見えない世界を可視化する「哲学地図」:「ポスト真実」時代を読み解く10章
- 学芸みらい社 (2021年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909783738
作品紹介・あらすじ
ウイルス、情報、性、民族、国家、権力、暴力、陰謀、環境問題など、多様性と不確実性に満ちた出来事に直面し続ける現代を原理的、ジャーナリスティックにとらえる哲学の冒険。
感想・レビュー・書評
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2022/08/01 12:21
普段読まないようなトピック詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在の社会を哲学の視点から書いておられる。難しいが面白く読める。
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空白のスクランブル交差点
異質な原理が交差し、多様性と不確実性に満ちた
出来事に直面し続ける現代。分断と対立、
感情や情報の単純化と平板化を越え、
人問社会の理念を具現化する
複数の選択肢をそなえた
プログラムによる「世界の再定式化」へ。
第1部 人間・身体・生存の多型
情報とウェルビーイング
シンギュラリティの到来」(カーツワイル)、
情報は自由になりたがっている」(ハラリ)。
デジクル技術の圧倒的進展のさなかを生きる
人間のウェルビーイング=善き在り方を、
〈脳・身体・心をもつ生物〉〈自己物語としての生〉
という視点を軸にさぐる
出来事と歴史の生成をめぐる試論―ライプニッツ、シェリング、ドゥルーズ
自覚なきアモータリズム―医療化する社会における死と善
生命認識の捻れと逆説―ゾーエーとビオスの視点から
性というパフォーマンス―性の原則と変容、マジョリティ
第2部 共同性・ネットワーク・現実性の変容
民族という罠
無名の生と権力の語り―フーコー「汚辱にまみれた人々の生」における「現実」の罠
平等主義と暴力の基層
宗教的信仰の一形態である陰謀論を来るべき教育に向けて無毒化する
世論形成において、客観的事実が、
感惜や個人的な信念に訴えかけるよりも
影響力を失った現代。近代陰謀論の歴史を辿り、
《ポスト真実》の状況下で台顕するQアノンをはじめとする陰謀論を
宗教的信仰の一形態として捉える「悪意に満ちた世界にいる」
と考える陰謀論者をその認識から解放する試み。
流れる歴史―海洋と地球温暖化
用語集―世界の輪郭線「World View Atlas」