モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語

著者 :
  • 方丈社
4.12
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本棚登録 : 198
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908925290

作品紹介・あらすじ

人々にとって、本が遠い存在だった時代、トスカーナの山深き村に、イタリア中に本を届ける人々がいた。

イタリアの権威ある書店賞〈露店商賞(Premio Bancarella)〉発祥の地が、なぜ、トスカーナの山奥にあるのか?
その謎を追って、15世紀グーテンベルクの時代から、ルネッサンス、そして現代へ。
創成期の本を運び、広めた、名もなき人々の歴史が、今、明らかになる。
舞台となった、山深きモンテレッジォ村に居を構え取材した、著者渾身の歴史ノン・フィクション!
全編フルカラー!

感想・レビュー・書評

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  • ヴェネツィアの古書店主が「行ってみることですね」と言った
    モンテレッジォという場所。人口30人の過疎の村。
    そこは本の行商人たちの原点の地。
    遥かなる山を登り、紙の山を巡り、本の行商人たちの足跡を辿る。
    ノンフィクションであり、紀行文であり、歴史の探求でもある。
    キーワードは、山・栗・石,そして情報と本。
    本の行商人たちの故郷なるモンテレッジォとは?
    その疑問を解き明かすための旅行、人々からの情報収集、
    読み解く資料や本・・・それは絡まった毛糸玉を解きほぐすよう。
    行間に顔を出すヘミングウェイ、ベルディ、ダンテ。
    中世からの生活や領主との関係。
    ナポレオンとイタリア統一運動等の歴史との関係。
    出稼ぎは農業から商業に移行し、扱う物が本へ・・・それは、
    イタリアばかりでなく、フランスやスペイン、遥か南米にも。
    彼らの本の知識と選書の確かさが、人々への知識への導きと
    なっていく。
    著者の、その行動力と探求心には驚かされると同時に、
    実に読み易く、楽しませてくれる文章にすがすがしさを感じました。
    特に説明は無いのに、無言で語る画像も良いです。
    特に、本でいっぱいの荷車の前で誇らしげな表情の、
    行商人夫婦の姿が素晴らしい。

  • よくもまあ、こんなニッチな職業史を穂を掘り起こしたものだ。1816年冷夏のイタリア、トスカーナ州のモンテレッジオ。凶作で生活を凌ぐため、村人が行商に出た、初めは聖霊札を、のちに古本を売り歩くようになる。やがて子孫は、ミラノで、ヴェネツィアで、あちらこちらで書店を開く。1953年には露天商賞という本の大賞を設立。今やイタリアでもっとも有名な賞の一つになった。先人の知恵と努力と商魂に敬意を表したい。ここにもイタリア万歳がある。

  • 冒頭に出てくるベネチアの古本屋がとても良い。ご近所さんが集い情報を交換し、おしゃべりに興じ、そこへ店主がさりげなく「それならこれはいかが」とおすすめの本を差し出す。コミュニティーセンターの機能を備えているのだ。こんな本屋が近所にあったらどんなにすてきだろう。
    その店主の祖先がモンテレッジオ出身で、そこでは村人達は本を行商して生計を立てていた。著者はイタリア在住の日本人女性で、その話を聞いてすぐさまモンテレッジオのホームページを見つけて電話を掛け、山深い小村を訪ねる。なんとも行動力のある方で、そのパワーに反応するかのように、モンテレッジオにルーツを持つたくさんの方々との出会いが描かれる。
    写真が多く掲載されているが、旅のスナップショットのよう。どうせならもっと美しい写真を見たかった。文章はいまいちだったかな。エッセイでは有名な方らしいですが、ノンフィクションとしてはまだまだという感じ。モンテレッジオという素材の良さに助けられた感があります。

  • てっきり翻訳物と思いきや、イタリア在住の日本人の筆によるものだった。わたしも旅先では書店によることが多いけれど、本書に出てくる本屋のどれも、ぜひ出かけてみたいと思わされるところばかりだ。新しいもの、古いものが混ざっているが、章扉の写真も実に良い。

    本の魂が生まれた村の物語。真っ白な大理石で有名なカラーラに近い村。
    石を売りに行き、本を持って帰ってくる。さぞ重いだろうと思うけれど、そのようにして、本を行商する人々のむらになっていった。
    越中富山の薬売りと同じで、村村をまわって読者の動向をとらえては、都会の出版社に立ち寄って詳しく情報を提供してくる。
    今は人口も極端に減少して、夏の祭の時にだけ人が集まる。
    それでもこの村の本を売るコミュニティの痕跡はイタリアの本の文化の中に深く染み通っているのだ。

    なんだか嬉しくなる本。
    独特の文体も似つかわしく感じられる。

  • ヴェネツィアの古書店からモンテレッジオへの巡礼者のような旅.石,あるいは本の行商人の魂に寄り添う形で美しい石と栗の村を訪ねる.ヴェルディやダンテの顔も見え隠れし,いつしか一人の行商人の中に村の歴史,イタリアの精神の移り変わりまでが現れてくる.分かりやすい文章で匂い立つような風景が,登場する人物の性格までが目の前に想像できる美しい文章に驚きました.たくさんの写真も素晴らしく(特にグリエルモの手の写真の力強さ),装丁も本の雰囲気にぴったりです.

