- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909394705
作品紹介・あらすじ
コロナ下、病気が悪化したこの2 年の中で、小田嶋隆が残した最後の言葉とは――
本書は、さる2022年6月24日にお亡くなりになった小田嶋隆さんの遺稿コラム集です。遺稿集とはいえ、小田嶋さんの生前より進めていた企画です。5月末、小田嶋さんから電話があり、「医者は、夏を迎えられないかもしれない、とか言ってるんです」と軽やかにおっしゃいました。その際、『小田嶋隆のコラムの切り口』の編集を「とても気に入っており、ああいう編集でもう一冊まとめてほしい」とご希望いただきました。それで急きょ、進めることになりました。6月20日にご自宅へお見舞いにうかがったとき、小田嶋さん自ら、本書のタイトル案を述べられ、その場で、『小田嶋隆のコラムの向こう側』に決まりました。
『小田嶋隆のコラムの切り口』は紙媒体に掲載されたコラムを中心にまとめたの対し、本書は、全てウェブ媒体(小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」)に載ったもので編集しました。その意味で、『コラムの切り口』の姉妹編のような位置づけの一冊でもあるはずです。
2020年春のコロナ以降のロングコラム18選を収めた、文字通り、小田嶋さんのラスト・コラム・ ブック。くりかえしくりかえし、楽しんでいただけましたら幸いです。
(本書編集人・三島邦弘)
感想・レビュー・書評
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もっと早く知っていれば、この人のコラムを追っかけて溜飲を下げていたのになと思う。
これが遺作となるとは。
内田樹との共著で名前を連ねていたので、時々読んでいたが(今「読ませてもらった」と思わず書きそうになった!小田嶋さんに叱られる)
フェミニズムに関する率直なエンパシー。あー、この人は賢い。2021年4月2日付の新聞で読みたかった!
女性として、わかってくれてありがとう、書いてくれてありがとうとと言いたい。
そうなのだ、まさしく「ユーモア」の呪縛なのだ。
そんなのは本当のユーモアじゃない、ただのイジワルで、揶揄で、狭い視野の笑いに過ぎないのだけど。
その自称ユーモアに、女性は、さらされてきたのです。わかってくれてありがとう小田嶋さん。
足が太い、嫁に行き遅れる、器量が悪いと小突き回され、「山の神」は口うるさい、ケチだ、太ったと、笑われて、言い返すと「ユーモア」がわからないと罵倒される。
書いてくれてありがとうございました。
亡くなるの早過ぎです。
もっと読みたかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
気軽に読めて好きだけど、逆にあえて手にすることが少ないコラム本。2022年6月に亡くなられた著者の遺稿集。もうこれ以上読めないのだからお別れをかねて読みたい
#小田嶋隆のコラムの向こう側
#小田嶋隆
22/8/31出版
#読書好きな人と繋がりたい
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「書くことがない」という書き出しの伝説コラム、親友へ捧げる詩、「晩年は誰のものでもない」、自らの病について、など人間オダジマがあふれる作品から、フェミニズム、嫌酒権、ウクライナへの思い…生前最後の一本を含む社会派コラムまで、コロナ下に書かれた18本を厳選。
著者の本を久しぶりに読んだ。最後の某映画監督の謝罪になっていない謝罪文については、同意見である。 -
これで小田嶋さん納め。
本当に残念である。この筆致、文体は誰にも出来ない。
日経BPで横書きで既に読んでいるのはずだが、やはり書籍としての縦書きがしっくりくる。
縦書きだとさらに筆者のすごさが伝わってくる気さえする。 -
毎週金曜に、日経ビジネス電子版で小田嶋さんのコラム「ア・ピース・オブ・警句」が配信されるのが楽しみでした。
朝5時に配信されるのが待ち遠しく、パソコンに噛り付いて待っていたほど。
それほど、小田嶋さんのコラムは自分にとって魅力的でした。
単に世相を切るだけではありません。
その高度な文章技術、卓抜なユーモア、鮮やかなオチ。
これはもう単なるコラムではありません、ほとんど至高の芸といった域に達していました。
ぼくはコラムが好きで、これまでもたくさんのコラムニストの文章を読んできました。
ぼくも日常的に文章を書く仕事をしているので、誤解を恐れずに言えば、数多いるプロのコラムニストには、「頑張れば勝てる」「今でも勝っている」という印象を持ってきました。
でも、小田嶋さんには逆立ちしたって敵いっこない。
ぼくがもう一度、赤子から人生をやり直して、そうですね3歳くらいから将来、プロのコラムニストになるべく修行を徹底的に積んだとしますか。
それでも、小田嶋さんには絶対に敵わなかっただろうと断言できます。
それほど圧倒的な存在でした。
嘘だと思うなら、本作から1編だけ拾い読みしてみてほしい。
何度も笑った上で、最後は唸るはずです。
そして、「小田嶋さんこそ、最高のコラムニストだ」と思うでしょう。
だから、今年6月に小田嶋さんの訃報に接した時は、ショックのあまりしばし呆然としました。
65歳。
何と若くして亡くなったことでしょう。
あまりにも惜しい、寂しい。
本作は、小田嶋さんが過去に書いた傑作コラムをまとめたもの。
何度も読み返したいと思います。
小田嶋さん、これまで楽しませてくれて本当にありがとうございました。
安らかにお眠りください。 -
著者のことは元々、内田樹さん繋がりで知ったのだが、『「踊り場」日本論』出版イベント(2014年)で直接お会いしてからはweb連載は勿論、著作も遡り夢中になって読んだ事を思い出す。
小田嶋隆さんが亡くなったのは2022年6月24日。
本書のタイトルは6月20日に御自宅で決めたものだとか。最後の最後まで本当にお見事。
見事だけれど、さびしい。今もつい「こんな時小田嶋さんならなんと言うかな」と考えてしまう。 -
コロナ渦中の話題を中心に、亡くなる直前まで綴られた氏のコラム集。フェミニズムや断酒など、後天的に、意識的に感得されるに至る過程とか、赤裸々に語られていて興味深し。
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《目次》
・ まえがき
◇第1章 コロナと孤独コラムニスト
・ Zoomに心を許さない理由
・ 君、最近休みをとったのはいつだね?
・ 一億総祖父母時代に、大坂なおみ選手をたたえる
◇第2章 コラムの逆回転
・「改革は待ってくれない」というのはウソ
・ 昭和の笑いはおおらかだったのか
・「一人メシ推奨国民運動」はなぜ嫌われる
◇第3章 さらば、酒と友と
・ 酒飲みを甘やかす文化は永遠なのだな
・ いつか「嫌酒権」が叫ばれる日
・ 夏の雲が立ち上がるのを見上げていたぼくは十六歳だった
◇第4章 晩年は誰のものでもない
・ 自然の猛威で片付けるのはもったいない
・ 晩年は誰のものでもない
・ ジョンとヨーコとフェミニズム
・ 虫とタイガー・ウッズの父に学ぶ、遠くを見ない処世術
◇第5章 コラムの向こう側
・ 殺意は容易に暴走する
・ 戦争を宣伝ツールに使う残念な人たち
・ 思い上がりがもたらす自縄自縛
・ カジュアルさにひそむ責任回避
・ ○○界に残る「ホモソーシャル」 -
遺稿