もうあかんわ日記

  • ライツ社 (2021年5月31日発売)
4.14
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本棚登録 : 1539
感想 : 150
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909044303

作品紹介・あらすじ

父は他界
弟はダウン症
母は車いすユーザー、からのコロナ禍に生死をさまよう大手術
間におじいちゃんの葬式が挟まって
ついには、おばあちゃんに異変が
ーー残された長女(作家)にすべてのタスクは託された

次々におそいかかる「もうあかんわ」なラインナップ

なのにどうして、こんなに面白い文章が出来上がってしまうのか
読んでる側はいったいなんで、こんなに救われてしまうのか!?

【人生は、一人で抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ】

3月10日から4月15日までの岸田奈美のnoteに書かれた、泣けて笑える祈りの日々
放った言葉を本人の手で見事に体現した、読後、拍手喝采のエッセイです

<3/10 岸田奈美のnoteより>

現代社会が抱える闇の全部盛りが、かっぱ寿司のすし特急に飛び乗ってやってきた!?!?!?!??!!
チャップリンは「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」と言った。
わたしことナミップリンは「人生は、一人で抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ」と言いたい。

悲劇は、他人ごとなら抜群におもしろいのだ。
ユーモアがあれば、絶望に落っこちない。
常々そう思っていたけど、気づいたのは、ユーモアは当事者に向けるものじゃない。
悲劇を喜劇に変えるためのユーモアは、そこにいない聞き手、つまり第三者にしか向けられないものなのだ。
理不尽なこの日々を、こうやって笑い飛ばしてもらえたら、わたしはそれで救われる。
同情も憐憫もほしくない。
やるべきことも全部わかっているので、家に来て手伝ってほしいわけでもない。
ただ、笑ってほしい。
だって、このストレスフルな時間も、心のどこかでわたしは「たしかにしんどいけど、これはこれで、おもしろいよな」って思っているのだ。
そういう明るい自分を、わたしは見失いたくない。

でも、このままやったら、もうあかんわ。
そんなわけで、前置きが長くなりましたが、読者さんにお願いがあります。
今日から母が退院して落ち着くまで、毎日21時に、noteで日記を書きます。
時間のある人は、どうか、読んでいってください。
読んでくれる人がいるだけで、わたしは、語る意味があります。
悲劇をわたしがnoteで書けば書くほど、喜劇になっていきます。

タイトルは「もうあかんわ日記」です。
もうあかんので。あかんくなる前に、助けてください。

感想・レビュー・書評

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  • ユーモアの力。感性が言葉になり、心に沁みる。悲劇を喜劇に変えること、心のもちよう。見方のありよう。素直な声。素が出せるよさ。感謝。

  • これは確かにもうあかんわ。
    悲劇を喜劇に変えるべく、もうあかんわ日記を書き始めた岸田奈美さん。
    読んでいたら面白いのだけど、やっぱり切なくて。
    その切なさは前作以上。
    お母さんのコロナ禍での入院はきついし、おばあちゃんの認知症も進んできているせいかな。
    でも、こうやって不安を吐き出して、助けたり助けられたりしながら生きていった先に、光があって良かった。
    たくさん元気をもらって、明日からもがんばろうと思えた。


    • きたごやたろうさん
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      私の2024年も「もうあかん」ことばかりでした。
      いつか読んでみたいです!
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      私の2024年も「もうあかん」ことばかりでした。
      いつか読んでみたいです!
      2024/11/17
  • NHKのドラマを見て、思った数倍面白かったので、最新作を読んでみた。
    岸田奈美さん、文のリズムが最高!泣き笑いしながら前に進むのって、経験したことがある人は多いと思う。
    大笑いしながら泣いてる、ブチギレながらしんみりしてる。そういうことたち。
    それをこんなふうに文章として書き起こせた人はあんまりいない。軽すぎたり、しんみりしすぎたり、微妙なバランスが崩れてしまいがちなんだけど、この人はできるんだよね。センスだよね。

    ただドラマを先に見てしまったので、岸田さんは完全に河合優実に変換してしまった笑

  • これでもかってくらい、もうあかんわって心がポッキリ折れそうな困難な出来事が次々に起こる状況。

    ・チャップリンは人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。と言った。わたしことナミップリンは人生は、ひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だと言いたい。

