京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男

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  • 西日本出版社
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本棚登録 : 189
感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908443527

作品紹介・あらすじ

「京都で人が殺されていないところはない」
京都に住み、京都の女を描き続ける花房観音が描く、京都に住み京都を描き続けた、山村美紗の生涯。
今ではあたりまえの、ミステリアスな京都の町の面持ちは、美紗の小説とドラマ化された作品からきていると言っても過言ではありません。

1996年日本で一番本が売れた年、帝国ホテルで執筆中、ベストセラー作家山村美紗が亡くなりました。
書きたくて、書きたくて、あふれ出るトリックに手が追い付かなくて。でも、乱歩賞はもちろん賞に縁がなかったことからくる、もだえるほどのコンプレックスから解放されることなく逝った美紗。今は、京都東山の泉涌寺の美と大きく大書した墓石の下に眠っています。

感想・レビュー・書評

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  • 確かに「京都で人が殺されていないところはない」。
    昔、山村美紗サスペンスを祖母と観るのが大好きだった。小説は読んだことなかったが、ドラマは食い入るように観ていた記憶がある。

  • 花房さんも書かれていたが、ちょうど私も思っていたところだった。
    本屋さんに山村美紗の本がない、と。

    サスペンスドラマの印象が強く、本は読んだ事がなかった。
    1冊だけ、京都を紹介する本は持っている。

    そしてご主人の存在を初めて知った。
    西村京太郎さんとの事は知っていたが、夫婦ではないと知っていたし、そんなに深く考えた事はなかった。
    それから紅葉さんの他にもお子さんがいらしたのは知らなかった。

    出版業界が一番輝いていた時代を生き抜いた、まさに女王。
    こんなにも誰もが頭が上がらない方だとは思いもしなかった。
    弱さを隠して強がっていたんですね。
    それをよく知る2人の男性に愛されて、幸せだったのでしょう。
    きっといろいろ苦しい思いもされてはいるでしょうが。

    いろいろ読んでみたくなりました。

  • 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』男たちはなぜ彼女に魅了されたのか - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/45745

    西日本出版社 京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男
    http://www.jimotonohon.com/annai/a1527_yamamuramisa.html

  • 山村美沙という女性推理作家が誕生するまで、そして誕生後に京都を代表する作家になっていったその経緯が明確に語られる。彼女の父、兄が京大教授として知性を代表する血を共有しつつ、彼女は京都の花街にも詳しく、京都の名士の世界にしっかり根を下ろしていること。そして松本清張、西村京太郎ともそこから交流が始まったこと。この2人との最初の出会いのエピソードは特に興味深い。そしてふたりの男とは京太郎ともう一人が夫・山村巍という中学教師だった人。結婚していたことも謎に包んでいたという山村美紗の生涯のユニークさに圧倒される。官能小説の著者が山村美紗の伝記を書いているということに、彼女の人生を自らに重ね合わせているという重みを感じた。

  • 正直言って、読みたいけれどそっとして置いても良い内容の本だった気がします。海外のミステリしか読まなかった私が読んだ国内ミステリは、山村さんの作品だけでした。舞妓シリーズが好きで、探して読みましたっけ。ご主人の描かれた絵は、少し怖くて、亡くなって、傍らに他の女性を置いて山村さんを描くというのは、まるで西村京太郎氏と美沙さんの関係に、誰も入れなかったことの合わせ鏡のように見えました。死んだ彼女は、新しい奥様との間には入れないのですから。深い愛というより、妄執のような重さを、全体に感じてしまうのは、ちょっと申し訳ない気がしましたね。

    そういう印象を拭うために、淡々と書かれた精緻な評伝ですが、内容が衝撃的であるわりに、もうひとつ面白くなっていない気がしましたので、途中で中断しました。覗き見してるようで、自分が嫌になってしまったのです。

  • 京都を舞台としたミステリーを描く女流作家、山村美紗の半生を描いた本。
    これを読むと波乱万丈の人生を送った人だったんだなぁ・・・と思った。
    もともとは裕福な家に生まれながら戦時中は貧しい暮らしも経験し、結婚して投資で成功、そして小説家を目指す。
    華やかでワガママ、正に女王のような人と見られていたが、その影では自信の無さや気遣いがある人だった。
    そして、いつも男性にもてていた。
    相当に魅力のある人だったんだろうな・・・とこれを読んで思った。

