和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首

  • 八木書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909832344

作品紹介・あらすじ

新しく撰びぬかれた名歌100首があなたの日常生活をリメイクする。



和歌・短歌の魅力を現代に、そして未来に伝えたい、という思いから新たに名歌100首を厳選。歌の面白さを今日に生きる詩形として解きあかす。

執筆者たちがそれぞれの専門を生かして、歌の背景とともに三十一文字のおもしろ味をやさしく解説。

重要な事項を【コラム】として和歌・短歌の基本知識を余すところなく解説した入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 赤き烟【けむり】黒き烟の二柱【ふたはしら】真直【まつすぐ】に立つ秋の大空
     夏目漱石

     大学生が読みたい和歌・短歌とは? フェリス女学院大文学部の教員と学生が、名歌100首を選び、新しい時代の「百人一首」を編んだ。

     古典から近世の和歌が80首で、近現代短歌は20首だが、短歌史的には意外性のある選歌で楽しめた。たとえば、冒頭の夏目漱石の歌である。

     漱石の小説は、恋愛や三角関係を扱った内容も多く、学生にも人気がある。また、友人正岡子規の影響もあり、すぐれた俳句も多く残している。俳句に比べて短歌は数えるほどしか発表されていないが、阿蘇山の坊中登山道の中ほどに、この歌の碑もあるそうだ。

     1899年(明治32年)初秋に阿蘇山を登った体験は、のち、「二百十日」という小説に活かされている。漱石は友人と一緒に中岳の3合目近くまで登ったそうだが、二百十日の風雨で道に迷い、火口をのぞくことはできなかったとか。

     掲出歌では、その火口から立ちのぼる赤と黒のけむりが、まるで「柱」のように見えた、と独特な表現をしている。「柱」は、神を数えるときに使う言葉でもあり、まっすぐに立ちのぼる赤と黒のけむりが、神々しく見えたのだろう。

     表紙をはじめ、学生たちが描いたイラストが現代的で、あざやか。ふりがなも豊富で、親しみやすい入門書である。
    (2021年9月12日掲載)

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著者プロフィール

1959 年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。博士(文学)。フェリス女学院大学文学部日本語日本文学科教授。専攻は和歌文学。
著書に『和歌文学の基礎知識』(角川選書 KADOKAWA)、『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 百人一首(全)』(角川ソフィア文庫 KADOKAWA)など。

「2021年 『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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