胎児のはなし

  • ミシマ社
4.09
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本棚登録 : 576
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394170

作品紹介・あらすじ

経験していない人はいない。なのに、誰も知らない「赤ん坊になる前」のこと。

超音波診断によって「胎児が見える」ように――。新時代の産婦人科界を牽引した「先生」に、生徒サイショーが妊娠・出産の「そもそも」から衝撃の科学的発見、最新医療のことまで全てを訊く。全人類(?)必読の一冊。

出産経験のある人も、ない人も、男性も――読んで楽しくて、ためになる!

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    この本を読むまで胎児のことなど1ミリたりとも興味はなかったのだけれど、そんな自分でも興味深く楽しかった。
    ちょっと前のめりでお茶目な増崎先生(おなかの中の胎児の格好を実演してくださる写真あり)と、聞き上手な最相さん。不思議・・・としかいいようのない妊娠、出産、そして胎児のはなしをわかりやすく話されている。
    胎児を通して父親のDNAが母親に入ってきているなんて吃驚。

    • 5552さん
      地球っこさん。

      GWに図書館が休みだなんて!
      非情・・・。
      でも、図書館員のみなさんもリフレッシュできたことでしょう。
      明日からまたガンガ...
      地球っこさん。

      GWに図書館が休みだなんて!
      非情・・・。
      でも、図書館員のみなさんもリフレッシュできたことでしょう。
      明日からまたガンガン借りまくりましょう!

      話は変わりますが高野文子さんの漫画『ドミトリーともきんす』に以前地球っこさんがレビューされていた牧野富太郎さんが出てきました。「ああ!この人知ってる!」とすごく親近感を覚えましたよ(^_^)
      彼の著作もいつか読んでみたいです。
      2019/05/06
    • 地球っこさん
      5552さん、何度もごめんなさい!
      でも、何だかうれしくて(^o^;
      またコメントしちゃいました。
      そうなんです。
      「ドミトリーとも...
      5552さん、何度もごめんなさい!
      でも、何だかうれしくて(^o^;
      またコメントしちゃいました。
      そうなんです。
      「ドミトリーともきんす」を読んで、牧野富太郎や中谷宇吉郎などなど、科学者さんたち、そして彼らの記す随筆に興味を持ったんです♪
      5552さんの本棚で見かけて「おっ!」と嬉しくなりました。
      科学オンチの私でも、科学に興味の持てるマンガでした。
      「未来への周遊券」と「ドミトリーともきんす」は、大切に手元に置いてます(*^^*)
      5552さんのおかげで、しばらくぶり科学者さんたちの随筆集を読んでみたくなりました。
      読みたい本やオススメしてもらった映画がたくさんあって嬉しいかぎりです。
      2019/05/06
    • 5552さん
      地球っこさん。
      何度でもウェルカムです(*^O^*)
      『ドミトリーともきんす』、地球っこさんも読まれていたのですね!
      私は図書館の科学...
      地球っこさん。
      何度でもウェルカムです(*^O^*)
      『ドミトリーともきんす』、地球っこさんも読まれていたのですね!
      私は図書館の科学棚でみつけました。
      すてきなコンセプトの漫画ですね。
      こうやって興味の幅が広がっていくのもすごく楽しいですよね♪
      2019/05/07
  • ヒトは生まれた日を0歳として年齢を数えるので、母親のお腹の中にいた9カ月半は年齢にカウントされない。
    「胎児」と呼ばれる水中生物から、「新生児」と呼ばれる陸上生物に変身した瞬間からヒトとして生きる。

    これまで「胎児」についてきちんと知ろうとしたことはなく、いわば未知の生命体でした。
    (知らないことばかりだったので)この本で多くの知識を得ることができた。

    胎児は生まれるとすぐに泣くけど、おなかの中でも泣いている?
    あくびやしゃっくりをどのくらいしている?(くしゃみの記述はなかった)
    呼吸は口ではなく鼻でする練習をして生まれてくる。その理由は?
    大量のおしっこはどこへ行く?うんこは?
    その他、胎児の診断や手術がどこまでできているのか。
    などなど。

    10カ月足らずで役割を終える胎盤と100年近く生きる胎児が同じ受精卵からできるなんて知らなかった。
    胎盤は精子由来、胎児は卵子由来。
    胎盤は母親が作り出していると思っていた(なんと無知なことか)。

    そして一番の驚きは、父親のDNAが胎児を通じて母親に入り込んでいるということ。
    その父親のDNAが母親にどんな影響を与えるのかの一例も紹介されている。

    結構すごい内容だと思いますが最後まで興味深く読めました。(最相葉月さんのおかげでしょうか?)

