日本習合論

著者 :
  • ミシマ社
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本棚登録 : 347
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394408

作品紹介・あらすじ

外来のものと土着のものが共生するとき、
もっとも日本人の創造性が発揮される。

どうして神仏習合という
雑種文化は消えたのか?
組織、民主主義、宗教、働き方…
その問題点と可能性を「習合」的に看破した、
傑作書き下ろし。

壮大な知の扉を、
さあ開こう。


「話を簡単にするのを止めましょう」。それがこの本を通じて僕が提言したいことです。もちろん、そんなことを言う人はあまり(ぜんぜん)いません。これはすごく「変な話」です。だから、多くの人は「そんな変な話は聴いたことがない」と思うはずです。でも、それでドアを閉じるのではなく、「話は複雑にするほうが知性の開発に資するところが多い」という僕の命題については、とりあえず真偽の判定をペンディングしていただけないでしょうか。だって、別に今すぐ正否の結論を出してくれと言っているわけじゃないんですから。「というような変なことを言っている人がいる」という情報だけを頭の中のデスクトップに転がしておいていただければいいんです。それ自体すでに「話を複雑にする」ことのみごとな実践となるのですから。――あとがきより

感想・レビュー・書評

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  • 6/2(水)内田樹×釈徹宗「夕日の習合論」ライブ視聴チケット #MS Live! | ミシマ社...
    https://mishimasha-books.shop/items/60a4e2411945c75c971241ed

    内田樹×三砂ちづる対談「少数派として生きていく」(1) | みんなのミシマガジン
    https://www.mishimaga.com/books/nihonsyugohron/002773.html

    株式会社ミシマ社 | 日本習合論 | 原点回帰の出版社、おもしろ、楽しく!
    https://mishimasha.com/books/nihonsyugohron.html

  •  内田先生、ミシマ社からの久々の書き下ろしは、〈習合〉をキーワードに、日本社会の様々な諸相を論じたものである。

     加藤周一が唱えた、日本文化は雑種文化であるというテーゼの代表的な顕現として「神仏習合」があるのではないかと捉え、それではなぜ千年近く続いたにもかかわらず、維新政府の政策によりほとんど抵抗なく神仏分離が進んだのか、との問いを発する。

     それを中心的な問いとして、共同体、農業、宗教、仕事と働き方等々について、興味深い話が続く。社会的共通資本の公共性、ショートレンジで利潤最大化を目指すグローバル資本主義の限界、働くことの意義、これは自分の使命だと思って行動する人間がどのくらいいるかが、その社会の強靭性、健全性を示していること等々について、いつもの内田節で、具体事例を紹介しながら、目から鱗の面白い話題が続く。

     純化主義、原理主義は純粋で、浄化、原点帰還は巨大なエネルギーを発出するが、それで本当に世の中はよくなるのだろうか、折り合いをつけて習合することで日本は創造性を発揮してきたのではないのか。
     日本の閉塞状況に対する著者の考察が詰まっており、いろいろなことを考えさせられる、良き参考書である。

     

  • 本の中にも記載されていたと思いますが
    日本辺境論に続いての日本文化社会論
    あとがきに記載されていることが非常に面白く
    思えました。たしかに、『話を簡単にするのをやめましょう』
    というのはなかなk思いつきません。
    でも、確かに異物を除去する考え方や、純血を
    薦めていく考え方は怖いと思います。
    頭をスマートにするのではなく、逐次的な賢さを
    求めるのではなく。頭の容量を大きくし選択と集中の
    逆を考える
    というのも大事だなと思いました。