    私はこの本のタイトルと作者が花房観音さんという事から官能的な部分もある本なんだろうな・・・と想像していたら全くそうではなく、淡々とした印象の本だった。
    正直、物足りなかった。
    ノンフィクション作家の書いたこういう本は事務的にあった事を書いていたとしても何故か面白い。
    読者が何を知りたいかを心得て、好奇心を少しずつ満たした書き方をしているから。
    私が小説家がノンフィクション小説を書く時に求めるのは小説家ならではの書きもの、しかもその作家の色が出ているものなので、それで言うとこれは違うな・・・と感じた。
    まあ、どうしたってまだ当事者がご存命なだけに書きづらいというのは分かるし、それが伝わってくる内容だった。
    だけど、相当細かい所まで山村美紗という女性について調べて取材もしているのは読んでいて分かった。

    私は以前、テレビで山村美紗は結婚しているものの、隣に西村京太郎が住んでいて家が渡り廊下でつながっていて行き来していたというのを聞いた事がある。
    長女の山村紅葉のインタビューだったかも。
    今も覚えてるくらいなので、変わってるな・・・と思って記憶してたんだろうと思う。

    結局の所、西村京太郎とつきあっていたのか、夫と関係はどうか分からないけど、結果を見たら想像ができる。
    山村美紗が亡くなって再婚してからも夫は美紗の絵を描いて個展まで開いている。
    それを見るだけで夫婦の強いつながり、絆というのがあったのだと分かる。
    ただ、影に徹するだけでそこまでこよなく相手を愛するとはならない。
    そして、西村京太郎が自分と山村美紗の事を男女の関係があったとして書いた小説、その後の訂正の弁を見ると、どれだけ彼が彼女を愛していたか、複雑な気持ちを抱いていたかが分かる。
    結局、男女のこと、夫婦のことは、よく言う事だけど当事者にしか分からない。

    そういう分からない男女の仲というのに気遣いしながら、相当な覚悟をもって書いた本だというのが後半の文章からひしひしと伝わってきた。

  • 例えば20代の人でも「山村美紗」という名前を聞けば「二時間サスペンス」を思い浮かべる。
    あるいは「紅葉さん!」と。
    実際には山村美紗が亡くなってすでに24年が経とうとしているのに。それだけ日本のサスペンスドラマには欠かせない作家だったということだろう、それはもう今さら言うまでもなく。
    全盛期の数字を見ると驚愕する。そんなに本って売れていたんだ、と信じられない数字が並ぶ。
    本が一番売れていた時代。そんな時代を命がけで、全力で駆け抜けた一人の小説家。語られるエピソ―ドのすさまじさよ。ある意味それが許された時代だったのだろう、とも思う。
    年間11冊の本を出す、って、それは、ほぼ毎月ってことで、しかもミステリってことはそれだけのトリックを持っていなければならないわけで、そりゃもうすごいとしか言いようがない。
    けど、これだけ書いても「まだまだ書きたい!時間が足りない!」とか「新しいトリックを思いついた!」と言い続けていたというのだから恐るべきことだ。
    そんな山村美紗と西村京太郎の関係といえば、文壇界ではタブー中のタブーだ。それをあえて今、世に出すという。なぜ、いま?
    例えば、ものすごく失礼な言い方だけど、夫であった巍氏や、西村京太郎に何かあった、というタイミングだったり、未発見の書簡が見つかったとか、都市伝説でもあった地下トンネルが発見されたとか、そういうことはなにもないのに、なぜ、いま、なのか。
    巍氏も西村京太郎氏も山村美紗の死後再婚し、それぞれに幸せに暮らしている。娘たちもそれぞれに平穏に暮らしている。なのに、なぜ、いま、なのか。
    けれど、本が生まれる、というのはそういうことなのかも。すべて、何かのタイミング。