  • イタリア、トスカーナ州モンテレッジォは村人が本を行商する村だった。

    著者が住むヴェネツィアの古本屋をきっかけに、モンテレッジォに通い、その歴史を紐解いた秀作。

    フランチジェーナ街道(フランク街道)
    ローマ(ヴァチカン)からイギリス、カンタベリーまで

    http://www.montereggio.it/

    festa del libro

    ジャコモ・マウッチ
    マッシミリアーノ・ネンチォーニ(ミラノ在住)

    ジョヴァンニ・アントニオ・マジーニ(16世紀の地図学の権威)

    premio bancarella
    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Premio_Bancarella

    ナブッコ Va pensiero ジュゼッペ・ヴェルディの出身地
    https://m.youtube.com/watch?v=XttF0vg0MGo&vl=ja
    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ジュゼッペ・ヴェルディ

    マラスピーナ家
    アレッサンドロ・マラスピーナ
    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Alessandro_Malaspina
    ダンテが滞在した家
    1265年頃の北イタリアは、ローマ教皇派(ゲルフ)と神聖ローマ皇帝派(ギベリン)に分かれ対立
    フィレンツェ共和国は教皇派だったが、のちにそれが黒派と白派に分裂
    黒派はフィレンツェを教皇に直接統治してもらいたい
    白派は教皇の干渉をら受けたくない
    ダンテは白派

    マラスピーナ家は文化のパトロン

    1100年頃のプロヴァンスで、トルバドゥールと呼ばれる叙情詩人が生まれた。宮廷や貴族領主に招かれ、館に滞在した、恋愛詩を作り、歌い、捧げた。
    南部イタリアを支配していた神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世は共通語を持とうとした〜イタリア語の誕生

    p154言葉は道具なのだ。良い道具とは、万人に使えるものでなければならない。そして品格があり、奥行きが深く、普遍的でなければ〜

    本『アルド・マヌツィオ 神話ができるまで』

    p163
    知識は財産である。知識をら入手し、まとめて、広める。それは、未来への確かな投資である。それまで手で書き写すか木版で印刷するしかなかった知識を、活版印刷のおかげで迅速に大量の部数を再生産することができるようになったのだ。

    p170
    フィレンツェ寄りの山奥にあるこのフィヴィッツァーノ村は、北イタリアの各地と海を繋ぐ道の途中にあり多様な情報が流れ、経済が動いていた。知ることは財産なのだ。

    p214
    自分たちの強みは、毛細血管のようにイタリアの隅々まで本を届けに行く胆力と脚力である。本は、世の中の酸素だ。皆で手分けして、漏れなく本を売り歩こう。それには、まず人材だ。

    p226
    地道に現場の声を拾い、丹念に応えること

    p232
    万を引き受ける人という呼称がイタリア語にある。

    p255ヴェネツィアには、記憶を守る
    という条例があるのですよ。

    p259
    意見を他人に押し付けないが、新しい情報には常に聞き耳を立てている。問われるまで、黙っている。分を弁えている。信念を揺るがすことはないが、機敏に行動する。自分だけが頼りだ。いつも飄々としている。

    p295
    本は必ず町の真ん中で売ること

    p337
    戦後ユダヤ人たちが出自を隠すために、本当の苗字の代わりに地名を宛てていたことを思い出したからである。

  • BSの小さなイタリアの村みたい。
    ベネチアの書店(私も前を通ったことがあるような)から山あいにある本の行商を生業にしてきた小さな村へと導かれる素敵な話。こんな旅をしてみたい。
    装丁、文章も良い。

  • 20180720 今、本屋さんの活動が活発なような気がしていて自分でも何かできるかと悩んでいた時に、この本に出会った。たまたまかも知れないが本を背負って歩く事から始めた人たちの話は気持ちを押してくれたようだ。

  • 匂い立つカラー写真が嬉しい。

  • 最後に出てきた本屋さん「ヴィットリオ・ジョヴァンナッチ書店」、行ってみたい。

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著者プロフィール

内田洋子(うちだ ようこ)
1959年、神戸市生まれのジャーナリスト。東京外国語大学イタリア語学科卒業。通信社ウーノ・アソシエイツ代表。
2011年『ジーノの家 イタリア10景』で日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。近刊に『対岸のヴェネツィア』(集英社)がある。

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