アネモネの姉妹 リコリスの兄弟

著者 :
  • キノブックス
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本棚登録 : 602
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909689504

作品紹介・あらすじ

兄弟姉妹――、最も近くにいて、最も謎の関係。
書店員から圧倒的支持を受ける作家による、
人間の内面を描き切った連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • SNSの「#花言葉診断」が結ぶ、問題を抱える6組の家族模様を描いた短編集。
    ハッシュタグをクリックすると表示される「自分にとって一番必要な言葉」。
    家族関係に悩む主人公達に、言葉にできなかった気持ちを花言葉が教えてくれる。
    重くのしかかる家族からの期待や兄弟姉妹への嫉妬に胸苦しさを捨て去ることができない。
    それは幼い頃から身近にいるため、つい無意識に比較してしまうから。
    最大の理解者でありたいけれど、ライバル関係になってしまう悲しい現実が立ちはだかる。
    「家族なんて、血がつながっただけの他人」
    そうなのかもしれない。
    そうだけれど、家族として積み重ねられた歴史が気持ちを割りきれなくするのだ。

    互いの絶妙な距離を推し測り、時に支え合う。
    傷つけ合うこともたまにあってもよいではないか。
    だって縁あって集った"家族"なのだから。

    家族の間に漂うほの暗さが胸に刺さってくる短編集だった。
    こういう古内さんもいい。
    特に『ヒエンソウの兄弟』『ツリフネソウの姉弟』が良かった。

  • 大好きなマカン・マランシリーズの古内一絵さんの新作
    兄弟・姉妹の関係をSNSの♯花言葉診断と絡めた短編6編

    マカン・マランの印象が強くて、あんなふうな癒しの物語かと思いきやなかなかシビアな兄弟の物語だった

    アネモネの姉妹 / ヒエンソウの兄弟 / マツムシソウの兄弟
    リコリスの兄弟 / ツリフネソウの姉弟 / カリフォルニアポピーの
    義妹

    私は"いい子"でなければ許されないのに、なんの努力もしないあなたはどうしてそんなに簡単に誰からも許されるの?
    と心で能天気な妹を疎ましく思う姉

    「お兄ちゃんが来るか来ないかで、お母さんのテンションが全然違うんだからね」
    それを言われると、ぐうの音も出ない。母は昔から、長男の祐一を半ば信奉しているようなところがあった。表情どころか声色まで変わってしまう
    と長男への親の態度の違いを目敏く小さい頃から感じ取る弟妹

    「兄弟は他人のはじまり」という言葉もあったような
    兄弟は生まれて初めて体験する社会ではないかと思う
    長子として生まれても、次子として生まれても、絶えず比較され
    それぞれの立場できれいごとでは済まされない人には言えない確執や葛藤・辛さがありそうだ
    そんな兄弟の関係を巧みに6編の物語に仕立てている

    「ヒエンソウの兄弟」は、出版社の文芸担当の弟と新人賞に応募したと思われる??兄の話で、予想外の結末がおもしろかった

    大人になった今だからこそ、兄や弟に小さい頃、兄弟のそれぞれの立場をどんなふうに思っていたのか聞いてみたいなと思った


  • 名前を打ち込むと、「自分にとって一番必要な言葉」が表示されるという、ネットで話題の花言葉診断。

    そこにあらわれた花言葉に心を揺さぶられる、六組の兄弟、姉妹を描いた連作短編集。


    面白かった!
    古内一絵さんの作品の暖かさも優しさも、現実の残酷さをさらりと受け入れて描き出すところも、ネットと花言葉という現代的な組み合わせの面白さも、しっかり楽しめた。
    これは、誰にでもお勧めできる一冊。


    思えば、家族の中でも兄弟姉妹という関係は、良くも悪くも特別だ。
    親からの影響、年齢差、似ているところ・似ていないところが、他人との比較以上にダイレクトに、目を逸らすこともできず突きつけられる。
    どんなに仲が良くても、きょうだいがいたら、幼い頃からずっと『お兄ちゃんだから』『妹だから』『お姉ちゃんなのに』『弟のくせに』の類のフレーズにもまれて育ったはず。

    それは、大袈裟にいえば、否応のない人間関係を学ばされる場所に、生まれた時から放り込まれていること。
    今はひとりっ子が多いというけれど…
    これまた、『ひとりっ子はわがままだ』と言われてしまうことにも、きっと同じくらいうんざりしているんでしょうね。
    でも、そういう場を知らずに育ったら、そりゃ他人との関係にも耐性がないわけだ…

    なんて思うと、ネットで授業することが当たり前な時代になったとしても、生身で集団で過ごすことも、嫌なこともあるけれど、絶対に必要な体験なのかも…

  • もっと早く読めば良かった。
    一編ごとに様々な「兄弟姉妹」が描かれていて面白かったです。

    身近な存在だから抱く感情、飲み込んできた思い、コンプレックス。イライラもしたけど、苦しい気持ちを想像して切なくなった。

    幸いにも私には複雑な感情を持つ登場人物に共感できる部分はほとんどなかったけど、作品はどれも楽しめました。

    お気に入りは、
    「ヒエンソウの兄弟」
    「リコリスの兄弟」
    「カリフォルニアポピーの義妹」

    特に最終話はスカッとしたし温かな気持ちの良い読後感でした。
    じんわり心に響いてくる言葉もあちこちにあり、花好きとしては花診断で色んな花が取り上げられているのも嬉しかった。
    .

  • 「ツリフネソウの姉弟」・「カリフォルニアポピーの義妹」が良かった。
    スリリングな展開で引き込まれた。
    この作家の作品は初めて読んだ。
    また探して読んでみよう。

  • 読後、胸にモヤモヤが残る。兄弟姉妹はいるが、どの話も正直共感は出来ず、しかし全く共通項が無いわけでもないためか。苦手な作品。

  • 装丁がかわいくてかわいくて…
    SNSで流行り始めた花言葉診断を軸にした連作短編集。その陰にある思いはとてもせつない。

    兄弟姉妹…やはりどうしても妬み僻み、自分を卑下してしまう自分がいる。なので、読むのにちょっと心配だった。
    姉弟なので、兄妹、姉妹だったらなんて思ったこともやはりある。でも、どの組み合わせでも、さまざまな仄かな思いがあるんだな。
    なんだかんだあるけど、私は今のコンビで良かったんだなと気づかされた。

  • 私も兄大好きなとこがあるから『マツムシソウの兄妹』は背筋が凍りそうになりながら読んでしまった。
    どの話も兄弟姉妹のこのなんとも言えない距離感や心の機微をうまく書かれててぞわっとしたりほっこりしたり。
    家族っていう括りの中で、親とは違って生まれた時から一番身近にいて一番比べられるところにいてる兄弟姉妹。居てくれるから頑張れることもあれば、なんで居てんねんっとほんまに嫌になる時もある。
    でも、双子じゃなくたって自分の分身のように感じる兄弟姉妹がいることは素敵なことやなぁっと改めて思った。

  • 短編集で、総じて今まで思っていたことが違ったんだ!と気付かされる話。最後の花屋さんの話が良かった。

  • 兄弟姉妹近いようで遠い存在を見事に描いた小品集である。私にも妹がいるが、その存在や関係はお互いの環境によって変遷してきたように思える。
    この6作品にも一緒に育った時代やそれぞれの人生を歩み始めてからの関係が人間模様豊かに表現されている。
    それぞれの作品、続きを読みたいと思いながら次の作品を読み始めた。

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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