別の人

  • エトセトラブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909910103

作品紹介・あらすじ

受け入れがたい暴力にさらされたあとも、人生は続く。
そのとき記憶は人をどう変えるのか――。
ハンギョレ文学賞受賞、韓国フェミニズム作家の先頭を走るカン・ファギル初邦訳!

30代前半のジナは、恋人から受けたデートⅮⅤをネットで告発するが、かえって彼女のほうがひどい誹謗中傷にさらされてしまう。さらに傷ついたジナは、かつて暮らした街を訪ねることに……。デビューから一貫して女性を襲う理不尽と絶望を書き続けてきた作家が、韓国でも社会問題化している性暴力被害を題材に、暴力が生まれる構造を正面から描く。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国文学ブーム引っ張る「女性作家たち」の凄み | 「韓国フェミニズム」知られざるその後 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
    https://toyokeizai.net/articles/-/513653?page=4

    他の誰でもない「私」自身の人生を歩むために。カン・ファギル『別の人』 - 此岸の彼女
    https://tant-6v6.hatenablog.com/entry/2021/07/19/154027

    【感想】絶対に読んでほしい、勇気に関する物語 ―カン・ファギル『別の人』― - ごんブロ
    https://gonzarezmm.hatenablog.com/entry/2021/10/25/211239

    別の人 | book | エトセトラブックス / フェミニズムにかかわる様々な本を届ける出版社
    https://etcbooks.co.jp/book/betsuohito/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      カン・ファギル『別の人』より小山内園子「訳者解説」を公開します | book | エトセトラブックス / フェミニズムにかかわる様々な本を届...
      カン・ファギル『別の人』より小山内園子「訳者解説」を公開します | book | エトセトラブックス / フェミニズムにかかわる様々な本を届ける出版社
      https://etcbooks.co.jp/news_magazine/betsunohito/
      2022/04/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【第6回】コンシェルジュ河出の世界文学よこんにちは『別の人』カン・ファギル/エトセトラブックス | 蔦屋通信 | 梅田 蔦屋書店 | 蔦屋書...
      【第6回】コンシェルジュ河出の世界文学よこんにちは『別の人』カン・ファギル/エトセトラブックス | 蔦屋通信 | 梅田 蔦屋書店 | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
      https://store.tsite.jp/umeda/blog/shop/19317-1135060325.html
      2022/05/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <Chaeg 월간 책 인터뷰> 외면하지 않는 목소리, 소설가 강화길 : 네이버 포스트
      https://post.naver.co...
      <Chaeg 월간 책 인터뷰> 외면하지 않는 목소리, 소설가 강화길 : 네이버 포스트
      https://post.naver.com/viewer/postView.naver?volumeNo=10235467
      2022/05/18
  • 書かれている内容すべてが他人事ではなく、分かりすぎて辛い小説。言葉にならない声を代弁してくれている部分も多い。
    自分の人生にとって大した存在ではなかった、と思っていた相手にこそ実は致命傷を負わされていた、という部分が、鋭く描かれていた。
    被害者が、自分の持っていた少しのずるさによって、加害者の圧倒的暴力を非難できなくなる心理的構造も。
    バッグをねだったことで、何度も殴られたことを堂々と非難できなくなる…
    しかしレイプ被害者の自己批判には終わりがない。抵抗を示さなかった、誤解させる仕草をした、油断していた…
    いくらでも言える。そしてそのことでレイプという卑劣な行為に、言い訳の余地を与えてしまう。
    間違いなくアンフェアなことなのに、現実には多くの被害者がこのカラクリに苦しんでいる。負わされた傷を自分のミスだとして自分を恥じ、責め続ける。
    どうしてこんなに苦しまなければならないのだろう。そしてその苦しみさえ無いことのように振る舞わなければならないのか。
    さらには、その苦しみを知らずに生きられる他人に対しての憎しみさえ生まれる。
    被害者は皆一人ぼっちで苦しい。
    別の被害者の助けになることが、唯一の慰めであるかもしれない。

  • ジェーン・エア マルバニー一家
    女同士だからといって簡単に連帯できない難しさ
    ジンソプにされたのと同じようにスジンを殴ってしまい、自分はもともとこんな人間じゃないと思うジナ
    ガンヒョンの女子学生への冷淡さ
    ああそうか、유리ってガラスなんだな…
    『心は孤独な狩人』
    『エロスとプシュケ』

  • 重苦しい物語だった。
    「同意なき性行為」をテーマにしたフェミニズム小説。

    レイプは見ず知らずの者のみならず、恋人や配偶者さえも主体となりうる。性暴力被害を声に出して訴えることは、今の社会でもまだまだ高いハードルと言える。解説にもあるように、被害を訴えることが政治的と見做され、声をあげる者は「運動家」にさせられてしまう。

    この作品を読むと、韓国の女性の家庭的、社会的地位は日本よりもさらに低いような気がする。それは、儒教の教えに強く影響を受けた教育によるものか。
    作品に登場する、女であることを否定され男の名前をつけられた准教授の屈折した女性嫌悪や、「男なのに台所に立つんだ」と言われた上司の怒りなど描かれたエピソードに読み取れる。

    韓国は早くから女性の暴力被害への法整備を整えてきたという。だけど、法律だけではやっぱり難しく、男も女も粗末に扱っていい人や欲望をぶつけていい人はいないこと、性別に関係なく、誰もが人として尊重される教育をまず家庭から進めることが性被害を減らしていく大事な一歩ではないかとしみじみ思った。
    それは日本も同じことですが。

  • 自分から見た自分と他人からみた自分は別の人。嫌な自分を捨てようと別の人になろうとするのではなく、自分にも他人にも向き合っていこうと思った。向き合えば他人は分からないが少なくとも自分自身の掛け違えたボタンをまたかけ直せると教えてくれた一冊。

  • 酷いことをしている男は、案外こんなにも無自覚であまつさえ自分を女性にとって優しいと考えているのかもしれないと思うとゾッとした。

    ミソジニーの問題についても考えさせられた。
    程度の深浅はあれど、同じ問題を抱えている女性が3人出てくるが、なかなか友達にはなれない。

    性暴力は、まったく知らない人からでのレイプではなく、顔見知りや交際相手との間でも起きうる。そういう当たり前のことに考えが及んでいない男性(いや女性もか)はたくさんいる。

    読んでいて苦しくなったが、読んでよかった本。

  • 想像していた方向とは違う方向へ着地。男性と女性がみている世界が全く違うことを考えさせられる。あの頃は嫌だと言えなかった、逃げるので精一杯だったけど、今は嫌だということができる世の中になっているのは救いなんだと思う。

  • 最高。舞台がSNSな部分もあるので匿名な無邪気な加害に触れやすい。いつも思うけれど韓国すごいや、文化が蔑ろにされていない。訳が『私たちにはことばが必要だ』の方ですよ。

  • 重くて辛いけれど読む価値のある本 読むべき本

  • 題材が重いけど、大切なことを知れた一冊。
    性行為に対しての男の人の認識の違いに改めて驚いてしまった…。
    何かあっても自分と他者の現実を受け止めて、ボタンの掛け違いをほどけるような人になりたいと思った。(いやこれが中々難しい…)
    チュンジャ婆の、「人は自分がやったことに対してよく覚えているから、やってもらった対価は払わないといけなくなる」だからこそ自分の生きたいように生きる大切さは印象的だった…

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著者プロフィール

1986年生まれ。 2012年に京郷新聞新春文藝に短編小説「部屋」が当選する。短編集に『大丈夫な人』『ホワイト・ホース』、長編小説に『別の人』などがある。

「2021年 『私のおばあちゃんへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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