奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの

著者 :
  • ミシマ社
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本棚登録 : 243
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394125

作品紹介・あらすじ

「なぜだ⁉︎ 売れない文庫フェア」「中高生はこれを読め!」「ソクラテスのカフェ」……ユニークな企画を次々と生み出し、地元はもちろん、遠方からも愛された札幌・くすみ書房の店主。閉店後、病が発覚し、2017年8月末、他界。その著者の遺稿を完全収録。

生前、久住さんと親交の深かった中島岳志さん(東京工業大学教授)が解説を担当。

くすみ書房の「なぜだ!? 売れない文庫フェア」は、時代に対する痛烈なアンチテーゼだった。品切れ・絶版。本が死んでいく。そんな悪循環に、ユーモアを交えて切り込んだのが久住さんのチャレンジだった。(略)くすみ書房のフェアは、苦境に立つ人間に、常に寄り添っていた。しかし、久住さんは正義を振りかざさなかった。常に笑顔で、優しく、ちょっとした「おせっかい」を続けた。だから、くすみ書房は札幌の庶民に広く愛された。——中島岳志「解説」より

感想・レビュー・書評

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  • 本好きに読んでほしい本。
    なぜならこの本には、町の本屋さんの危機感がひしひしと伝わってくるからだ。

    前半は工夫とアイデアによって、人を集めていく話。
    じょじょに、経営の面でも、生活の面でも辛いことが重なってくる。
    大手の本屋にはない、地域ならではの味のある本屋がなくなっていく現状は、寂しい。
    売れる本、話題の本ばかりあつかうことで、本屋さんだからこその本に対する知識見聞が鍛えられない、脆弱になっていく、という話は出版業界だけではなく、私たちの知的水準の狭さ、浅さにもつながるような話で、本屋さんの存在意義を改めて考えさせられた。
    私たちと本をつなぐ本屋の役割は、ビジネスだけにとどまらない。
    本書に出てくる、売れない文庫フェア、中高生はこれを読め!、朗読会など、ワクワクする企画がある本屋さんは少ない。
    独自の選書をしている本屋さんはどこか洒落ていて、気軽さはない。
    くすみ書房は親しみがわき、読書ってもっと気軽で楽しいもんだよと、そういう軽やかさがあるのが素敵です。

    この本屋さん行ってみたいと思わせる魅力ある本屋さんが、また町中に復活してほしい。
    求めている本だけではなく、意外な本との出会いをさせてくれるような本屋さんに、私も行ってみたい、そう思わせてくれる本でした。

  • 「本はどこで買っても同じではない。
    どこで買うかを含めて、本への関係性が変わる。
    思い入れや思い出も変わる。」

    本当にその通りだなと思う。
    小学生の頃駅前にあった本屋さんで星の王子さまを
    買ってもらった記憶は本屋さんがなくなったいまも
    心に残っている。

    一周まわって近頃やっぱり紙の本がすきで、
    たとえばどこかに出かけるときは常に忍ばせておきたい。
    いま住んでいるところは通勤ルートに本屋さんがないので
    時折立ち寄っては気になった本を手に取っている。

    余談だが、
    先日祖母が亡くなったあとに本屋さんに行くと
    なぜか人が亡くなる話ばかりを手にとっていた。
    どうやら脳の検索機能で目に入ってくるものというのは
    ごく最近見たことや、関心を持っていることが
    真っ先に検索されるからだそう。
    なんだか不思議な体験だったなあ。

  • 全国の本屋さん好きの間では相当に有名だと思われる久住書房の店長だった久住さんの遺作。
    そのことがとても悔しい。

    町の本屋さんの経営が難しいのは有名な話ですが、その中で久住書房は「売れない文庫フェア」や「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」などの企画を次々成功させた、傍から見ると成功者だったのです。

    が、利益率の低い本屋さんが成功することは想像以上に難しく、友の会をつくったり、お客さんから寄付を募ったり、クラウドファンディングでお金を集めたり…できる限りのことをしたにもかかわらず、とうとう本屋を続けることができなくなりました。

    それでも久住さんは、子どもたちに本のある生活をとの思いから、中高生の本を中心にした本屋を立ち上げるための企画を考えていた。
    それがこの本。

    病に倒れた後も、病気を治して全国を講演することを信じて、最後まで夢を、奇跡をあきらめなかった久住さん。
    もっと久住書房で本を買えばよかった。
    今さら悔いても詮無いことですが、久住さんを支えるのは地元の本好きの使命だった。

    本が好きで、本の力を信じていて、子どもたちに本を手渡すことを心から望んでいるような本屋さんが営業を続けられない世の中はおかしい。
    だから私は、ネットで本は買わないのです。

