- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910063027
作品紹介・あらすじ
カオスな新規事業の現場で必ず役立つ!
リクルート初代新規事業開発室長として1500の事業を支援し、自らも起業した著者が膨大な失敗と成功の末に掴んだ「超具体的方法論」
◎この本で学べるノウハウ
・「ふつうのサラリーマン」を社内起業家へと覚醒させるWILL(意志)の育み方
・新規事業開発における「チームの組み方(人数・役割)」の正解
・新規事業6つのステージ別「やるべきこと」「やってはいけないこと」
・初期に重要なのはビジネスモデルでも技術でもなく「顧客起点」
・優秀な人ほどやってしまう「間違った新規事業開発手法」とは
・顧客のところへ「300回」いけ
・「画期的なアイデア」が生まれるのを待つな
・サービスのリリース直後にマーケティングはするな
・最初、世間は驚くほどあなたの事業を拒絶する。だが気にするな
・社内会議で正論を語るのは事業家としての「甘え」
・重箱の隅をつつく社内会議には「数値の分解」で応じろ
・組織的に重要なのは「特区」でも「子会社化」でもなく、決裁権限を降ろすこと
◎目次
第1章 日本人に起業より「社内起業」が向いている理由
第2章 「社内起業家へ」と覚醒するWILL(意志)のつくり方
第3章 最初にして最大の課題「創業メンバーの選び方」
第4章 立ち上げ前に必ず知るべき新規事業「6つのステージ」
第5章 新規事業のつくり方(Entry期〜MVP期)
第6章 新規事業のつくり方(SEED期)
第7章 「社内会議という魔物」を攻略する
第8章 経営陣がするべきこと、してはいけないこと
最終章 「社内起業家」として生きることの意味
「事業を立ち上げる力」は、人生100年時代唯一のポータブルスキルだ。(本文より)
感想・レビュー・書評
-
『新規事業の実践論』麻生要一著
・リクルート式 ☆☆☆☆☆
・わかりやすさ ☆☆☆☆☆
・発展ステージ別やること ☆☆☆☆☆
【購読動機】
私の実務機会が少なく、またインプット少ない領域が「新規事業」です。新規事業を立ち上げるに加えて、立ち上がった新規事業の成長を支えるという視点で勉強したいと考え、購読しています。
――――――――
【著者のバックボーン】
新規事業が強い会社といえば・・・。「リクルート」を思い起こす方も多いのではないでしょうか?
著者はリクルートで新規事業を立ち上げ、そして成功および失敗を多く経験している方です。著者がリクルートに入社した時期は、借金を返済し終え、「攻め」に転換したときです。
――――――――
【新規事業の実践論;立ち上げ編】
どのようなネタで新規事業を立ち上げるのか?本書では、そのポイントを「WILL」と記述しています。具体的には下記の4つの項目を定めることです。
①だれの
②どんな困りごとを
③どのように解決するのか?
④なぜ、あなたが解決する必要があるのか?
です。
この4つの項目を整理したあとは「組織・チーム編成」です。この編成で考慮するポイントは「内製化」と「外注/委託」の切り分けです。
事業の立ち上げ当初は、「¥がない」「管理する時間もない」です。そのため、何を内製化するのか?の視点が重要です。内製化と外注・委託を切り分けるときの「ポイント」があります。それは、外注・委託できない範囲は何か?を決めることです。この範囲のみを「内製化」するがベターです。
「WILL」(ネタ)、「チーム」そして「内製化と委託範囲」が決まりました。さあ、いよいよ営業活動を開始できる段階です。新規事業の「ネタ」が市場で受け入れてもらえるか?の試しうちのステージです。
資料は、簡素なものでよいです。前述の「WILL」をペーパーにして意見、情報交換をすることから始めます。初期の営業活動で大切な目標とプロセスは以下のとおりです。
<目標>
1社目(ひとりめ)の契約(ファースト・カスタマー)を獲得すること。
<プロセス>
・商談では、持参した仮説に対する意見を受領すること。説得するのではない。
・次(2回目以降、または2社目、ふたりめ)の商談では、修正した仮説で臨むこと。
・可能性ありの商談では、商談の終わりに「約束」を宣言すること。「いつまでに**をやってきます。」
その結果、事業は確実に前進するため。
ところで、商談を獲得する(アポイント取得)するにはどうしたらいいでしょうか?一般的には3種類の方法があります。
①自らアポイントを獲得する。
②他者(紹介をしれくれそうな方)経由でアポイントを獲得する。
③外部プロフェッショナルサービス(ビザスク社など)を活用してアポイントを獲得する。
――――――――
【新規事業の実践論;営業活動/初期編】
前章の立ち上げ編で紹介したファースト・カスタマーは、ただ「契約」すればよいというわけではありません。事業拡大につながるファースト・カスタマーには「5つ」の条件が存在します。
<新規事業が発展するファースト・カスタマー。5つの条件とは?>
①縁故ではないこと
②値引きしないで正規な値段で購入してくれていること
③テストではなく本製品を購入してくれていること
④購入後、実際に利用してくれていること。
⑤購入後、良い・悪いという意見を返してくれること。