  •  本書腰巻きには次のようにある。

    「外来のものと土着のものが共生するとき,私たちの創造性はもっとも発揮される。」

     まさに,そういう本だ。日本人の以下のような生活は,いかにも豊かな生活習慣だと思うがどうだろうか。
     年末には,クリスマスを祝って,除夜の鐘を聞いて年越しそばを食べ,神社で初詣をして書き初めし,左義長に参加して,節分では鬼を払ったつもりになり,恵方巻きを食べ…というような生活。結婚式と葬式とはまったく違う宗教で行ったり…。
     こんな生活は,他の国の人から見ると,いかにも節操がないように思えるが,それが日本人なのだから仕方がない。日本人は古来から,新しい文化と交わる度に,それを排除するというよりもいいとこ取りをしたり,複合させたりして,日本独自(に見える)文化を創ってきたのだろう。
     世界には(あるいは最近は日本にも)「純粋になること」を主張する人たちもいるけれども,その純粋を人に求めるようになるところから悲劇は生まれるのではないか。トランプのアメリカ・ファーストが失敗したのは,米国が建国以来持っていた「混ざっているからこそのよさ」「混ざっているからこそのエネルギー」を活かすことをやめてしまったことによるのだと思う。
     「まえがき」によると,日本文化は「雑種である」ということを指摘したのは加藤周一さんらしいが(『雑種文化 日本の小さな希望』1956年),内田さんは,さらに,次のようなことを本書で述べていきたいと言っている。

     僕が書こうと思うのは,どうして日本人は雑種をおのれの本態として選択したのか? それはどのような現象に端的に表れているのか? そのもっとも成功したものは何か? 雑種ゆえの弱みや欠点があるとしたら,それはどういうかたちで表れるのか? そういった一連の問いです。…中略…雑種文化の原理論としては『雑種文化』一冊があれば足りると思います。でも,それを踏まえた「各論」をいろいろな人が書くことにも意味はあると思います。(本書 p.7)

     そして,内田さんは,「神仏習合」を典型的な事例として話し始めるのだ。

     内田さんの形口は大好きなので,今まで何冊も読んできた。これもまた,また読んでみたい本である。

     一カ所だけ引用を。すごい文章です。力づけられます。いいじゃないですか,今のあり方で。

    ミスマッチを「悪いこと」だと考えるから傷つくんです。人生はミスマッチだらけです。僕たちは間違った家庭に生まれ,間違った学校に入り,間違った人と友だちになり,間違った相手と結婚して,間違った仕事を選んで,間違った人生を送る。そういうものなんですよ。それでいいじゃないですか。それだってけっこう楽しいし,そこそこの「よきもの」を創り出して,この世界に遺していけるし,周りの人からは「楽しそうな人生を送りましたね」と言ってもらえたりっするんですから。(本書,p.60)

  • わたしの様ないろいろなことをごった煮で考えている周縁的な人間にとっては勇気を与えてくれる一冊。理解・共感・原点回帰に囚われている人には一読をすすめる。

  • とっつきやすさ、親しみやすさが印象的な本でした。
    自身が少数派だと強く意識された上で、自分の意見を広く知ってもらうためにはどうするかということから書いてあり、そういう内田さんの姿勢がとても好き。
    「私はそう思います」「だってそうでしょう?」などご本人に直接話を伺っているかのような感じでトントンと読み進められた。
    たまに暴走して極端な論調になっていくのもひとつの良さかと思う。
    宗教や文化や資本主義など外来のものに対して日本がどう対応して来たのか、現在の機能不完全な状況はどうして生まれたのかを考えることに繋がった。
    Twitter上で反日扱いされるという内田さんだが素直に自国を愛する気持ちを感じる。と同時にネットにおけるいわゆる保守的な方々に対する苛立ちがたまに噴出してて面白かった。

  • 中沢新一の贈与論にリンクする内容と、展開。民族や歴史による「義務」 の概念のちがい。

  • 選書番号:285

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/532652

  • 悪くないけど、長い。。。
    筆者が考える日本的なものを「習合」という観点から論じている。あと、まとまりが感じられない。以上を纏めると、、、、年とったなぁ。。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。思想家、エッセイスト。2007年『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、10年『日本辺境論』で新書大賞2010を受賞。11年伊丹十三賞受賞。著書に『寝ながら学べる構造主義』など。

「2021年 『武道論 これからの心身の構え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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