中国 vs. 世界 最終戦争論 そして、ポスト・コロナ世界の「復興」が始まる
- 清談社Publico (2021年10月24日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909979223
作品紹介・あらすじ
新型コロナウイルスの発生と「マスク外交」、「一帯一路」戦略、
香港を破壊し台湾を脅かす「新中華思想」の危険性……
なぜ、世界は「習近平」を絶対に許さないのか?
……日本が翻弄されない「たったひとつの方法」とは?
これが、われわれの想像を超えた習近平包囲網の「リアルな姿」だ!
●世界は本気で習近平=中共倒しに向かっている
●新型コロナ対応で露見した習近平体制の欺瞞と限界
●着々と進んでいた習近平の世界支配、日本に伸びる魔の手
●「中国が世界をリードする」論の嘘、本当は自滅寸前の中国経済
●座視は許されぬ中共の人権問題
感想・レビュー・書評
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石平(1962年~)氏は、中国成都市出身、北京大学哲学科卒、1988年に日本に留学した後、移住、2007年に帰化した評論家。「正論」、「Voice」、「WiLL」等の保守系論壇誌に寄稿し、日中関係・中国問題などを論じるほか、民放TVの中国関連ニュース・討論番組にも出演している。
著者は、上記の通り、中国で中国人として生まれているが、政治思想上の立ち位置は(日本から見た場合)保守強硬派であり、そのような評論家が、今の中国をどう見ているのかに興味があり、本書を手に取った。
本書を読む前は、中国は今後更に強大化し、早晩世界の覇権を握るというような、脅威を煽る主張を予想していたのだが、本書のトーンはやや異なり、現在の中国は、対外的にも対内的にもかなり追い詰められているとする。(だからと言って、中国が野望を捨てるというわけではないのだが。。。)
私が気になった部分は以下である。
◆本年7月の中国共産党成立100周年演説の「中華民族の偉大なる復興」が指すものは「中華帝国主義」であり、その帝国の皇帝を自認するのが習近平である。習近平は、鄧小平が取り入れた集団指導体制、トップの終身制の廃止という2つのルールを破棄し、「習近平思想」を党規約に盛り込むなど、個人独裁体制を敷きつつあるが、毛沢東と異なりカリスマ性に欠け、個人の求心力は弱い。
◆バイデン政権は、大方の予想に反し、前トランプ政権以上の対中強硬路線を鮮明にし、また、この1年間で、クアッドとAUKUSの創設、英仏独軍を含む南シナ海での共同演習、米英加・EUによるジェノサイド非難と制裁決議、G7での「台湾海峡の安定」を明記した共同宣言など、人権・安全保障両面からの対中包囲網が格段に強まっており、中国は悲鳴を上げている。
◆台湾については、習近平は就任当初「一国二制度」による平和的統一を目指したが、それが不可能となった今、武力での統一を図るだろう。目的は、その成果により毛沢東と並ぶことと、台湾の持つ高いハイテク力を手に入れること。ターゲットは3期目の終わる2027年まで。
◆中国と自由主義陣営は、東西冷戦と異なり、様々な対立の一方で経済的に強い結びつきがある。しかし、近年の中国経済は、若年人口の減少により個人消費が不足し、それを補ってきた輸出と投資にも限界が見えてきた。中国の政府・国営企業・民間企業・個人の負債の総額はGDPの5倍まで膨らんでいる。不動産バブルは空前の規模に達しており、早晩はじける。
◆最近の中国は、タリバンやミャンマー軍事政権との接近や、「共同富裕」による民間企業の締め付け、学習塾禁止令、芸能・オンラインゲームへの規制など、「戦争体制」に入ったと言わざるを得ないような動きすらある。
国際情勢について考えるためには、様々な立場からの分析・意見を知る必要があるが、保守強硬派という著者のスタンスを踏まえて、目を通す意味はあろう。
(2021年11月了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装幀や題名は大げさだが、内容は著者が日頃から主張している通りのもので、すんなり理解できる。
その生い立ちや経験から著者の中国に対する論評は悲観的、否定的な断定がきつい感もあるが、その根幹、本質は的を射ていて納得できる。
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