    ・ユーモアがあれば、人間は絶望の底に落っこちない。

    これが根底にあるのか辛い状況でもノリの良いツッコミがあったりとユーモアのある文章で(あえて笑い話に変えたいという強い意思を感じる)家族に対する愛情がものすごく伝わる。
    ユーモアがあり、愛情と優しさがあり、しなやかな強さがあり、行動力がありチャーミング。
    すごい人だ。
    泣き笑いしながらも奮闘して乗り越えていく日々に力をもらえた。

    常に味方でいてくれて、「あんたはいるだけでみんなを幸せにするから」と言い続けながら育ててくれたお母さんも素敵だ。

  • 岸田さんの介護日記。
    父は急逝、母は車イス生活、弟はダウン症、恐ろしいほど詰んでいる。あかんわの環境を吐き出すため日記を始めたのが、あかんわ日記。
    何度も行き詰まりながら、持ち前の明るさと行動力、苦労を笑いに変えて、切り抜けてきた。
    今、わたし詰んでるかも・・・の人におすすめ。
    おもい、おもわれ、ふり、ふりかけ
    他人のためにやることは全部おしつけは心に刺さります。介護保険や障害福祉に携わる方に読んでみて頂きたい一冊かも

  • まさに、「もうあかんわ」という時に、薦められてドラマを観ました。一気読みならぬ、一気見するほど、笑いながら、涙がでて、夢中になりました。こちらの原作も読んでて止まらない。
    どこまでも、ユーモアを大切に!読んでる人たちを深刻にさせないでくれる、サービス精神が旺盛な方なんだろうなぁと感じました。
    【前向きな失敗はどんどんしたらいい。
    心のなかにいつも、クールポコを住ませよう。たいていのことは「な〜に〜?やっちまったなあ!」で済む。やっちまえ。】が、そうだよね!とストンと入ってきました!

  • 岸田さんのエッセイを読むのは3冊目♬
    奈美さんが大好きです\♡︎/

    お父さんは他界、弟さんはダウン症。
    以前に大病を患い車椅子ユーザーとなってしまったお母さんは、またしても生死をさまよう様な大手術をする事に。
    そしておばあちゃんの認知症。

    すべてが奈美さんの肩にのしかかる。
    次から次へとおそいかかる"もうあかん"な出来事。
    これ私やったら、ほんまにもうあかん。

    だけど奈美さんは言う。
    『人生はひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ』

    とっても明るくて、奈美さんの言うとおりクスっと笑いながら楽しく読ませていただきました。
    明るくしてないとほんとにあかんくなってしまうからって気持ちもあるんだろうけど、辛い日々を笑いに変えれる奈美さんがほんとにスゴいです。
    なかなか誰にでも出来ることじゃない。
    でもほんとは体力的にも精神的にもだいぶキツかったはずなのに、、
    これこそ家族を思う愛なんだろうな。
    奈美さんのエッセイを読むといつも元気と、頑張ろうって気持ちをもらいます♡
    素敵な岸田さんご一家が、これからいっぱい幸せでありますように♡♡

    5月にNHKで岸田奈美さんのエッセイ第1弾『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』がドラマ化されるらしいって、ついさっき知りました!!
    "(ノ*>∀<)ノわーいわーい!!

  • しっかり生きているなあ。

    少しは見習わなきゃ。

    「泣き面に蜂」の連続攻撃の中、よくぞユーモアと人間味を置き去りにしないまま、くぐり抜けてこられていると思う。

    敬意しかない。

    岸田さんが意図していた「笑い」もところどころに塗されてはいたが。

    長編小説を読んでいる合い間に本作、極上のエッセイが図書館から入ってきた。

    明日、用事を済ませたら、このトーチを次のランナーに託しに行こう。

  • ※当初、電子書籍の方を本棚登録してしまっていたので同じレビューを登録し直しました。「いいね」くださった方申し訳ありません。

    どちらかと言えば健康優良児な我が子が突然幼稚園で人生初のインフルエンザをもらってきて、当然の如く私に移り、その後も我が子の体調は低空飛行でひたすら機嫌が悪く、毎週小児科へ連れて行くという日々が一月ほど経った頃の夜中に止めをさすがごとく高熱が出て咳き込んで嘔吐という、疲れと寝不足でどうにかなりそう状況だったけど、笑顔を忘れずにいられたのは、この本を読んでいたから。

