『星の王子さま』再読

著者 :
  • 小鳥遊書房
5.00
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 12
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909812605

作品紹介・あらすじ

邦題『星の王子さま』から抹殺された 「ちいさな」(petit)という形容詞抜きには読めないものとは? 作品にはなぜ「戦争」の影が立ち籠めるのか? キツネやヘビはどのような役割を果たしているのか? 『星の王子さま』という、いかにも可愛く、愛らしい 邦訳タイトルに慣れ親しんできた読者のイメージを壊すかもしれないテクストそのものの精読。


この物語は絶望と孤独感に満ちている

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 星の王子さまが好きで、読んでみようと思ったら、
    全然違う世界が見えた。
    まず、The little prince (小さな王子)なのに、
    星の王子さまというタイトルに変えられているところから始まった。
    読者を集めるためにメルヘンなタイトルに変えられたことで、
    小さな に込められたたくさんの意味を失っていることがわかった。
    本の中で出てくる小さい・大きいの対比、子供・大人の対比こそが重要であるにもかかわらず。

    決して児童文学ではなく、大人に向けられた深い深い物語であることが再認識できた。

    キツネは本当にいいやつだったのか、
    ヘビは本当に悪いやつだったのか、
    いろいろなところがフランス語の言葉の意味をしっかり見ることで、本来の意味が見えてきて、
    本当に面白かった。

    もう一度星の王子さまを読んでみたくなった。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1956年、長野県に生まれる。1987年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。千葉大学名誉教授。専門はフランス文学・文学理論。
著書に、『現代文学理論—テクスト・読み・世界』(共著、新曜社、1996年)、『ポール・ド・マン—言語の不可能性、倫理の可能性』(岩波書店、2012年)、『現代思想のなかのプルースト』(法政大学出版局、2017年)、『ポール・ド・マンの戦争』(彩流社、2018年)、『他者の在処—住野よるの小説世界』(小鳥遊書房、2020年)ほか、訳書に、ショシャナ・フェルマン『狂気と文学的事象』(水声社、1993年)、ポール・ド・マン『読むことのアレゴリー—ルソー、ニーチェ、リルケ、プルーストにおける比喩的言語』(岩波書店、2012年/講談社学術文庫、2022年)、バーバラ・ジョンソン『批評的差異—読むことの現代的修辞に関する試論集』(法政大学出版局、2016年)ほかがある。

「2023年 『私はとんでもない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

土田知則の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×