  • 本書は、産婦人科医の増崎英明先生にライターの最相葉月氏が聞き取りをするという対談形式の本です。
    自分が常識だと思っていた妊娠や胎児、出産についての知識は、かなり古いものであることを思い知らされました。
    妊婦は2人分食べなきゃならないとか、無理してでも母乳で育てる必要があるとか、今は違うのですねえ。

    それから胎児の病気を外科的手術で治すなんて想像もしていませんした。しかも、これは保険適用外なんですね。確かに母親が病気であるという訳ではないし、まだ産まれていないから「人」としても認識されない、難しい問題です。

    今の時代は「出産」なんて簡単なことのように感じてしまいますし、出産で母親が亡くなるなんて話はほとんど聞かなくなりましたが、まだまだ、母子ともに健康な状態で産まれるというのは奇跡的なことなんですね。

    また、中絶の話も興味深かったです。
    特に胎児の異常が見つかった場合に、中絶するかしないかを医師も夫婦も悩む。増崎英明先生は「病気を持って生まれてきても、子供にはだれでも生きる価値がある」と言います。
    障害を持った子供を持つ家族の方が家族の絆が強くなったり、中絶をするという判断をした夫婦が結局離婚してしまったりと非常に考えさせられるものがありました。

    そして増崎先生は、最新の超音波検査や各種の検査によって、昔は全く分からなかった胎児の状況が分かるようになったことで、余計な悩みが増えてしまったと言います。例えば、男女の別などはかなり早い段階で分かってしまい、それを知ったことにより中絶しようとする夫婦がいたりするそうです。

    また、胎児を通じて、母親の中に父親のDNAが入っていくという話はびっくりしました。夫婦は結局他人なんだろうと思ったら、子供ができた夫婦はもう他人じゃなくなるんですね。
    いろいろと考えさせられる話ばかりで非常に興味深かったです。
    この本は誰にとってもいろいろと得るところの多い本だと思います。

  • 〇人間は女性が原型なんです。ご存知だと思いますが、人間には、二十二対の常染色体と一対の性染色体があって、女性の染色体がXX、男性がXYですね。Xの大きさが手の小指とすると、Yって小指の爪くらいしかない。おまけなんですね。Xの中にはものすごい数の遺伝子が入っているんですが、女の人はそれを二つもってる。なぜ二つあるのかというと、片方が壊れてもいいようになんですね。どこかが壊れたら反対側が働く。ところが、女の人はXを二つもっているのに男には一つしかない。だから早く死んじゃう。

    ☆染色体の話は、高校生の時にならったきりだったなあ。
    遺伝子という場合と、DNAの場合と、染色体とで、いまいち理解がきちんとできていないので、そこはほかの書籍で補完したいところ。

    〇そもそも胎児の発生や妊娠の経過がわかったのはなぜかご存知ですか。(中略)子宮をとることが決まっている黒人に性交させて、一定時間経過するごとに支給や卵管を切って調べた。

    ☆そういう膨大な人体実験の上に医学の進歩が乗っかってると思うとなんだか苦しくなる。

    〇子宮に入ったまま胎児の手術ができるようになったのはいつ頃なんですか。
    1980年代からやりだしたんだけど(中略)今の時点で一番役に立っているのは、双子ちゃんの胎盤で血管がつながっているケースです。少し圧が違うと一人が多血症で一人が縮んで貧血になったりするんですね。つながった血管をレーザーで焼くとそれぞれの循環が別々になって、血流が行き来しやすくなる。これはきわめて有効ですね。

    ☆すごいなあ。まさに神の手。本来なら助からないような状況でも、助かる可能性が出てきた。

    〇脊髄髄膜瘤といって、背中にこぶができる病気です。(中略)出生前診断はここから始まったんです。こぶって神経だから、アルファフェトプロテインって物質が羊水に出るんですね。