    久住書房の売り上げに大きな打撃を与えたコーチャン・フォーは、私が宇宙一好きな本屋さんなのでこのあたり微妙なのですが、コーチャン・フォーも普通の本屋さんとは逆転の発想で、在庫を多く抱えることでお客さんのニーズに応える町の本屋さんです。チェーン店だけど。
    土地の広い北海道だからの販売戦略。

    久住さんが次に作る予定だった本屋さん、行きたかったなあ。

  • ・「本屋のない所で子育てはしたくない」
    ・本屋に行って目に飛び込んでくる本というのは、今の自分にとって一番必要な本だと言える。
    ・本には奇跡を起こす力がある。
    ・本には全ての答えがある。

    ・ローカルな話題を深堀して取り上げることが、全国的な価値をもつ。
    ・くすみ書房を支えきれなかったことへのくやしさ。
    ・地域の本屋は、児童書と中高生向けの本は絶対に置かなければならない。それが本屋の使命。

    ○読みながら泣けてくる。種は心に入った。


  • 『本を贈る』を読んで、前々から気になっていたこの本とつながった。即購入。

    ああ、こういう方がいたんだなぁ、と。

    小中高の「これを読め!」シリーズは全部読みたいなぁ。

    書店の経営は大変なんだなぁ、と思った。

    なおさら、書店で本を買わなきゃいけないと思わされた。

    町にある本屋さんって、やっぱりいいよね。
    そういう本屋がなくなるのは、かなしい。

    なんでもそうだけど、物事の仕組み、流れなんかは知っておかないとダメだなぁ。

  • 勇気がでてくる 一冊
    私の町の「小さな本屋」は どうなのだろう
    と 思わせてもらえる 一冊
    私も なにか やれそうな
    そんなことを思わせてもらえる 一冊

    ミシマ社らしい すてきな一冊 です

  • 本が好きな人にも、そうでない人にも読んで欲しい。

    こんな素適な本屋さんがあったなんて。こんな本屋さんが近くにあればいいのに。

    でも、ネット書店や本離れ、大型書店の進出で、町の本屋さんはとても厳しい状況に置かれている。こんな素適な本屋さんが結局は閉店に追い込まれてしまうのだから。

    ネットや大型書店は確かに便利だけど、その便利さだけを追求していたら、本当に大切なものが失われていってしまうかも。

    「本屋に行って目に飛び込んでくる本というのは、今の自分にとって一番必要な本だと言える。」と久住さんは書いていますが、だからこそ、本屋さんがもっと活用されてほしい。

    「本には奇跡を起こす力がある。」
    「本には全ての答えがある。」
    「本屋のない所で子育てはしたくない」

  • 奇跡の書店に行きたい。くすみ書房こそそうだったのでは…。いろんな読みたい本が増えた!
    地元のお気に入りの本屋さんが続きますように。

  • 札幌で約70年、地元の人に愛された「くすみ書房」店主、久住邦晴さんによる店舗存続のための奮闘の記録です。

    注目されないために売りあげが芳しくない文庫を集めた「なぜだ⁉︎ 売れない文庫フェア」や、読書率がグンと下がる中学生をターゲットにした「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」など、ユニークなフェアを行った背景には久住さんの本に対する熱い思いがあり、いち読書好きとしてとても共感しきりでした。

    「本にはすべての答えがある」

    今はくすみ書房は閉店し、久住さんも亡くなってしまいましたが、すごく良い言葉だと思うのです。

  • 読書記録です。

    この人だったのか!おせっかいな「この本を読め」の発起人は…どうしてこうなった?という本の選別にいたるいきさつがわかってスッキリしました。
    お子さんが病気で亡くなられたときに「閉店の理由にしたくない」という考え方に、衝撃を受けました…私だって内情を知らない第三者だったらそう考えてしまう、それが当たり前だから。さらっと書かれていますが、本が好きで著者を支えてきた奥様が「5回の大手術」を受けて、その運命を変えようとしていた強さを尊敬します。私だったら、このご家族が乗り越えた試練のひとつでぺしゃんこになる自信があります…

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著者プロフィール

1951年、北海道生まれ。1946年に父がくすみ書房を創業、1999年に後を継ぐ。読書離れに歯止めをかけようと、良書なのに売れ行きのよくない作品ばかりを集めた「売れない文庫フェア」などの試みが話題となる。「本屋のオヤジのおせっかい」と題し中高生に読んでほしい本を集めた「これを読め!」シリーズは道内各地の書店や他県にも広がった。2017年に肺がんのため死去。享年66。

「2018年 『奇跡の本屋をつくりたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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