ええかげん論

  • ミシマ社 (2022年10月21日発売)
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  • 本 ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394767

作品紹介・あらすじ

コロナ、政治、気候…不安は尽きねどもまずは日常を整える。

その智恵がここに。



正解は、いつも同じではない。

けれど、自分のコンディションを整え、「今・ここ」を感じていれば、

おのずと「ある一点」がわかるようになる。



料理から、そして保守や仏教の思想から、

それぞれに「ええかげん」を探求してきた二人による、

自立して豊かに生きるための「ええかげん」論。



「ええかげん」の中に、ええことも、わるいこともぜんぶあるんです。…一生懸命の道中楽しみましょ。――土井



(リベラル保守の)考え方と、土井先生がおっしゃる「ええかげん」は、つながっているんじゃないか、と思っていたんです。――中島



フキノトウの天ぷら、ほんれんそうのおひたしの実演(写真入り)やインド珍道中のおまけコラムも!



「料理と利他」深化版!

感想・レビュー・書評

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  • 前著「料理と利他」の深化版!
    料理でいう「ええかげん」を人生や生き方、考え方にまで広げて論じていた。ここでいう「ええかげん」は、お風呂のちょうど良い湯加減に似ていると思った。ちょうど良い具合とも言い換えられるように感じた。自然に任せる感じ。物事をいい意味で「ええかげん」にとらえて、うまく人生の行く末のバランスを取っていきたいと思った。

  • 「ええかげん」とは「良い加減」、「ええかげん」にしときやとか、「あいつ、ええかげんなやつ」とか、悪いことに使われることもおおいですが、ここで言う「ええかげん」は、完璧ではいいですが、ゆるく、それでいて塩梅の良い状態。ええことも、悪いこともぜんぶあるのが「ええかげん」。

    料理で言えば、塩なんグラム、水何㏄ときっちり計って作るのではなく、その日の体調、気分で変わっても良いのではないかと、そこで味見があって料理人が主体で微調整。私たちは、「出来たて」が大好きですが、でも、熱々の料理って、ほとんど味(味覚)はわからないもので、時間が経って粗熱が取れて、温度が落ち着いてきて、ほんとの味がわかるもんだと。さらに時間が経つと、煮物なんかは料理が枯れてくる(見栄えは悪くなる)。味っ広くて、ひとつの味だけではないんですね・・・。自分で見つける味を「探し味」って言うらしいです。

    自分で感じる、自分で見つける、食べる人の感受性を大事にせんとあきまへんな。

  • 土井善晴さんと中島岳志さんによる対談をまとめたもの。
    どうでもいい方の適当ではなく、ちょうどいいの方のええかげん。

    本文中には沢山の引用があり、特に小林秀雄の「伝統とは、失われようとしたときに、現れるものである」というのが心に残りました。
    失われようとしている時にしか当たり前の大切さに気がつけないのかもしれませんが、本当に失うのかそこで踏みとどまるのか日々の選択で変えていくしかないと思います。
    両氏共に大切にしたいことなど自分の考えと似ており頷きながら読みました。
    読んだだけで終わりにしないよう出来ることから変えていきたいです。

  • 料理と生き方と 美学のお話に近いですが、
    今 現代に 問題提起のような対談でした。

  • 対談を書籍化している一冊。ええかげんとは自分で考えて自分で決めること。言葉の響きとは逆に思えるこの一節。ええかげんをどう解釈するかによるのかな。いい塩梅、いい調子、と理解するとなるほどと思える。お金は関係性を切り、贈与は関係性を創出する。これも印象的。利他の本を書かれた中島氏のコトバは深い。「和える」「混ぜる」の話も興味深い。「和える」は食材を生かすこと。それぞれの食材が尊重し合うこと。1+1=1ではなく、1+1=3みたいなことなんかな。
    図書館で借りて、返却前にあわてて読んだので、改めてゆっくり再読したいところ。

  • 関西人のええかげんは奥深い。ええ塩梅もしかり。
    器、道具としての価値について、民藝についての言及もあり。

  • プラトンの対話篇を読んでいるような、ソクラテスと誰かの対話を眺めているようなそんな気分になる。しかしそれに学ぼうというよりはうっとりする感じ。その空気感を作り出しているのが、土井善晴先生なんだと思う。そして、それを「自然」に委ねて受け取っているのは中島先生。「委ねる」「受け取る」「受容する」実はそこに利他が見えてくる。自分も大切なもの、大切にしていることを先鋭化して、その結果「ふつう」に回帰して、ゆるい人になりたい。そうしたら寄り添いたい人に寄り添えるだろうか。対話を読む体験はなんとも言えない気持ちにさせる。

  • 料理をすることの尊さや、それが生活の楽しみになること、翻って、暮らしを整えることの重要性を政治や世界情勢などいろんな視点から、土井善晴さんと中島岳志先生が対談したことがまとめられています。

    紀伊國屋の2階レジ前で平積みされてて、ずっと気になってたんだよ。

    なかなか意外な取り合わせのお2人。
    それまた興味深いです。

    家庭のおひたしと、料亭のそれの違いとか、
    食材に向き合ったら、ホントはレシピなんていらないんだよねとか、ふむふむ!って勉強になりました。

    かつて人気番組だった「料理の鉄人」に対しても、「犠牲になってるのは食材」と言えちゃうのも、その道をシビアに歩んで来られたからこそですね。
    小山薫堂さんはどう思われるのかなと、ふと思ったけれど、どちらにも理があるし、それが興味深いところ。

    ✳︎スターバックスはなふる恵庭店さんにて、5/3(水)以降にお読みいただける予定です。
    ✳︎花の拠点はなふるセンターハウスの蔵書です。

    〈本文より〉
    ・「失敗した〜」と思うところから、自分のクリエイションがはじまる※イサム・ノグチの談話

    ・「待つことも戦じゃ」※斎藤道三

    ・100点を取るということは、相手を全然認めていなくて、自分の考えが正しいんだ、と言ってそのとおりにやることになる。(中略)なので相手の言い分を聞いて、「なるほど、あなたが言うことにも理がありますわな」と合意形成をして、いいところに落ち着けていくのが政治というものであると。なので、60点でないといけない。

  • 私が今知りたかった事が全部書かれていました!お二人の他の本も是非読みたいと思います。

  • 先人たちの考えや知識を引き継ぎ、後世の人に引き渡す。「今日より明日はよくなるって信じる」大切にしたい言葉です。

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著者プロフィール

1957年大阪生まれ。料理研究家。十文字学園女子大学特別招聘教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、甲子園大学客員教授。スイス・フランスでフランス料理、味

土井善晴の作品

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