痴漢とはなにか 被害と冤罪をめぐる社会学

著者 :
  • エトセトラブックス
4.00
  • (6)
  • (5)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 208
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909910011

作品紹介・あらすじ

なぜ日本では「痴漢」という性犯罪が、こんなにも日常化しているのか? そして、「被害」の対で語られるべき「加害」ではなく、なぜ今「冤罪」ばかりが語られるのか? 戦後から現在までの雑誌や新聞記事を分析し、これまで痴漢がどう捉えられ、社会の意識がどうつくられてきたか読み解く、これまでなかった画期的な「痴漢」研究書。前提を共有し、これから解決策を考えていくために必読の一冊。

(主なトピック)
痴漢事件はどれくらい起こっているのか/夏は痴漢が増える、という思い込み/痴漢被害者に求められる「羞恥心」とは?/「痴漢は犯罪です」――は本当か?/女性専用車両は誰のために生まれたか/痴漢が娯楽になっていく過程/痴漢ブームは終わらない/たかが痴漢、されど痴漢冤罪の矛盾/痴漢=性依存というアプローチが注目される理由…etc.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 令和の時代、ジェンダーについての認識をアップデート! 今読むべき「入門書」〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/aera/2021022600029.html?page=1

    痴漢とはなにか | book | エトセトラブックス / フェミニズムにかかわる様々な本を届ける出版社
    https://etcbooks.co.jp/book/chikan/

  • 痴漢をめぐる法制度や、メディアで痴漢がどう語られてきたかを解説し、社会の痴漢への意識の変遷について分析した本。引用される過去の週刊誌や新聞、作家たちの文章がどれもひどく、本来は被害者がいる悪質な性加害であるはずなのに、それがあまりに軽んじられていたんだなと思う。けど、たしかに自分が昔読んでいた雑誌とかにも、こういうトーンの記事ってあったよな……。そのときは、あまり自分も問題だと思っていなかったはずで、本著を読むと非常に申し訳ない気持ちになる。しかし、著者はこれを書くために、どれほどこの手の資料を読み込んだんだろうと考えると、それだけでクラクラくるし、使命感に胸を打たれるな。
    法制度の変遷や痴漢冤罪に関する考察は、さすが元警察官といったところか。個人的には非常に興味深かった。しかし、これ、なんで痴漢を刑法でしっかり取り締まるようにしないんだろうか。日本の性犯罪についての規定って、どれもバランスが悪い。
    今後、痴漢や性被害について考えるとき、この本が前提となるんだと思う。全国民必読なのではないか。

  • とてもいい本でした。著者の熱意が伝わってくる。痴漢行為の動機が猥褻ではなく、女性蔑視だったことに気付かされた。

  • 被害者不在で仕組みが決められていて、男性側の世論は論理破綻した出版社らによってつくられている。
    痴漢、という観点から見た研究ではあるけれど、別の物事を捉えても似たような構造が現れてくるのかもしれない。

  • 『痴漢とはなにか――被害と冤罪をめぐる社会学』
    著者:牧野 雅子
    定価:2400円+税
    判型:四六判 並製
    頁数:256
    装幀:福岡 南央子(wooolen)
    発売:2019年11月7日
    ISBN: 978-4-909910-01-1

     なぜ日本では「痴漢」という性犯罪が、こんなにも日常化しているのか? そして、「被害」の対で語られるべき「加害」ではなく、なぜ今「冤罪」ばかりが語られるのか? 戦後から現在までの雑誌や新聞記事を分析し、これまで痴漢がどう捉えられ、社会の意識がどうつくられてきたかを読みといていく、これまでなかった「痴漢」研究の書。前提を共有し、解決策を考えていくために必読の一冊。
    https://etcbooks.co.jp/book/chikan/


    【構成】
    痴漢事件はどれくらい起こっているのか/夏は痴漢が増える、という思い込み/痴漢被害者に求められる「羞恥心」とは?/「痴漢は犯罪です」――は本当か?/女性専用車両は誰のために生まれたか/痴漢が娯楽になっていく過程/痴漢ブームは終わらない/たかが痴漢、されど痴漢冤罪の矛盾/痴漢=性依存というアプローチが注目される理由…etc.

