深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと

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レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909048066

作品紹介・あらすじ

ウェブメディア界の真打、「チェアリング」の開祖、若手飲酒シーンの大本命、ついに初の単著!
人、酒、店、旅……、現代日本に浮かび上がる疑問を調査し、記録する、ザ・ベスト・オブ・スズキナオ!


岸政彦(社会学者)、林雄司(「デイリーポータルZ」編集長)推薦!!

感想・レビュー・書評

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  • タイトル借りをした。沢木耕太郎の深夜特急みたいな、深夜バスを主体としたバックパッカーの旅行記だろうと想像して。私自身は寝れない長時間の移動が苦手なので、学生時代に乗った以外は深夜バスとは無縁なのだが、そういう"旅"主体の旅行記は好きなのだ。

    でも想像とはだいぶ違っていた。全部国内だし、そもそも深夜バスでの旅行記ではない。タイトルはあまり関係ない。

    筆者は、東京大阪間の深夜バスに乗って行き来をしながら、知る人ぞ知るお店を取材して記事を書くなどのライターの仕事をしている。
    昼スナック(ワンドリンク歌い放題1000円!)を体験してみたり、昔から地元の人に愛されてきたお店に行ったり、美味しいハンバーガーがあると聞いて福岡まで行ったり、名前だけしか知らない駅に降りて歩いてみたり。
    なんだか自由で肩の力が抜けていて、旅行というのでなく、日常の散歩の延長みたいな感覚で遠出する。

    または軽い疑問や思いつきを実行してみる。
    カップヌードルに入れたら美味しい漬物の検証。
    「唐揚げ何個食べた?」レベルまで飲み代を厳密に割り勘する飲み会。
    終電を逃したつもりで始発までただ歩いてみる深夜の散歩。
    自分の父親に完全に委ねたはしご酒。

    別にお金なんてかけなくても、毎日は楽しいんだなと思える。
    もともと『デイリーポータルZ』というサイトなどに掲載していた記事とのことで、テンポよく読みやすい文章だ。
    最近面白いことがないなと思ったときに読むといい。

  • おもしろい。

    人生をゆるく楽しむヒントが詰まっている。

    幸せは思ったよりも身近に転がっているものなのかもしれない。

  • 旅をしながら、多くの人々と話してきましたが、自分の知らない世界は思っている以上に多くあって、ただただ圧倒されるばかりです。

    この本は、そんな「知らない世界」という激流が一気に押し寄せるような感覚を味わうには、もってこいの作品でした。

    100回くらい乗って感じた深夜バスの人間模様から始まり、昼営業のスナック、使われなくなったバスで営業するラーメン屋などなど。

    情報化社会だとか、AIだとか、そんなデジタルな世界が日増しに一歩ずつ近づいてきていますが、人間味が溢れている部分というものは、知らないだけでまだまだたくさんあると思います。
    ただ、そうした価値観を提供してくれる本って、稀有なんですよね。この本はそうした意味でも、ものすごく価値があるように感じられます。

    ガイドブックに載っているお店や、表通りを散策するのもよいですが、裏路地や旅の途中の楽しみを見つけることも、旅をすることの楽しみなのだと、改めて感じることができました。

    全体を通じて、スズキナオさんの、文章からも滲み出てくる人の良さ。旅の途中で会いたいな、とワクワクした気分になりました。

  • ルポ、体験記、紀行文、インタビューなどを兼ねたエッセイ集。取材地としては大阪・神戸とその周辺が多いが限定しているわけではなく、著者の出身らしい東京をはじめとする他地域も含む。

    タイトルの深夜高速バスをはじめ、ラーメン、食堂、昼スナック、たこせんべい、銭湯の鏡広告、スーパーのセール肉など、庶民的な題材を多く取り揃える。なかでも食に関する話題の占める割合が高い。調査を通じた市井の人々との触れ合いや聞き取りもポイントで、取材の対象としては働く高齢の方々が主となっている。

    ローカルTV局のほのぼの街ブラ番組を個人のライターが手作りした様相の一冊。

  • デイリーポータルZというサイトを結構楽しみに見ているのですが、その中でパリッコという酒エッセイで頭角を現しているライターと一緒に、「酒の穴」という酒を飲むだけという不思議なユニットを組んでいるスズキナオさん。彼の初の著作になります。
    最近お金を掛けないで楽しむ若者が沢山いますが、僕はとても賛同します。
    知らない街を散歩したり、古い店(昭和的な)の価値を見出したり、新しいB級な食べ方を考えたり、僕が好きな事を色々と実践している若者です。
    まだまだぎこちない部分も有るのですが、逆にそこがいい。あまり変わらないで欲しいなとしみじみ思います。顔がまた警戒心を抱かさない部品配列をしているので、こりゃ人に溶け揉むの上手そうだ。
    まさにサブカルチャーの子供に当たる存在だけれども、しみじみとした人間の営みの愛おしさを思い出させてくれる優しさが有ります。

  • お金をかけなくても、日々の生活の中で楽しめる術はたくさん転がっている。例えば、近くの公園に〈茹で卵とおにぎりとビール〉を提げ、百均のレジャーシートを広げて食べるだけでもピクニック気分になる。

    要は、それを楽しいとか面白いと思えるかどうか。

    僕はそれを【「あえて」「わざわざ」やってみる精神】と勝手に命名。自分が楽しいと思えることを試してきた。

    そこへ「そんなのチョロいぜ!」と言わんばかり殴り込みをかけてきたのが本書。

    表題だけを見れば「深夜の高速バスで東京大阪間を移動する人たちの生態を炙り出した社会学的ルポ」かと思うが、あにはからんや、人・店・旅・調査・酒・散策の6テーマ全29篇の超ゆる〜い体験型考現学ルポのひとつ。

