中国vs.世界最終戦争論 そして、ポスト・コロナ世界の「復興」が始まる
- 清談社Publico (2021年10月25日発売)


- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909979223
作品紹介・あらすじ
新型コロナウイルスの発生と「マスク外交」、「一帯一路」戦略、
香港を破壊し台湾を脅かす「新中華思想」の危険性……
なぜ、世界は「習近平」を絶対に許さないのか?
……日本が翻弄されない「たったひとつの方法」とは?
史上最悪のファシズム国家中国とのこの戦いの結果によって、
われわれの自由世界は生きるか死ぬかの岐路に立たされるであろう。
自由世界はどうして中国との最後の戦いに挑まなければならないのか、
この戦う相手の中国はいったいどういう国なのか、
われわれは今後この中国とどのように戦うべきなのか、
己を知り彼を知ること、戦いの戦略や方策を考え抜くこと。
それは勝利の前提条件である。(「はじめに」より)
これが、われわれの想像を超えた習近平包囲網の「リアルな姿」だ!
●「中国共産党成立100周年演説」に込められた意味
●トランプの「貿易カード」とバイデンの「人権カード」
●日本に仕掛けられた中国の「世論工作」
●習近平は「毛沢東」にはなれない
●学校の必修カリキュラムとなった「習近平思想」
●「共産党王朝」終焉の予兆
●習近平は必ず台湾を獲りにくる
●バイデンの「防衛義務」発言の真意
●欧米の対中姿勢がはらむ矛盾
●本当は縮小傾向にある中国経済
●野望のためならタリバンとも手を結ぶ習近平
●ミャンマーのクーデターでも暗躍した中国
●習近平の首根っこをつかんでいるアメリカ
●もはや中国は「戦時体制」に入っている ほか
感想・レビュー・書評
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石平(1962年~)氏は、中国成都市出身、北京大学哲学科卒、1988年に日本に留学した後、移住、2007年に帰化した評論家。「正論」、「Voice」、「WiLL」等の保守系論壇誌に寄稿し、日中関係・中国問題などを論じるほか、民放TVの中国関連ニュース・討論番組にも出演している。
著者は、上記の通り、中国で中国人として生まれているが、政治思想上の立ち位置は(日本から見た場合)保守強硬派であり、そのような評論家が、今の中国をどう見ているのかに興味があり、本書を手に取った。
本書を読む前は、中国は今後更に強大化し、早晩世界の覇権を握るというような、脅威を煽る主張を予想していたのだが、本書のトーンはやや異なり、現在の中国は、対外的にも対内的にもかなり追い詰められているとする。(だからと言って、中国が野望を捨てるというわけではないのだが。。。)
私が気になった部分は以下である。
◆本年7月の中国共産党成立100周年演説の「中華民族の偉大なる復興」が指すものは「中華帝国主義」であり、その帝国の皇帝を自認するのが習近平である。習近平は、鄧小平が取り入れた集団指導体制、トップの終身制の廃止という2つのルールを破棄し、「習近平思想」を党規約に盛り込むなど、個人独裁体制を敷きつつあるが、毛沢東と異なりカリスマ性に欠け、個人の求心力は弱い。
◆バイデン政権は、大方の予想に反し、前トランプ政権以上の対中強硬路線を鮮明にし、また、この1年間で、クアッドとAUKUSの創設、英仏独軍を含む南シナ海での共同演習、米英加・EUによるジェノサイド非難と制裁決議、G7での「台湾海峡の安定」を明記した共同宣言など、人権・安全保障両面からの対中包囲網が格段に強まっており、中国は悲鳴を上げている。
◆台湾については、習近平は就任当初「一国二制度」による平和的統一を目指したが、それが不可能となった今、武力での統一を図るだろう。目的は、その成果により毛沢東と並ぶことと、台湾の持つ高いハイテク力を手に入れること。ターゲットは3期目の終わる2027年まで。
◆中国と自由主義陣営は、東西冷戦と異なり、様々な対立の一方で経済的に強い結びつきがある。しかし、近年の中国経済は、若年人口の減少により個人消費が不足し、それを補ってきた輸出と投資にも限界が見えてきた。中国の政府・国営企業・民間企業・個人の負債の総額はGDPの5倍まで膨らんでいる。不動産バブルは空前の規模に達しており、早晩はじける。
◆最近の中国は、タリバンやミャンマー軍事政権との接近や、「共同富裕」による民間企業の締め付け、学習塾禁止令、芸能・オンラインゲームへの規制など、「戦争体制」に入ったと言わざるを得ないような動きすらある。
国際情勢について考えるためには、様々な立場からの分析・意見を知る必要があるが、保守強硬派という著者のスタンスを踏まえて、目を通す意味はあろう。
(2021年11月了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装幀や題名は大げさだが、内容は著者が日頃から主張している通りのもので、すんなり理解できる。
その生い立ちや経験から著者の中国に対する論評は悲観的、否定的な断定がきつい感もあるが、その根幹、本質は的を射ていて納得できる。
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