    【簡易目次】
    はじめに

    第1部 事件としての痴漢 
    痴漢事件はどのくらい起こっているのか
    痴漢事件はどう捜査される
    痴漢を取り締まる条例

    第2部 痴漢の社会史〜痴漢はどう語られてきたのか 
    戦後から1960年代まで〜電車内痴漢という被害
    1970年代〜悩まされる女性たち
    1980年代〜文化と娯楽としての痴漢
    1990年代〜痴漢ブームと取締り
    2000年以降〜痴漢冤罪問題と依存症

    第3部 痴漢冤罪と女性専用車両 
    痴漢冤罪ばかりが語られる理由
    女性専用車両をどう考えるか

  • ・夏(8月)に痴漢が多いのは誤解。

    ・駅事務室に行ったら必ず逮捕は誤解。
    ・痴漢の冤罪は、それほど多くない。
    ・痴漢の立件には、「怒り」ではなく「羞恥」の証明が必要。→準じて、幼女や年配の女性、男性は「被害者資格」がないとされる。
    ・痴漢当時の細かな状況や動機、家庭環境などあらゆることを供述する必要がある。
    ◯以上4点から総じて、痴漢の立件は被害者にとってハードルが高い。

    ・1950年代から、主に雑誌上で、痴漢が犯罪ではなく娯楽であるように語られてきた。しかも、男性だけではなく、女性もそれを楽しんでいるとする記事があった。
    ・1962年に制定された迷惑防止条例によって、痴漢が取り締まられるようになった。
    ・しかし、現在まで「痴漢の文化」は残っており、被害者は多くいる。

  • 女性学の本だったのね。

  • オリンピック組織委員会を巡り、女性蔑視の発言が「これまで黙らされてきた側からのレジスタント」として社会問題化し、マグマのように吹き出している。「女性が入っている理事会は時間がかかる」「わきまえない」、首相の息子の接待問題では「飲み会は断らない」など、およそ国家の中枢を担っている要人の発言とは聞いて呆れる。日本のジェンダーギャップ指数は、144カ国中121位と年々さがり続けている査証であろう。
    本書の出版社となるエトセトラブックスは、編集者である松尾亜紀子さんが前職の河出書房新社で編集を手がけたジェンダーやフェミニズムにまつわる本を多く手がけた経験を元に、2018年に独立して立ち上げたジェンダーの専門書店となる。
    なぜ性犯罪がカルチャーとなり、冤罪ばかりが語られるのか。男尊女卑、ミソジニー(女性蔑視)により歪んだ理解で、「痴漢」という性犯罪について、歴史的経過や社会学について、膨大な参考資料を元に検証する。「事件としての痴漢」の項では、警察の取り調べや司法調書の取り方などから、「痴漢」に関わる司法と警察の問題を検証する。「痴漢の社会史」では、明治末期より男性の女性による「電車内での悪戯をされるのは既に日常茶飯事であった」などの記録を掘り起こし、年代ごとに「痴漢」を煽るマスコミや芸能関係者の問題、そして痴漢「冤罪」の問題へとすり替える論調を鋭く指摘する。「痴漢冤罪と女性専用列車」の項では、「冤罪」ばかりが問題となり、性被害の本質をそらす論調に警鐘を鳴らす。
    満員電車では男女を問わず被害者となり得る事を踏まえ、周囲の同乗者が辛い思いをしていないか、性犯罪を許さず被害者を生まない我々への鋭い問題提起ではないか。

  • 東2法経図・6F開架:368.6A/Ma35c//K

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1967年、富山県生まれ。龍谷大学犯罪学研究センター博士研究員。警察官として勤めたのち、 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。 専門は、社会学、ジェンダー研究。 著書に、『刑事司法とジェンダー』(インパクト出版会)、 『生と死のケアを考える』(共著、法蔵館)がある。

「2019年 『痴漢とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

牧野雅子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
山崎 聡一郎
レベッカ ソルニ...
グレイソン・ペリ...
山内 マリコ
レティシア コロ...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×