者を議会に送る(選挙)
    ・議会の多数勢力が内閣を作る
    ・行政権は内閣に属する
    ・内閣の下に官僚機構が置かれる
    ・官僚機構は内閣の決定、指示に基づいて行政執行する

    現実
    ・主権者の利権関与者が代表者を議会に送る(選挙)
    ・議会の多数勢力が内閣を作る
    ・官僚機構が政策を立案する
    ・官僚機構の指示を受けて内閣が形だけ決定、指示する
    ・官僚機構は内閣の決定、指示(茶番)に基づいて行政執行する

    政治家は官僚が用意した台本を読むだけの存在なので、LeaderではなくReaderである。

    GHQは完全な民主主義体制の構築に失敗した。2つの理由。
    1.天皇制を温存したこと
    2.権力者としての官僚の地位を残存させてしまったこと


    官僚機構は国民に対する奉仕者であって、支配者ではないはず。

    官僚機構改革
    1.天下り根絶
    2.官僚の職名を変更「官」→「員」
    3.公務員採用方法を大卒採用一本化&省庁別採用の廃止


    天下りの仕組み。
    官僚は所管の業界の生殺与奪の権を握っているので、その業界の民間事業会社にポストを作らせる。
    見返りに入札案件をあげたり、制度をつくったりする。そして、退官後は役員として民会事業会社の役員ポストへ天下る。
    これがとっても美味しい。

    各省庁所管の外郭団体への天下りも美味しい。
    高額報酬、個室、秘書、専用車。とってもエロくて美味しい。

    企業側としては、天下りポストを用意し、退官後の官僚を迎え入れる。
    高額コストが発生するが、業界内で優位な位置を保持し、それ以上の効果が得られると期待できる。
    不祥事が発生したときにそなえ、警察OBを迎えて入れるのも忘れてはならない。

    財務相の天下りポスト
    ・日銀
    ・日本取引所
    ・政策投資銀行
    ・国際協力銀行
    ・政策金融公庫
    ・JT
    ・横浜銀行
    ・西日本シティ銀行

    自民党憲法改正草案では、憲法第22条の条文
    「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」から、
    「何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と、「公共の福祉に反しない限り」を除いた。
    つまり、天下り行為は「公共の福祉に反する」ということを暗に認めていることになる。

    植草一秀「「官」は偉いと勘違いするから、全部「員」に変えてしまえ。えらそうだしあいつら。」

    裁判官→職業裁判員
    警察官→警察員
    事務次官→事務長
    事務官→事務員
    総裁→社長
    企画官→企画員
    参事官→参事員
    審議官→審議員

    大臣官房→総務部
    財務相主計局→主計部
    理財局→理財部


    現在の第一種国家公務員になる人材は圧倒的に偏差値が高い高学歴で好成績の持ち主であり、上昇志向も格段に高い。
    さらに事務処理能力も非常に高く、目的に向けて行動する高い能力がある。
    そんな彼らは入省と同時に役所内での出世競争に全力を注ぐ。役所の人事考課基準は主権者への貢献度ではなく各省への貢献度である。
    主権者である国民のほうを向く必要はどこにもない。
    内閣人事局が設置され、各省庁幹部人事の主導権が首相官邸に移行した結果、エリートたちの行動動機も変わった。
    各省への貢献ではなく首相官邸への貢献が人事考課基準となるのだから、当然。


    日本の刑事司法の重大な問題
    1.犯罪が存在しても無罪放免にする裁量権
    2.犯罪が存在していないのに無実の市民を犯罪者にできる裁量権
    3.裁判所が政治権力の支配下に置かれている状況


    飯塚幸三による池袋でのプリウス勲章アタックは「1.」
    植草一秀のミラーマン事件は「2.」
    小沢一郎強制起訴の要因を作った東京地検特捜部の捜査報告書捏造事件は「1.」
    森友学園における財務相職員の公文書改ざんは「1.」


    後藤昌次郎弁護士「国家にしかできない犯罪は、戦争と冤罪である」

    明治の初代司法卿である江藤新平は、冤罪の根絶を法制度の根幹に据えたが、国権重視の大久保利通が嫌って明治6年政変以降に虐殺した。

    内閣に裁判官の人事権がある。

  • 今の日本の政治の問題について、一通り網羅されており分かりやすい。
    筆者の提案する改革が行われたら…日本で働く労働者は、もっと幸せに生きられると思う。


    個人的メモ
    関連本を読んで考えたいテーマは、官僚機構、検察制度、日本の国境問題。
    日本の学校教育で行われていることを知り、学校以外の場における学習機会を調べる。

  • 少し飛ばしながら読む。
    いまいち読みにくい。主述と結論が明確じゃなかったり肝心なところが書いてなかったり。表題も内容に対して端的ではない。
    主張していることには賛同するし、事実の記述も確かなようには思うが、今後の自分がどうやって調べたり行動したりすればいいのかがわからないまま。自分に知識という武器が身についたように感じられなかった……。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、政策連合(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社)、『日本経済の黒い霧』『出る杭の世直し白書』(ビジネス社)など著書多数。

「2023年 『千載一遇の金融大波乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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