    ☆ダウン症が最初ではない。ちょうどこれが日本で始まった2012年ごろ、私も二人目の子を妊娠していたなあ。ポスターが貼ってあったからよく覚えてる。まだ出始めだったから受けなかったけれど、受けることが一般的になっていたら、受けていたのかな。結果が出るまでは毎日考えてしまいそうだが・・。

    〇イギリスとフランスには胎児条項がある。イギリスに行くと、たとえばダウン症ってわかったら、生きていける子でも、親の希望があって医師二人のサインがあれば、妊娠週数に関係なくお母さんに産ませるんじゃなくてお腹の中で殺しちゃうんです。
    どうやって殺すんですか。
    KCLを注入するんです。

    ☆お腹の中で殺す。殺してから産ませる・・。想像したくない。人の形になっているものを殺すんだから、親はもちろんだけど、医師だってやりたかないだろうなあ。

    〇肺ってスポンジ状になっていて、あの中で自分の肺胞液をつくってためてるんです。肺胞液というのは界面活性剤ですよ。いわゆる石鹸と同じ。(中略)
    生まれるときに、ぎゅーっと狭い参道を通って出てくることに意味があるんです。ギューッとスポンジが絞られて、生まれてくるときにその肺胞液を鼻からじょじょじょじょじょーって出すわけですね。そうすると、スポンジがぎゅーっと縮まるので、外の空気をぼわあっと吸うわけです。

    ☆産道を通るとき、そんなことが起こっていたとはね。ここから呼吸がはじまる。

    〇エイズって、お母さんがエイズになると、胎児も一定確率で先天的にエイズになるんです。普通にお産すると20%~40%ぐらいです。でも、陣痛が来る前に帝王切開で生まれると2%までガタンと減るんですよ。

    ☆産むときに母体のウイルスを胎児の中に押し込んでいる!陣痛が来ると母親のDNAが胎児に行く。

    〇長崎は全国でもHTLV-1ウイルスのキャリアが多い地域なんですね。HTLV-1が引き起こす成人T細胞白血病(ATL)という病気があって、非常に予後が悪いんです。さきほど少し話しましたけど、これが母乳から赤ちゃんに感染することがわかったので、1987年~30年間、三十万人以上の妊婦さんに検査を行って、このウイルスをもつお母さんの母乳を遮断するっている仕事をやってきました。三十年前は長崎県にHTLV-1のキャリアは7%いたんですが、それを0.8%まで減らしました。この数値は日本の他の県とほぼ一緒です。

    ☆こうやって、自分の仕事の中で、自分にできることを見つけて、世の中に貢献できるようになりたい。すごい人だなあ。目立つようなことをするのではなく、地道に、コツコツと確実にやっていく。

    〇染色体異常が増えていくカーブを見ると、だいたいダウン症を出生する可能性が百分の一になるのが39~40歳なんです。

    ☆1/100って結構高確率な気が。卵子の老化。

    〇生殖医療
    何に対して取り締まるって言われると、まずは生殖医療を行っている側に透明性をもたせる。これは学会の仕事です。次いで親子関係を明確にする。これは法律ですね。その他・・

    ☆こうやって責任の所在は分けて考えないといけない。

    〇「女」という字の中におっぱいがあって、それが腫れてくると「母」になる。「包」の語源も面白いですよ。子宮の中に胎児がいて、だんだん胎児が崩れていって「己」になったと。

    ☆最初は逆子だと思われてたってわけか。エコーで見えるようになって、初めて分かった。なるほどね~。

  • これは素晴らしいホントのおすすめ本です♪
    昔読んだ「絶対音感」の最相葉月さんの名前に牽かれて読み始めたけど、最相さんが絶妙な聞き手役で胎児医療の権威 増崎英明医師の有する胎児の世界の知識を余すところ無く引き出していて興味が尽きません!
    初めは胎児の話なんてどうなの?なんて思いつつ読み始めたのに、目から鱗が落ちるばかりのとても面白い学術書に引き込まれておりました 笑。
    なんと言う奥深い胎児の世界!

  • とっても衝撃的な事実を知ってしまった!
    心底、ビックリした!!

