政治活動入門

著者 :
  • 百万年書房
4.20
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本棚登録 : 95
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910053219

作品紹介・あらすじ

そうだ、世の中のせいにしよう。

感想・レビュー・書評

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  • ファシズムをどこかで嫌厭していたが、真面目に学んでみようと思うきっかけになった。
    政治運動の歴史が概観できて、それはそれで面白い。
    最後の付録も著者の活動の様子、手法、考え方が記されていて面白い。

  • 《とくに重要なのは、政治運動は善意よりもむしろ悪意でやるものだということです。》(p.222)

    《最初から「自分なりに考えてみる」よりも、まずは自分に近い立場でものを書いていそうな他の誰かの文章を読み、それに対して別の誰かが書いた批判の文章を読み、またそれに対する反論の文章を読み……という勉強をする方が、ずっと良いのです。その過程で、自分の中に、互いに矛盾する、しかもどちらもそれなりに筋が通っていると思える複数の立場が同居するような状態になるでしょう。実は、そうなった時に初めて、本当に「自分なりに考えてみる」ことが可能になるのです。》(p.11)

    《学問や芸術というのは本来、政治活動をやらずに「あえて」選択する道なのです。現在、学問や芸術の道に進もうという人たちにはこの「あえて」性が欠片もありません。「あえて」性のない学問や芸術に、存在意味はありません。》(p.19)

    《“68年”を経た70年代以降、“あらゆる問題を統括して一手に引き受ける前衛党”を中心に持たない、さまざまの“個別課題”を独自に追求する大小無数の団体や個人が何となくグラデーションをなして連帯しているような、していないような、“曖昧な全体”がそれ自体として革命運動の現在である、というふうな認識が世界的な“常識”となります。》(p.117-118)

    《“68年”以後は、個別課題の解決を散文的に追求する「小さな物語」がそれぞれに紡がれ、革命はただその総体として何となくある、あるいは“総体”などという発想をすること自体がナンセンスであると見なされるのです。》(p.118)

    《現に自分たちが集結し、団結し、一つの運動を共に担っているということ自体に第一の価値を見出す思想がファシズムなのです。》(p.169)

  • 政治活動入門
    というよりは、政治活動史入門のように感じます。
    政治活動入門的な議論が読みたい方は、『社会をちょっと変えてみた』(駒崎弘樹ら)の方がいいかもしれません

  • 冒頭は意外に普通で拍子抜けだったが中盤から面白くなる。この人の語る歴史はやはり無類に楽しい。ファシストを名乗る理由が明確にあったとは知らなかった。

  • 【身近に様々ある政治的な問題を改善する第一歩を踏み出すために】

    ファシズムの話はさすがでした。

  • ファシズム入門の章が最も勉強になった。ファシズム=悪と叩き込まれて来たが、ファシズムとナチズムは別物ということがよく分かっていなかったし、そもそもナチズムはナショナルソーシャリズムの略であることさえも知らなかった。社会主義て。
    第二次世界大戦はアメリカニズムと共産主義とファシズムが戦ってファシズムが負け、冷戦でアメリカニズムと共産主義が戦って共産主義が負けた、というイデオロギーの戦いだったことが、知っていたものの漸く腑に落ちた気がする。
    そして戦前の日本はファシズムではなかったことも良く分かった。ナショナリズムであり、ムッソリーニのイタリアとは全然違うじゃんと思った。
    序でに、今までアナキズムが何なのか全然ピンと来ていなかったが、全く勝ち目がなさそうだということは分かった。「いかなる体制も打倒する」「永遠の反体制」って、確かにカッコいいけどね。そりゃ10代の心を掴むわ。

  • 大変おもしろく読んだ。
    1914年のいわゆる第一次大戦開戦から、1989年の冷戦終結までの75年間を、一連の「世界大戦」と捉え、前半を「熱戦」、後半を「冷戦」と呼ぶのだが、その境目はどこに置くのか。
    日本の常識では1945年の敗戦だが、実はこの後も熱戦は続いており、「日本は単にドイツ・チームからアメリカ・チームに移籍して、こっそり戦争を続けていた」という。50〜53年の朝鮮戦争は、いわゆる第二次大戦の連続であって、1956年のフルシチョフによるスターリン批判と平和共存が大きな区切りで、ここから冷戦だという。
    1789年のフランス各区名から世界大戦勃発の1914年までを「長い19世紀」、1914年から1989年までの「世界大戦」期を、いかにも20世紀らしい時代という意味で「短い20世紀」と呼ぶ。そして、反テロ戦争の端緒となった湾岸危機の1990年から、反テロ戦争=世界内戦の時代、いかにも21世紀らしい時代が始まったという。
    現代は、反テロ戦争の戦時下にあるという。細かく区分するなら「第4次世界大戦」、大きく分けるなら「世界大戦」後の「世界内戦」の戦時下である。
    大風呂敷の20世紀世界史と、超ドメスティックな学生運動史、戦後日本史を行き来しながら展開する議論は小気味よい。
    付記の実践マニュアルも意地悪でいい。
    読めば読むほど、著者は真面目で誠実な良い人に見えてきてしまうのは、そのスタイルとして良いのかどうか。

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著者プロフィール

1970年生まれ。福岡を拠点とする革命家。80年代後半に「反管理教育」の活動家となるも、いわゆるポリコレの風潮に反発し、孤立無援の〝異端的極左活動家〟として90年代を過ごす。思想的にはマルクス主義、アナキズムを経て、03年に獄中でファシズム転向。07年の東京都知事選に出馬し、過激な政見放送で一躍注目を浴びる。近年は〝右でも左でもないただの過激派〟として独自の活動を続けるかたわら、後進の育成や革命運動史の研究にも力を入れている。著書に『良いテロリストのための教科書』『全共闘以後』など。

「2021年 『政治活動入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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