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本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784909979124
作品紹介・あらすじ
元国税調査官が読み解く「日本国の決算書」!
大化の改新、鎌倉幕府の誕生、応仁の乱、戦国時代の終焉、
明治維新、太平洋戦争、高度成長時代、失われた30年……
帳簿から見えてきた、「あの大事件」の真相。
なぜ、織田信長は戦場で「領収書」を発行したのか?
ビジネスマンの頭にスッと入る、まったく新しい「歴史教科書」が登場!
感想・レビュー・書評
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会計と日本史というテーマは珍しい。国を統治するには会計や財務に基づく決まりごとが必要だったと感じる。財源がないと戦争も出来ず長続きしない。
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読了しました。
■なぜ手に取ったのか
私は会計好きなので、本屋で会計コーナーを物色・立ち読みしていたら面白そうだったので手にした本です。
■何が語られていたのか
著名のとおり、日本史を会計視点でが語られていました。
というゆより、人のはお金で動くことが多いので、会計=お金の動きになるので、歴史的な出来事がなぜ起こっているのかといった背景が描かれており、とても歴史を理解するのに腹落ち感があります。
教科書みたいに、次から次に「点」で出来事が起こるのではなく、「線」流れの中の物語=歴史がかたられるので、とてもスマートに理解できます。
それも、会計という概念が生まれる前の、大和朝廷、大化の改新、戦国時代、織田信長、徳川家康、明治維新からバブル経済までホントに「日本史」を描き出しています。
最期の章は、平成の失われた30年を扱っており、ライブドア事件、労働者派遣、村上ファンドなど、少し著者の考え方が強く入ったものが含まれています。
■何を学んだのか
日本は土地がとても狭い、そして資源が少ない。そんな中で、新たな価値を好感するために貨幣が必要であり、世界でもあまり例のない、貨幣経済が庶民まで拡大した、稀な経済的な歴史であることを、この会計を通した歴史で学ぶ上でよくわかりました。
日本人の文化形成や、考え方の源泉の一端が語られていると感じました。
また、どの時代も、会計を通した経済をどう支配しコントロールすることに努力を惜しみ、苦慮するしてきた。一定のコントロールをすることが、軍事、政治、権力の源泉を生み出してきていることが良くわかる。
また、お金の流れを掴むと、人の行動が見えてくることは、私自身、分かっている
つもりだったが、それが大和朝廷までも語られる考えであることには驚きでしかない。
■どう活かすのか
「お金の流れの裏に人の動きあり」という私の考え方は、古い歴史、日本を学ぶのにも有用であることが良くわかり、歴史を理解する主要になることが分かったので、歴史理解の切り口として会計視点で理解していけば、スマートに腹落ちして理解できることを教えてくれる本でした。
■どんな人にお勧めなのか
会計を仕事んいしている人、会計が好きな人、日本の歴史月、戦国武将好きにお勧めの本です。 -
歴史の授業を学んだとき、なぜそうなったんだろう?わからないけど、まぁ、そういうことになったんだな、と結果(史実)のみ覚えていたけど、なるほど、こういう背景事情があったんだな、と腹落ち。非常によく描かれた本でした。
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その治世なりに優れた金勘定あればこそ。武勲を挙げることも重要だが治世を保つには会計の才が欠かせない。収入と支出のバランスを取り無駄を省き必要なところに適切に資金を配分する。それが国家であれ家庭であれ繁栄の土台となる。乱世に英雄を求める一方で平時には会計の巧者が必要とされる。数字の背後にある知恵と責任が未来を支える力となるのだなあ。
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読みやすかったのでまた読み返してみたいと思った。各時代の話が続くので少し内容が薄く感じたので、その分ひとつ星を減らした。
中身としては時代ごとに栄えた(あるいは滅びた)集団の原因を会計や財政的な観点から解説したものだった。
実力(武力、技術力)などがあっても会計的に優れていなければ、また数字から考える能力やそこから判断する価値観がないと集団や社会は破綻してしまうということが実感できた。
第7,8章だけでも読む価値があると思う。 -
