デカメロン2020

  • 方丈社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908925696

作品紹介・あらすじ

2020年3月、新型コロナウイルスの猛襲を受け、
ロックダウンが発令されたイタリアで、
24人の若者たちが見つめ、耳を傾け、語り始めた。
まるで『デカメロン』のように。

あの瞬間。見上げる目。甘い匂い。笑い声。手のぬくもり。
消してはならないことがある。小さな声が積み重なって歴史となる。
強く、温かで澄みきった若者たちの言葉を集めた、
3月10日から5月27日までのかけがえのない記録集。

感想・レビュー・書評

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  • クラウドファンディングで200万円以上を集めた『デカメロン2020』が12月2日に発売!|方丈社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000047701.html

    デカメロン2020 - 方 丈 社
    https://hojosha.co.jp/menu/830197

  • ペストを題材にしたデカメロンに倣って、イタリアの若者がコロナの体験を綴る「デカメロン2020」(2020/3/10-5/27の記録)。内田洋子さん企画・翻訳。

    あとがきより
    「迷ったら、古典に戻る。
    歴史に教えてもらう、そういう意識がイタリアには強くある。」

    若者たちが綴る言葉にさりげなく古典が引用されていることが多くて、かっこよかった。私はコロナになって、デカメロンを読みたいなと思っていたけど結局読まないまま、2021年を終えようとしている。

    記憶はどんどん薄れていくので、こういう記録が残っていることは貴重だなと思った。同じ日をたしかに私は生きていて、世界は新型コロナウイルスという脅威を同時に体験するという稀有な体験をして、でも一人一人は自分個人の人生と向き合っていた。共通性と個別性が見渡せる、貴重な一冊。

    28p
    「そっと目を閉じて、数日前から独りで暮らしているこの下宿の中の静けさに、耳を澄ます。この瞬間のことをどれだけの人が、どのくらいの期間、覚えていられるのだろうか。この隔離の経験で、僕には何が残るのだろうか?この経験の記念碑として、何が残るのだろうか?僕にはわからない。
    今僕がしなければならないことは、この静けさを体験することがどれほど貴重なのかを確かめながら、静寂に味わいと意味を持たせることだ。」

    読んでいて特に強く想起された想いは二つ。
    一、当時私はタイに住んでいて、タイ語が読めなくて不安な私は日本大使館が発出する公告をつぶさに読んでいた。本書にも織り交ぜられている日本大使館の公告を通して臨場感と緊張感が伝わってくる。
    二、不安や閉塞感も多く綴られる中で、ふと挿入される、プレゼントを贈り贈られるエピソードに出会うと、涙が出てしまう。隔離期間中、私も食料以外の出費といえば、寄附とプレゼントだった。なんとかして繋がりたい、少しでも人の役に立ちたいと、社会的な人間は思ってしまうんだろう。

    また、私自身コロナ期間中、イタリアについても幾度も想いを馳せていた。
    ・コロナがアジアを出てヨーロッパに飛び火したのは、イタリアが最初だった。イタリアのロンバルディアで感染爆発が起きたニュースが飛び交った日のことはよく覚えている。友人がイタリア旅行に行く直前だったし、また違う知り合いが同地方で働いており、どちらも気掛かりだった。
    ・quarantine(隔離)という言葉が、イタリア語の40が語源になっていて、ペストの時にできた40日間の船上隔離が由来だということ知った。
    ・昔イタリアに行った時に、大天使ミカエルの像があって、「感染症から街を救ってくれたんだ」という趣旨の解説を聞いたことを朧げに思い出した。当時私は過ぎ去った過去のことのように聞き流していたが、それが時を超えて、感染症が街を襲うことの重みが自分の身体感覚も伴って知覚できるようになった。朧げな記憶の意味付けが明らかに生まれ変わった瞬間だった。イタリアが交通の要所で、感染症対策の最前線であったことの歴史的意味も考えた。

    だから本書は私にとって特別な一冊になったんだと思う。ペストからコロナに繋がる歴史的な重みと、イタリアの若者と自分の個人的体験の共通性と個別性とが重なり合って、いろんな思いが交差する読書時間だった。

  • イタリア在住の内田洋子さんがクラウドファウンディングで作成した本。
    14世紀のジョヴァンニ・ボッカッチョ『デカメロン』の2020年版という企画。
    (デカメロン...1348年に大流行したペストから逃れるためフィレンツェ郊外に引きこもった男3人、女7人の10人が退屈しのぎの話をするという趣向で、10人が10話ずつ語り、全100話からなる)

    イタリア各地に住む17歳から29歳の24人の若者が、2020年3月10日〜5月27日までの期間、文字でも写真でも絵でも空白でも、自由な方法で自分の状況を語っているものが集められている。

    昨年、イタリアは他国に先駆けて大変な状況になったと記憶している。春先、外出禁止令がいち早く出され、ロックダウンの約2ヶ月間をイタリアの若者がどのような日常を過ごし、何を感じていたのか、その一端に触れられる本。アートブックのような作りで、コロナ禍という状況を除けば、非常にお洒落な見た目の本になっている。

    イタリアの日常生活や現地の若者の考えていることに、写真と共に触れられるのはとても興味深かった。誰もが経験したことのないロックダウンの渦中に同時並行で集められた声は、後からでは決して得られない大変貴重な記録だと思う。イタリアだけでなく、色々な国で同じ企画をしたらどうだっただろうなどと思った。

    元となっている古典の『デカメロン』を読んでいたら、当時との共通点や違いが分かり、より理解が深まったのではないかと思う。いずれ古典の方も挑戦したい。また、『デカメロン』は、感染症の大流行によって当時の社会規範や慣習が破壊し尽くされた様子が語られる一方で、若い10人の男女が感染症から逃れて生き延びようとする姿を通じ、人類は己の力と知性によってどんな状況も切り抜けられることを示している、という。内田さんは現代版デカメロンをつくることで、この困難もいずれ必ず切り抜けられるということを表したいのだろう。

  • 人種が異なっても人の思いは同じ❣️

  • ペストが大流行した中世に書かれたボカッチョの「デカメロン」から発想し、内田洋子氏がイタリアの若者に政府の外出禁止令の間の日々を記録してもらったもの。男女24名の若者(17歳~29歳)、写真や動画(バーコードを読み取ると見られる)も多く中世との違いは大きい(当たり前か)。
    1人暮らしの人、家族や同居人がいる人、田舎暮らしの人、都会の人。年代から学生が多いけれど、2020年3月~5月の二か月間のそれぞれの葛藤が生々しい。もう少し続きそうなコロナ、早く出口が見えてほしいのは世界共通だ。

  • 貴重な本❗️

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著者プロフィール

イタリアの若者たち
アレッシア・アントニオッティ、アンジェラ・ボナディマーニ、ダビデ・ボルゴノーヴォ、アンドレア・コンケット、シルヴィア・クレアンツァ、クラウディア・ダモンティ、ヤコポ・ディ・ナポリ、キアラ・ランツァ、ソーダ・マレム・ロ、アンナ・ミオット、シモーネ・モリナーリ、クラウディア・パリアルーロ、サーラ、パリアルーロ、シルヴィア・パリアルーロ、ジョヴァンニ・ピントゥス、ジュリ・ジュリア・ピズ、マルティーナ・ライネーリ、ミケーレ・ロッシ・カイロ、エリーザ・サンティ、オット・スカッチーニ、アニェーゼ・セッティ、ヴァレンティーナ・スルブリエヴィチ、アレッシア・トロンビン、マルタ・ヴォアリーノ

「2020年 『デカメロン2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田洋子の作品

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