    「胎児のDNAの半分はお父さんのものだから、お父さんのDNAが胎児を介してお母さんにいっちゃってる。大ショックですよ」

    「ーやあ、びっくりです。夫婦は他人といいますけれど、実は生物学的につながっている。世界観がひっくり返るほどの衝撃です」

    「母親のDNAは父親にはいかない。父親はさびしいことに、あげるだけみたいな」

    おまけの話。
    「話は、夫婦の顔がにてくるっていう話につながるんだけど。」
    (略)
    「そっちは精子由来の話かも。いずれにしても、妻の方が夫に似てくる。」

    以下、省略。

    読書は思いもしなかった知識を与えてくれるので、
    やっぱり楽しいなぁ!

  • 見えない世界に生きる命。
    エコーで見えるようになっても、人工授精ができるようになっても、まだまだわからないことは多い。
    エピグラムとして引用されている、三木成夫の『胎児の世界』より。

    人間社会には「見てはならぬもの」があろう。
    母胎の世界は、その最も厳粛なものの一つである。
    そこに展開される光景がどんなものであろうとも、やはりそれは、永遠の神秘のかなたにそっとしまっておくというのが、洋の東西を超えた人間の常ではなかろうか…

    とはいうものの、パンドラの箱を開けたがるのが人間。
    さて、開けた先には何が?

    胎児研究の歴史は、人体実験の歴史でもあった。
    妊婦に全身麻酔をかけて、子宮をのぞいたり、あるいは黒人に性交させて一定時間経過するごとに子宮や卵管を切って調べたり、生理食塩水の中に中絶した胎児を入れてみたり…。
    27頁で、知らないうちに実験台になった人や、自ら被験者となった人々の犠牲を棚上げして医学の進歩は語れないとあるが、まさにその通りだ。

    驚いたのが、胎児のDNAが母の中に、また逆もあるようだ。
    不思議だ…。
    だから、先天性のウイルスなどに罹患させないために帝王切開をするという方法があるそうだ。
    それは母親側の罪の意識を少し軽くしてあげられるかもしれない、子供も助けられるかもしれない。
    福音のように思えたのは私だけだろうか?
    一方、父親のDNAも子供を通して母親に行くそうだ。
    繋がりという意味では素晴らしくもあるけれど、一方で望まぬ妊娠をしてもらった場合、これはあまり知りたくない情報だ。
    胎児が母親を治す時もあるし、そうでないこともある。
    本当にどの話を見ても、神の御技とはこういうことを言うのかなと思った。

    素晴らしい、不思議に包まれた世界。
    誰も触れてはならない、でも触れたい。
    この先には私たちは何を見るのだろうか。

  • 父親のDNAが胎児を通して母親に入っているという話がもっとも衝撃的。ほかにも、胎児はノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返していて覚醒はしていないとか、福沢諭吉の先見とか、胎児手術の話とか、知らないことばかりで大いに勉強になる。先生の専門外なので仕方ないが、出生前診断に関してはもう少し深い議論を読みたかった。先生のキャラを伝えるための無駄な会話、主に権威のある男性にありがちな「自分大好きすぎ」会話パートが私には無駄に感じられた。(これは読者の好みによる)妊娠9ヶ月で読了したものの、自分のお腹の中にいるものと同じ胎児のこととはなかなか繋がらないのが不思議。

  • 2019.7.10
    女性はみんな左側に赤ちゃんを抱く
    って、、わたしもじゃん!
    完全に無意識で左側に抱いていたけど、そんな小さいことにも理由があったんだなと思ってびっくり。

    出産や胎児の歴史も知ることができて良い本だった。
    インタビュー形式で、常に話し言葉で書かれてるから医学知識がなくてもサクサク読めて面白かった。

  • 妊娠を機会に、前から読みたかった本書を手にとった。胎児というニッチな分野の本書が多くの人に読まれていることはすごいことだと思う。本書をきっかけに、胎盤、胎児の産まれる前後の変化、陣痛の意味、医療技術の進化等について知れる良いきっかけになった。増崎先生の興味関心の持ち方は自分も持ち続けたいと思った。

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著者プロフィール

1963年生まれ。兵庫県神戸市出身。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、精神医療などを取材。著書に、『絶対音感』『星新一 一〇〇一話をつくった人』『セラピスト』(以上、新潮文庫)、『青いバラ』(岩波現代文庫)、『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』(岩波新書)、『れるられる』(岩波書店)、『理系という生き方 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』(ポプラ新書)、『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)、『辛口サイショーの人生案内』(以上、ミシマ社)など。

「2019年 『胎児のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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