著者は元国税調査官だったという。
それぞれの日本の歴史の中で、会計の果たした役割について述べている。
確かにこういう発想は大事だ。歴史の教科書ではこういうことは教えていない。
しかし、何をどう考えても重要な考え方のような気がする。
戦国時代は当然に戦乱の世の中だった訳であるが、戦争には莫大な金がかかる。
それは誰が負担をしていたのだろうか。
どういう仕組みで経済が回っていたのだろうか。
そういう風に歴史を見たことがなかった。(これは盲点だ)
貨幣という仕組みがあろうとなかろうと、食べていくためには誰かが食べ物を作らなくてはいけない。
それは当然に農民であるが、それでは食べ物を作らない者たちは、どうすればよいのか。
農民から食べ物を徴収しなければいけない訳だ。
その食べ物があるから、戦争が出来る訳である。
食べることにさえ飢えていたら、戦争どころではないのである。
そういう意味で、食べ物をどう確保するのか。
その食べ物をきちんと保管し、効率的に利用するためにはどうすればよいか。
何をどう考えても、貨幣や会計の仕組みがないと、それらの実現は無理だろう。
だから必ず大和朝廷の運営にしても、戦国時代の戦にしても、明治維新にしても、太平洋戦争にしても、絶対にお金が必要だったのだ。
お金である以上、それらを管理運営する高度な会計の知識が必要だ。
それは現代の資本主義だから必要という話ではない。
古代、近代から、さらに小さなコミュニティ内のレベルでも、絶対に必要なものなのだ。
昔から、基本的に国の役人は世襲制のはずだが、会計トップ(勘定奉行や大蔵省など)だけは実力主義だったというのも面白い。
西郷隆盛も下級武士からのし上がったが、それも会計役で認められての出世だったという。
実は織田信長も相当な計算力の高い人物だったという。
太閤検地で秀吉が有名であるが、元々税を得るために土地測量をしたのは信長だった。
会計や計算については、様々な逸話がある。
そもそも計算できぬ者が、トップに立てる訳がない。
「ずる賢い」を「計算高い」という表現を用いるのも、これらの名残りではないだろうか。
本書最終章の平成30年間の会計内容についての考察は、読むだけでも感慨深い。
人は今のところ、お金からは逃れられない。
それが社会全体のルールだからだ。
これから我々はどうやって生きていくのか。
やはり、とにかく考えて想像することが大切なのだろうと思う。
(2021/7/26) -
戦争するには金がかかる。漠然と思い浮かべるだけでなく、いくら必要か、どうやって金を引っ張ってこれるかまで考えて行動した人がこの本の中で紹介されている。明治維新以後の税の歴史は知らなかったので面白かった。源泉徴収なんてない時代。どうやって徴税してたのか。税を払うことで地位と名誉を得たと考えるとわかるが、ものすごい富の格差が明白になり、貧しい者の反感を買い世の中が不安定になっていったんだなと理解した。それにつけ込んで民衆を扇動し、戦争へと…
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有名な歴史のトピックの裏側には実はお金の問題があった、という裏ネタ歴史紹介の本。加藤清正は武官のイメージが強いが賤ヶ岳の後から朝鮮出兵までは文官だったとか、満州事変は中国が満鉄の並行路線を引き、満鉄の売上が下がったことに対する報復措置だったとか。古代から現代ライブドア事件までたくさんのトピックをサクッと紹介しているので気分を変えながら楽しめる。
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日本の会計史をざっくり理解するのに好適。会計と税と土地が密接な関係だったのがよく分かった。
意外感があったのは、“戦国武将”のイメージがある、三成と清正は豊臣家の会計官だったこと(とくに清正)。よく考えれば、戦争も武器やら食糧やらで、財源ないとできない。
信長は枡(ます)や単位を統一、秀吉は太閤検地を実施、家康は金、銀、銅の3通貨システムの構築と、よく比較される3人は、武将としてだけではなく、行政官としても優秀だったようだ。
もう一つ驚いたのは近江商人。明治以前の会計といえば、「大福帳」のイメージだが、江戸時代には複式簿記的な会計システムを持っていたとか。
元国税調査官の著者だけに税関係の記述も 厚い。戦前の徴税システムやら、終戦直後の財産税やら、国家が成熟する前の仕組みは今から見ると驚きばかりだが、「とれるところから取りやすい方法で」という意味では合理的だったのかも。
コクドの話など、最近の話は少し覚えがあることも。そうえば、最終的な利益は違わないのに、ライブドアの粉飾は大騒ぎになるのか不思議に思っていたことを思い出した。
著者プロフィール
大村大次郎の作品