    80年代話題を呼んだ、作家 赤瀬川原平が「街歩きに新しい楽しみ」を見出した『超芸術トマソン』に代表される『路上観察学』にハマった人は懐かしく読めるはず。

    さて、その肝心な内容。
    ◉酒篇
    「あなたの知らない昼スナックの世界」
    →我が地元 湊川の『ミナエンタウン」がメッカと聞き、迫真の潜入レポート。

    「芝田真督さんと変わりゆく神戸の街を飲み歩く」
    →パソコン通信時代から神戸下町グルメ情報を発信している御歳71の芝田さんを道先案内人として、兵庫臨海エリアのしぶ〜い角打ちを巡る。

    ◉旅篇
    「ジャンボフェリーはもはや海上の酒場」
    →神戸-高松間を結ぶ『ジャンボフェリー』往復乗船券3,390円で楽しむ船上宴会の実況レポート。

    ◉調査篇
    「『唐揚げ何個食べた』レベルまで飲み代を厳密に割り勘する飲み会」
    →少食かつ大酒飲みではない著者の積年の不満を晴らすべく挑んだ60分1本勝負の酒場実況。

    「大阪の瓶ビールはどこまで安いか?」
    →大瓶に絞り「天満酒蔵」を筆頭に大阪の居酒屋事情を探る。

    「店選びを自分の父親に完全に任せるハシゴ酒」
    →息子(著者)から依頼に対し、メートル上がる父親の酔態ぶりを愛情豊かに活写。

    とりわけ調査篇は、テーマとその掘り下げが世相やその街に暮らす方々の匂いがいまにも立ち昇ってきそうな生活史としても読める。

    著者は用意周到な事前調査をして臨んでいるわけでなく小耳に挟んだ街ネタに飛びつくようにして確認行動に移す。

    重要なのは「あえて」「わざわざ」行動に移す、良い意味での『悪ノリ』。やる以上は真面目に行う。それが予想もしない展開や出会いに遭遇し、小さくない感慨を抱くに至る。

    「テーマの目のつけどころ」が秀逸さはいうまでもなく何と言っても著者のキャラが立っている。自然に場に溶け込むどころか、いつのまにか人の領域にまで入り込み、それを嫌がられる風でもなく、話を引き出し、最後には爽やかな感動にまで昇華させる。

    「なんでもない日々を少しぐらいは楽しいものにするための超ゆる〜い実用書」。

  • 年末年始にちょうどいい。
    スズキナオさんは主にweb上でライターをしているらしい。この本に収録された文章は、「お金がなく、暇だけはあるような日々をどう楽しもうか」という姿勢が貫かれている。
    としまえんやディズニーランドに入れなかった人のために周りを缶チューハイ飲みながら歩いた記事など、しみったれた内容もありながら全体的に楽しそうで、羨ましい。

  • 時間があるってすごい贅沢って思いました。本書で取り上げられていることと全然関係ないのに、なぜか子供のころ学校から帰って夕食までの間、友達と新しい遊びを思いついたり探検気分で出歩いたり、家の周りからそんなに離れていないのにすごくワクワクした毎日を思い出して胸がキュンとしました。日常を違った視点で楽しむだけでこんなにテンション上がる感じがツボです。「山登り」も「サーフィン」も「カメラ」も「キャンプ」も「ツーリング」も。そして「散歩」も「せんべろ」も「町中華」もきっと楽しい時間の使い方ですが、なにかパッケージ化された消費の香りがして本書にある思いつきなお楽しみの緩さがとても素敵に思えました。(もしかしたら「チェアリング」もブームになっちゃったりして…)父親をガイドにしてなじみの店をツアーするなんてお金じゃ買えない時間!全体に溢れる思いついても頑張らない、凝りすぎない、拘らない気分とそれを一緒に楽しむ仲間の存在がすごいリッチに見えました。最近、ハマっているヒロシの「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」は身近でも出来る?!日常という異郷をゆっくり楽しみたい!

  • 瀬戸内の海小屋で一晩過ごす話が面白かった。小屋に備え付けられている電動の四つ手網を操作してかかった魚をいただく。真似したい。

  • タイトルに惹かれて読んだ。タイトル以外の情報を調べないまま手にとったので
    深夜高速バスについての色々が書いてあると期待していた手前
    エッセイ集だった点はちょっとがっかりしてしまった。
    もう少しバスについてのあれこれも読みたかった。

    お風呂の鏡広告で、パソコンを孫に教えてもらって使いこなせるおじいちゃんが
    手書きの方がいいと言われて、わからんもんやな、長生きしてみるもんやなと言っているのが
    なんだかとても良かった。
    確かに、パソコンを使えば見やすいし垢抜けるかもしれないが、味はない。

    神戸のくだりで、古いお店がなくなって
    どこにでもある地方都市のひとつになるのは寂しいけど
    行政の人が考えることは私たちが望むことと大抵違うからどうしたって消えていく
    というのが、本当に寂しいけど全くそのとおりで、仕方ないから行ける内に
    行っておくしかないのだろう。

    ちょっとした旅に出たくなる。

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著者プロフィール

スズキナオ

1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』『メシ通』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。パリッコとの共著に『酒の穴』(シカク出版)、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ”お酒』(イースト・プレス)がある。本書が初の単著書となる。

「2019年 『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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