- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909812445
作品紹介・あらすじ
人魚姫 妖精 魔女 女神 『美女と野獣』
吸血鬼 狼男 クトゥルフ神話……
「人と異類との境界線」を問うことで、人間の定義を再考する。
異類との恋愛・結婚が描かれた摩訶不思議な西洋文学の旅へご招待。
【目次】
はじめに
第1章 エウリピデスの悲劇『メデイア』(佐藤りえこ・広島大学大学院文学研究科客員講師)
コラムⅠ 恋のお呪い
第2章 メリュジーヌ伝説考(山内淳)
コラムⅡ 小泉八雲の異界幻想
第3章 婚礼に足(須藤温子・日本大学芸術学部教授)
コラムⅢ 浦島子とタンホイザー
第4章 ヘンデルの『エイシスとガラテア』(島森尚子・ヤマザキ動物看護大学教授)
コラムⅣ 類を隔てる垣根
第5章 二つの『美女と野獣』(白川理恵・上智大学非常勤講師)
コラムⅤ 十八世紀のフランス・オペラ『プラテ』
第6章 女吸血鬼カーミラと少女ローラ(久保陽子・日本大学芸術学部教授)
コラムⅥ 異類婚の血脈
第7章 狼男ではない「狼男」との婚姻(倉重克明・大学非常勤講師)
コラムⅦ 20 世紀イタリア文学の「奇想的」異類婚姻譚
第8章 ラヴクラフトの〈反転〉する恐怖(植月惠一郎・日本大学芸術学部教授)
コラムⅧ 人間と異類の近未来
特別寄稿 パプアニューギニアの犬娘婚神話(紙村徹・立教大学アジア地域研究所特任研究員)
コラムⅨ 世界のアニメーション映画における異類婚(松野敬文・関西学院大学非常勤講師)
コラムⅩ 日本のアニメーション映画における異類婚(松野敬文・関西学院大学非常勤講師)
解説
感想・レビュー・書評
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女神や妖精と人間が婚姻する物語を、それが綴られた当時の時代背景や宗教観から読み解いている。
とても興味深かった。
とはいえ、白蛇伝からポケモン二次創作にまで一気に飛躍するのはさすがに……。
その間にも多種多様な形で異種間婚姻が多くのアニメ作品や特撮作品で描かれているのだが、調べなかったのか、或いは筆者の琴線に引っ掛からなかったのだろうか。
文字数の都合で端折ったにしても乱暴すぎる。 -
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異類婚姻譚がテーマとくれば気にならないわけがなかった。初めましての小鳥遊書房。社名のロゴが手書き文字。
メデイア、メリュジーヌ、水の精、『エイシスとガラテア』、『美女と野獣』、『カーミラ』、「狼男」、クトゥルフ神話、犬娘婚の全9章。
犬娘婚の章で、『夕鶴』の作者が「木下恵介」と記載されていて5度見くらいした。『種の起源』の原題のミスも惜しい。
異類婚姻譚に属する伝説・物語作品群を扱う論考集。異類婚姻譚というカテゴリ、その興隆と衰退、復活の流れを冒頭に据えて、各章で作品の特徴や成立の時代背景などを詳しく絡めて読み解いていく。各章はさほど多くもない頁数ながら、内容はとても充実していて面白かった。ちょっとすごい読み応え。
積極的に異類婚姻譚として読み解く、という取り組み自体が何より魅力的。のっけからメデイアで衝撃を受けた。ヘリオスの孫娘とは了解していながら、コルキス出奔からイアソンに裏切られて子を殺害して姿を消す、というお話が異類婚姻譚という発想は、私にはたぶんまったくなかった。言われてみれば確かに。悲劇として実際に演じられた時の演出やその効果まで興味深い。ちなみにエウリピデスとセネカ、それぞれのメデイアの描き方については、人間になったか魔女のままかというより、魔女(女神)の解釈の違いという見方もありな気がしてる。一過性であったとしても、神も女神も、その時現在では泣きも笑いもするという、よりギリシア神話に近いのがエウリピデスなのかもしれない。
『カーミラ』の章もお気に入り。読者には必見かも。 -
全部大変興味深く楽しく読んだ。「カーミラ」読みたくなりました。
ただ全体を通して「AだからBといえる」みたいな結論づけまでの流れが割と唐突な印象で、数学の証明問題だったら記述が足りなくて減点になりそう。
ほんの少しですが、急にポ○モンの二次創作の話題を結構強引な感じで出されたのでひえってなりました。