    備忘録も兼ねて前置きが長くなりました。
    外出先でも笑いを堪えるのが大変!なほど笑わせてもらいました。
    それほどユーモラスに湿度ゼロな文体でご自身の「もうあかん」なご家庭状況を書かれた一冊。

    「父は他界
    弟はダウン症
    母は車いすユーザー、からのコロナ禍に生死をさまよう大手術
    間におじいちゃんの葬式が挟まって
    ついには、おばあちゃんがタイムスリップ
    ーー残された長女(作家)にすべてのタスクは託された
    」(Amazonより)

    面白いんです。笑っちゃうんです。
    著者の岸田さんのご苦労は察するに余りあるし、いくらでもお涙頂戴の苦労話として成立する環境に思えるのですが、読み手のこちらが元気をもらえて、時折こみ上げる笑いを堪えるのが大変なほど、面白いんです。

    我が子の看病と自分の体調不良、寝不足で余裕を失っていたタイミングに読めて良かった。
    影響を受けまくって、岸田さんっぽい雰囲気で自分の目の前の状況を(心の中で)実況してみたら、何とか乗り切れました。

    とはいえ、ただドタバタな日々を面白おかしく描いているだけではなく、社会的なメッセージもあり胸を衝かれたりもします。
    この辺りはまだ、自分の中で誰かにアウトプットするほど考えが整理できていないので、胸を衝かれた文章を以下に抜粋。

    「相手の気持ちなんて、どんだけ注意深く見ても、1割くらいしか理解できないと思う。(中略)だからわたしたちは、気持ちを理解しようとする謙虚さは必要だけど、気持ちを理解できるという高慢さは捨てなければ。」
    「弟は障害者だ。ダウン症で、知的障害。
    でも、彼の特性は、成長がとてもとても、ゆっくりであること。言葉をうまく話せず、コミュニケーションが難しいこと。環境の変化や曖昧な空気の理解が、苦手なこと。それは障害なんだろうか。(中略)わたしたちがスムーズに生きていくために都合がいい人を『健常者』、都合が悪い人を『障害者』と呼ぶのは、なんかずっと、ぎこちない違和感がある。だからといって、障害者って言葉をやめましょうとまでは、思わないけど。(中略)いいか悪いかをジャッジするのは、いつだって、優れた人ではない。多数派の人たちだ。」
    「弱さを追い風に変えるには、ユーモアとチャーミングがいる」

    その他にもダウン症の息子さんを育てた著者のお母様の子育てエピソードには笑いながらも学ぶものが多くあり、一字一句見逃すまいと読みました。

    一冊を通して感じたのは岸田さんのご家族への深い愛情と、ご自身を取り巻く環境を正しく客観的に把握し、蔑むことも見栄を張ることもなく、家族が快適に暮らしていくために都度適切な行動を起こしてきたのだなということ。
    強がらずに助けを借りるけど、自分達にできることはきちんとやる。
    これって意外と難しい。

    それができるのは、やはりご家族や周囲の方を尊重し、上下の区別なく認めているからじゃないかと思いました。

    最近読んだ伊坂さんの本にあったけど、「他人と比べた時点で不幸は始まる」。
    岸田さん一家にそんな卑しい感情は全く感じられなかった。だから湿度ゼロ、からっとした笑いを誘いながらも人の胸を打つのだと思います。

    ありがとう、助けられました。

  • チャップリンかく語りき
    「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」
    は、有名な名言ですが………

    著者の岸田奈美は、
    →わたくしこと ナミップリンに言わせれば、
    「人生は、ひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ」

    「内容は ほぼ真実」の、ノンフィクション。ほとんどの人は、こんなに次から次へと困難は押し寄せないでしょう………でも、へこたれない。家族への愛情とユーモアを携えて進んでいく姿に、勇気りりん!

    「家族が病気で…」「家族に障害が…」と、へたりこみそうになっている方、そうでない方にもおすすめです。本書を読めばきっと、笑って泣いて元気になれると思いますよ~(^ー^)

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著者プロフィール

1991年生まれ、兵庫県神戸市出身。大学在学中に株式会社ミライロの創業メンバーとして加入、10年に渡り広報部長を務めたのち、作家として独立。 世界経済フォーラム(ダボス会議)グローバルシェイパーズ。 Forbes 「30 UNDER 30 JAPAN 2020」選出。 著書に『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『もうあかんわ日記』『傘のさし方がわからない』。

「2023年 『飽きっぽいから、愛っぽい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸田奈美の作品

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