- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909658555
作品紹介・あらすじ
高校の日本史の教科書では一向一揆は単にその名称が書かれているだけで、その具体的な内実が説明されることはほとんどなく、仮に説明があったとしても、浄土真宗本願寺派の門徒が中心的な役割を果たした一揆だった、という簡略な記述にとどまることが多い。
しかし、門徒らの行動の源泉は必ずしも信仰にもとづいたものばかりではなかった。
では戦国の時代とほぼ時期が重なる一向一揆とはそもそもどのような闘争で、構成員らを突き動かしていた行動原理とはなんだったのか。
本書は一括りでは捉えきれない一向一揆の多様さと面白さを、地域や時代、そして宗主(八代宗主・蓮如〜十一代宗主・顕如)の変遷とともに追い、明らかにする。一向一揆入門に最適の書。
【一向一揆は、戦国時代の幕開けに活躍した八代宗主蓮如の時代に始まり、戦国末期に織田信長と死闘を繰り広げた十一代宗主顕如の時代に終結する。まさに、戦国時代と一向一揆の時代は、ほぼ重なっているのだが、この間の宗主(蓮如・実如・証如・顕如)の立場や彼らを取り巻く社会情勢は大きく変遷しており、それは一向一揆にも影響を及ぼしている。そのため、各宗主の時代に即した一向一揆について、その特徴を提示しなければならないと考える。】……「はじめに」より
感想・レビュー・書評
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一向一揆の謎(竹間芳明)―『戦国時代と一向一揆』刊行記念エッセイ - 文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社
https://bungaku-report.com/blog/2021/05/post-961.html
竹間芳明『戦国時代と一向一揆』日本史史料研究会ブックス(文学通信) - 文学通信
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-55-5.html
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織田信長の覇業の前に立ち塞がった最強の敵、石山本願寺と一向一揆の年代記的な入門書。
一向一揆の歴史と全体像を描いたものは目にした事が無かったのでありがたし。
一向宗と言えば信仰の絆と鋼の規律で狂信者を統率し武家支配打倒を掲げ武装蜂起ってヤバくて強面なイメージか、理想と自由のために闘う聖戦士的な扱いでしたが、本作で詳述される内実を見てると中央政界での駆け引きの都合を出先に押し付ける宗主坊官と既得権益を握る出先末寺のパワーゲームのドタバタがユーモラスで、地元の境目争いや闕所争奪戦に血道をあげてて 本願寺なにソレ美味しいの? 的な土豪国人領主のオレサマ感が躍動しすぎで、そのくせ合戦には無類の強さを見せつける規格外の曲者揃いなのが癖になる爽快感。
第六天魔王vs武装カルト教団の戦国トーナメント優勝決定戦的な地獄絵図も浪漫たっぷりで好きですが、うむ、私はこっちの方が人間らしくて好きだな♫
信長の忍びや信長の野望の副読本に良いですね♪ -
一揆と一向一揆は違うらしい。
農民が重い税に反発して暴動を起こすことだと思っていたけど、違うらしい。
農民などの自立組織みたいなもの?
そこに、本願寺も加わって、戦国の世は多層世界だったのか。
加賀一向一揆は、かなり強力だったらしい。加賀藩になっても、反抗的で、何百人も捕らえられ処刑されたとか。
金沢城が火災で焼けて再建するとき、領民がいろいろ活躍したような話もあるけど、それとは矛盾しないのだろうか。ー -
宗主毎に纏めているが〈一向一揆〉とはそもそも何か?時代や地域によって違ったのか?読後も分からないままだ■八代宗主「蓮如」中興の祖、伊勢政所執事家の姉妹を妻とし、細川政元と連携■「実如」一門一家制を整備、本格的な護法の戦いを始める。長享一揆(加賀)永正一揆(越中)までは寺社本所領還付をスローガンとして守護方の欠所(没収)地を正当化したが、以降は欠所跡地争奪戦となる■「証如」畿内動乱に軍事力として巻き込まれ〈大坂並〉の権益確保を図る■「顕如」あたかも戦国大名として、統一政権に世俗権力は吸収された(2021年)
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戦国時代の一向一揆について、その展開と特徴を描く内容。本願寺蓮如から顕如まで、時代と地域による多種多様な側面を丹念に追うことで見えてくる宗教的側面以外の様相が興味深かった。