    膨大な参考資料を見ると花房さんのこの本に賭ける意気込みや使命感や覚悟というものが伝わってくる。
    生半可では書けないものでもあるし。
    ならば、というか、だからこそ、というか、巍氏と西村京太郎と山村美紗の不思議でいびつで、だけど安定した三角関係の「本当のこと」をあぶりだしてほしかったという気もする。
    西村京太郎の二転三転する証言の意味、本当はどうだったのか。
    もしかすると、書けないものを見つけてしまったのか、だから最終的に「藪の中」で終わらざるを得なかったのか。だとしたら、西村京太郎の『女流作家』『華の棺』に対する「小説」としてそこを描く手もあったのでは…

    と書きながら、でも、それって本当に必要なことなのか、とも思う。
    二人が男女の関係だったとして。その関係が30年続いていて、それを目の前で夫はずっと見ていたとして、それが、「トリックの女王」と呼ばれ死後20数年たってもまだドラマの原作者としてその名を遺す山村美紗に、何の関係があるというのだろうか、と。

    山村美紗という女がいた。小説家としての業、女としての性に命ごとからめとられた一人の女がいた。

    それ以外、何の必要ないのかもしれない。

  • 京都を舞台にしたミステリーを寡占した理由や、まさにバブルを彷彿とさせる数々の行状、炎上商法や出版界の闇などが山村美紗さんを通じて見えた本。
    元々彼女と西村京太郎さんの本は内容が薄くて好きではないのだけど、観光業界などともWin-Winで2時間ドラマにはちょうど良いのだろう。
    内容としては濃くはないけれど、これを出すだけでも多くのタブーに触れてギリギリ出版できたとか恐ろしい。美紗さんや西村さんだけでなく美紗さんの夫も80歳になって娘よりも年下の女性と結婚して共同名義で個展を開くとか変わっている。今までは母親のコネで女優をやっていると思っていた娘の紅葉さんが一番まともで、むしろ色々苦労されたのかな…と思いました。

  •  1996年に65歳で死去したミステリーの女王、山村美紗の生涯をたどる筆者初のノンフィクション。副題がふたりの男。京都・東山の霊山神社の近くで隣同士で居を構えた大作家、西村京太郎、そして影で支え続けた夫で東山高校教諭の巍氏との関係性が主題になっている。西村京太郎との関係は、結局本人取材(湯河原の西村京太郎記念館で本人と立ち話した程度)がかなわず、男女関係があったか明らかにならない。本人は「面白い人だった」と回想するのみだ。山村を題材に西村が書いた「女流作家」「華の棺」の出版前後に西村が受けたインタビューも男女関係があったとも、なかったとも話しており、分からない。作者は、西村との関係が世間で噂される中、黒子として支え続けた巍氏には取材しているようだが、あまり濃密なエピソードはない。西村邸と山村邸の間に秘密地下通路はなかったということぐらいか。また文壇に出る際には、松本清張の心を掴み、足がかりにしたこともわかった。
     あとは山村の父親、木村常信は祇園出身で、京大法学部卒で、戦後は京大教授を務めたこと、母方のみつは伏見出身で、俳優の長谷川一夫といとこ同士なこと(後にノンフィクションを出版)、長者番付で、西村がダントツの一位で、京都在住では山村もその次につけていたことなど。最後は帝国ホテルで執筆中に、半ば過労死的に急死したこと、娘の山村紅葉は早大卒で、結婚して国税局を退職した後、女優になったこと、山村の墓は泉涌寺の塔頭・雲龍院にあること、などがふーんと思った。
     出版社の担当編集を招いての派手なパーティー、そして小説誌に自身の名前が大きく載っていないと恫喝するなど、なかなか押し出しが強い人だったのは想像がつく。作品が売れても、通俗的だとか文学的でないとかの批判がつきまとったことも丁寧に説明してある。
     山村が死んだ1996年は、出版物の売り上げが最高だった年だったという。流行作家のあり方として、もはや山村、西村、そして赤川次郎のような存在というのは、今後ありえないのだろうと思わされた。大作家である西村の怒りを恐れて、本書が西日本出版というマイナー出版社からしか出せなかったことも、いずれ笑い話になるのではないか。

  • 巻末の山村美紗著作一覧が便利かつ圧巻。

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著者プロフィール

1971年兵庫県生まれ。2010年『花祀り』で団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。著書に『女の庭』『指人形』『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』「まつり」シリーズなど。

「2022年 『超怖い物件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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