①、②の論文が非常に良い!
特に②が示唆に富んでいる。
①中国の未来と韓国の現在ーなぜ政治的自由化が必然なのか
ハーム・チャイボン 韓国・峨山政策研究院会長
かつての韓国朴正煕政権と現在の中国習近平政権のアナロジー。
朴正煕は1961年に軍事クーデターで政権奪取。上からの産業政策で輸出主導型経済開発モデルを実践。重工業化を進め、1962年にGATTに加盟し、安価な労働力を背景に輸出競争力を高め経済成長。
1969年には任期2期目半ばに憲法改正を行い任期制限を撤廃。1971年に3選。
しかし、労働単価の上昇や過剰生産によりひずみが生じ始め、輸出産業の中心であった昌原、馬山、釜山で労働争議が発生。
1979年には朴正煕は同地域に戒厳令を敷いて鎮圧を図ったが、大きな反発を生み、古くからの友人であった側近、キム・ジェギュ(KCIA長官)により暗殺された。
その後、8年の軍事政権を経て、1987年に大統領候補の盧武鉉(ノ・ムヒョン)が大統領の直接選挙制導入など民主化宣言を行い、その後完全民主化。
この流れは中国のこれまでの流れに極めて近い。
また、筆者は、そうした上からの経済開発の結果生まれたひずみを社会的に受容させるために、かつて否定してきた「儒教」の精神を持ち出していると指摘。
中国は現在525の孔子学院を世界に設置。2020年までに1000にすることを目標にしている。
②日本の新しい防衛戦略ー前方防衛から「積極的拒否戦略」へのシフトを
エリック・ヘジンボサム、リチャード・サミュエルズ(いずれもMIT)
日本は冷戦期から一貫して、前方防衛戦略、すなわち前方で侵略を阻止することで後方におけるダメージを阻止することを目的とする戦略を採用してきた。
しかし、中国の戦力増強に伴い、開戦直後に中国の攻撃を完全に押し返すことが難しくなっており、同戦略に基づく緒戦での敗北は、国民の支持を失い政府の戦争遂行能力を喪失する危険がある。
そこで日本が取るべき戦略は、積極的拒否戦略、すなわち緒戦段階での攻撃を吸収し、短期的で決定的な勝利を相手に与えずないようにすることで、相手の攻撃に対するリスクやコストを高め、攻撃を防ぐ方法である。
この戦略に必要なのは、①レジリエント(柔軟で復元力のある)戦力構造と②ミッションの優先課題の見直しである。
レジリエントな戦力構造とは、自衛隊が相手の初期攻撃を吸収し、その後も効果的に活動し続ける能力のこと。そのためにレジリエンス強化に向けた防衛インフラの拡大が必要になる。
次にミッションの優先課題の見直しとは、最も切実で重要な課題である主要な軍事・民間アセットの防衛のために防衛予算の優先順位などを見直すこと。例えば、現在は航空自衛隊や海上自衛隊よりも多くの50%を超える予算が陸上自衛隊に注ぎこまれているが、航空機の近代化(戦闘爆撃機F-35SEや、短距離での離陸が可能なF-35Bの導入など)を進めたり、フリゲート艦の増備などである。
こうした戦略は、日本が単純に防衛支出を増やすだけでは中国の台頭を抑えられない現状の中で、中国が日本を攻撃することへのコストを高めることで抑止力の強化につながる。
③中台関係の新たな緊張
この論文の示す通りの状況であると思う。
ただ、この論文自体に特に新しい示唆はない。