ファースト・カスタマーにこの5つの条件がそろって、はじめて業績拡大につながります。なぜならば、ファースト・カスタマーが次の契約先に対する「説得材料」(事例・エビデンス)となるからです。
――――――――
【新規事業の実践論;営業活動/拡大編】
事業を拡大するには、販売促進、営業活動に多くのお金が必要です。そのため、社内から資金を調達する、または外部から資金を調達する(銀行借入または外部資本の受け入れ)状況が発生します。
その折には、社内または社外に対して説明する「資料」が必要となります。資料を作成するにあたり、外してはならないポイントが存在します。
それは、資料のなかの数値が「なぜ、この数値となっているのか?」(根拠)を補充しておくことです。
説明ができない、すなわち相手方が理解するに苦しむ資料では、資金調達が成功することはありません。たとえば、市場規模の見通しについても同様です。
市場規模の見通し、算出方法については、1社(1名)から獲得できる総売上高と想定するターゲット者数(客数)を乗じるが基本です。
――――――――
【読み終えて】
リクルートの新規事業に携わった方の書下ろしです。理論に加えて、タイトルのとおり「実践」につながる視点・方法が記述されているのが魅力的です。
とくに、営業(アポイントの取得方法)の箇所は、営業が強いリクルート社ならでは・・・の視点が紹介されています。
新規事業に携わっている方、またはこれから新規事業を・・・という方には、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リクルートで新規事業を数多く手がけた経験のエッセンスが語られている。創業メンバーの選び方が類書にない本書の長所だと思う。
-
名著「起業の科学」の新規事業開発版とも言える本。
著者はリクルートで新規事業開発を担当してきた人。
※起業の科学
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4822259757#comment
冒頭は、「やっぱ「起業の科学」には敵わないかなぁ…」と
思いながら読んでいましたが、
途中から結構リアリティーのある実践的な内容になっていきました。
大企業で新規事業開発に配属された人は、
「起業の科学」と一緒に読むとより理解が深まってよいのではないかと思います。
「300回顧客のところに言って、仮説検証を繰り返す」は、
当たり前のようでなかなかできない。でも名言だと思います。 -
弊社でも二年前から始まった社内スタートアップ。
興味あるから毎度クソ企画書提出してるけど、全くお声がかからないのは当然のこと。
でも社内スタートアップって裏で何やってんだか全く分からん。
この前、弊社のスタートアップ審議会を聴講してきたけど、どうやら本業と同時に走っているようで。
社内起業を成功させるプロセスとは何かが本書で説明される。
「アイデアは無くてもいいから、顧客のところへ300回行け」
300回ヒアリングして、最初の企画からは全くかけ離れたものになってきても、それこそ洗練されてきている証拠なのだ。
新規事業の6つのステージを乗り越えた先、最後の社内会議を通すには。
実践論も詳しい。 -
リクルートで数多くの新事業を立ち上げただけに、内容は緻密で、具体的な内容が記されてた。
アイディアからへと醸成するプロセスがあまりにも多く、折れてしまいそうだが、想いが強ければ成し遂げてしまうんだろうなぁと思ったり。 -
新規事業立ち上げに必要なエッセンスが凝縮された良書。著者の圧倒的な経験を基にした、有用なフレームワークと知恵が詰まっている。これから新規事業立ち上げに取り組もうとしている身だが、何かあればまずはこの本に立ち戻ってみようと感じる。
-
最高の濃さ。
新規事業に携わる全ての人に読んで欲しい。 -
新規事業に関わる前に読むのではなく、一度実際に新規事業に携わってから読んだ方が理解が深まる1冊。
社内起業はハードルもあるけど、リスクの小さいチャレンジができるという環境でもあるし、サラリーマンという立場を最大限活かして社会貢献できる可能性があるという意味では非常に魅力的だなと思う。
VUCAの時代ではあるけど、新しいことにチャレンジし、価値を生み出していくことはいつの時代も必要だし、個人にとっての最高のポータブルスキルだという話は納得できる。 -
230210*読了
新規事業コンペが社内で立ち上がり、麻生さんの講演を聴き、その場で購入。
講演での熱量を受け取っているので、この本を読みながらも、それを話されていた麻生さんの様子が思い浮かびました。
起業にも漠然とした憧れはあり、この度会社に属しながら巡ってきたチャンスをぜひとも掴みたいと思っている。
ただ、知識もないし経験もない。
そんな中でビジネスモデルを調べてみたり、競合を探してみたりとやみくもに行動していたのですが、講演でも突きつけられた経験者からの現実。
すべては顧客ありきなのだと。
顧客との対話がすべてなのだと。
顧客課題とWILLがなければ新規事業の立ち上げは成功しない。
講演で学んだことの理解を深めれたのと、講演では新規事業立ち上げの入り口がテーマだったので、さらに先に起こり得ることと乗り越え方が学べたのと。この1冊をまさに教科書のようにして、コンペに挑みたいと思います。