作品紹介・あらすじ

「あゝ 女と舞踏がしたい 」―武者小路実篤
「己は知らざる人であったのが、今日知る人になったのである」―森鴎外
「自分たちのお父さんやお母さんがそんなことしているわけがない」―中島らも
「恐れながら惹かれるのが性の世界である」―車谷長吉

傷つきやすい自尊心と、たくましい妄想力が炸裂する22篇
読めば必ず、惜春と共感の思いがあふれだす作品群

感想・レビュー・書評

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  • 一は全と言うが、童貞という一つのテーマにそれぞれの作家の全体像が滲み出ているのがすごかった。

    作者それぞれの切り口。どれも切実で説得力がある。武者小路実篤の鬱鬱とした感じも小谷野敦の空回りも。そして谷川俊太郎のスケール感!すごい。やっぱりこの人は違うよ。最後のたった1ページのバカリズムも山椒のようによく効いている。

    百年文庫なんかもよく読むが、テーマ別の全集系ではこれは一番の当たりかもしれない。

  • 三島由紀夫、川端康成、澁澤龍彦から中島らも、みうらじゅんに至るまで、数多の作家が悩み作品にした童貞という事象。この本を読み、「まだ」を意識してから「もう」になるまでの数年間の思考や煩悩がまざまざと蘇ったことに、自分自身が驚いた。
    しかし、本当に三島先生が言うように、それには何の価値も無いから、早々にさよならした方が良いとは思う。
    でも、バカリズムいわく、「童貞を捨てても、向こうはそうは思っていない」というのにも頷ける。
    歌舞伎役者は13歳でもかなり遅いというのも凄い。
    そして何より明治も昭和も、まだの男子の思考回路は、根本的には何も違わないことが判る。
    女性にも是非読んでもらいたい。

  • これはチョイスがすばらしいアンソロジー。ひさしぶりに「文学はいいな」とか思った。特に女性は読むがよい。

  • 「吾輩は童貞(まだ)である- 童貞について作家の語ること」
    赤裸々すぎないか?


    傷つきやすい自尊心とたくましい妄想力が炸裂する22篇というキャッチコピーはぴったり。思春期の男子が抱える童貞問題を作家の視点で照らし出す意欲作(と勝手に思った)。


    童貞とは非常にセンシティブなことである。遅かれ早かれぶち当たるこの問題に対して、本来であれば解くスピードは重要視されることではない。言ってしまえば、最後まで解かなくても何も問題は無いのだ。しかし、ことはそうはいかない。思春期の男子は童貞という亡霊に取りつかれるが如く、常にイヤらしいことを想像し、いつか童貞から卒業することを考える。勿論、頭の片隅に置いておくことで理性を保つことが出来る男子もいれば、妄想力を爆発させてある種の技と昇華させてしまう男子も出てくる。果ては、スカートめくりに始まる問題行動に走る男子も出てくる。


    人を簡単に狂わせる童貞問題。取り扱いには要注意なこの事象を作家の観点や若しくは男としての視点、情熱で綴ったのが本書になります。筒井康隆を筆頭に平山夢明、中島らも、原田宗典、小谷野敦といった現代を生きる、又は生きた作家と武者小路実篤、谷川俊太郎、森鴎外ら時代がひと昔、ふた昔前の作家とでは、切り口がここまで変わるのは面白い。


    個人的には、谷川俊太郎の作品が印象的です。卑猥、スケベ心丸出しのタイトルで中身もエロエロかと思いきや、なんだこれ。性欲の喜びよりも苦しみのようなビターな読み応え。オモシロさという点では、中島らも、原田宗典の作品ですね。これは、男子あるあるなんじゃなかろうか。


    ※一部の収録作品名には卑猥な言葉が使われている為、作者(バカリズムのオールナイトニッポンGOLDを除く)のみを転載しますw
    筒井康隆、平山夢明、中島らも、原田宗典、武者小路実篤、谷川俊太郎、森鴎外、小谷野敦、室生犀星、中谷孝雄、結城昌治、開高健、車谷長吉、穂村弘、しんくわ、寺井龍哉、みうらじゅん、横尾忠則、澁澤龍彦、三島由紀夫、川端康成、バカリズムのオールナイトニッポンGOLD

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

筒井康隆の作品

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