年代別にニュースや週刊誌のインタビュー記事などの媒体をもとに「痴漢」はどのように捉えられているのかを読み解いて、日本社会でどのように認識されているのかがまとめられている本。
1980,90年代は痴漢=娯楽という風に捉えられていて、欲望を抑えられない男たちという風に話されていて、あまり悪いことという認識は薄い。(中には今だったら炎上しそうな発言をしている著名人もいたり)
そして2000年代に入ってくるとそれが少しずつ変わり、痴漢として捕まると逮捕されてしまう、など男性は脅かされる。そして冤罪などのニュースが大きく取り上げられ、「それでもボクはやっていない」という痴漢の冤罪で巻き込まれてしまう男性についての映画が話題となる。その映画の本来の目的は日本の裁判についてフォーカスしているものの「冤罪」という部分が世の中にはフィーチャーされてしまう。
そして2005年ごろから少しずつ増えた女性専用車両について、最初は女性が股を開いて淫らになっている、などと取り上げられていくが徐々に男性差別だ!と訴える人が出てくる。
この本を通して感じたのは、マジョリティの男性は何か損になること、脅かされること、怯える対象が出てきた時にすぐに揚げ足を取る。
個人的には最後の方の女性専用車両のことが身近で面白かった。
作者自身は警察官の経験があり、1年目の頃に痴漢を捕まえた話が入ったとあとがきがとても印象に残った。