戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ)

著者 :
  • 伽鹿舎
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本棚登録 : 58
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908543098

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤亜紀、初読。おそらく、私の読書の好みだと、まず出会うことのない本だったと思うけど、ビブリオバトルで紹介され、地方の出版社による復刊という珍しさもこともあいまって、入手した本です。
    最初は、パズルのように様々なエピソードが語られるので、それを頭で組み立てるのが難しく、なかなか読み進まなかった。
    日本の N****県が突然日本から分離独立、ロシアに支援を受け、14歳の主人公の少年は、それに対抗するゲリラに身を投じる、というのが骨格のストーリーではあるけれど、メインはそこではなく、自分を取り巻く地方社会独特の環境に倦んだ少年が、日常が瓦解した世界で、生き延びるために足掻き、何かを見つけて何かを失う物語、という感じ。
    世間の常識を嘲笑いながら、結局は居心地悪い世間に残った主人公の諦観は、なんとなく共感を覚える人が多いのではないか、と感じる。
    ゲリラ時代は活劇としても面白く、主人公の冷静さ、主人公の友人の人物像の造形、主人公に大きな影響を残す伍長など、読み進めるほどに登場人物の面白さも際立ってくる。

    「戦争の法」というタイトルの意味が、分かったような分からないような感じで物語は終わる(読解力がないだけか)が、この伽鹿舎QUINOAZ版は、著者による解説もあるので、それも楽しめます。

  • 祝復刊!(と言うより、品切れ中だったとは、、、)

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    佐藤亜紀初期の傑作長編、『スウィングしなけりゃ意味がない』と共に今こそ読みたい〝地場産業の倅三部作〟の第一作が復刊!
    『バルタザールの遍歴』以降、常に鮮烈な作品を放ち続ける佐藤亜紀の初期傑作長編。
     1975年、N***県独立── 
     ソビエト連邦共和国の庇護下で成立した社会主義体制のもと、人々は欲望の赴くままに奔走する。
     ツキにツキまくった〝伍長〟、繊細な美貌の天才狙撃手、一癖も二癖もある登場人物たちの〝戦争譚〟を、自ら「信用できない語り手」と嘯く主人公が語る回想録。
    http://m.kaji-ka.jp/editor/6038

  • 何よりも、まず本当の感想を一言でいうと、兎に角めちゃくちゃ面白かった。戦争という悲惨な人殺しの世界。しかし目を覆いたくなるような描写はほとんどない。戦争に関わる人々の心境や考え方が面白い。特に、暴力に対して「麻痺」と「慣れ」の観念の違いには驚愕した。戦争だけでなく、様々な芸術が出てくるところも(その芸術に対する評価やスタンス)凄く好みのところである。全体としては、ミノタウロスと似たところもあるが、個人的には、こちらの方が好みである。
    諸処の問題で絶版になっているこの本を伽鹿舎が再版してくれたおかげで、手に入れることができた。感謝。

  • 佐藤亜紀、一冊しか読んでなかったことを後悔。おもろいやん。日本からの分離独立ってシチュエーションやとどうしても大きな話にしたくなりがちやけど、あくまで一ゲリラの回想ってところで書いてるのもいいし、戦争の背後にある日本の田舎のどうしようもない重さとオペラ好きのゲリラの少年兵のミスマッチとかもこのちょっと現実離れした舞台やからこそ描けてる気がする。これ、絶版にしとくのはあまりにもったいない。伽鹿舎さんありがとうございます。

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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