フューチャー・ネーション:国家をアップデートせよ
- NewsPicksパブリッシング (2020年6月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910063089
作品紹介・あらすじ
「人類史上初のグローバル国家」建設は、理想主義者の寝言じゃない――。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団でいま最も活躍する若き幹部が、
膨大な知見を駆使して描く、
「ポスト・ナショナリズム世界」の圧倒的未来設計図!
「人類共通の課題解決のために読んでほしい。本書はアイデアの宝庫だ」
――ビル・ゲイツ
「 この本の目標は『グローバル国家』を建設すること。
そして“私たちはみな同じ集団の一員である"という神話を生み出すことだ。
日本のみなさん、一緒に神話を生み出そう」
——日本語版への特別寄稿「withコロナ時代を切り拓くフューチャー・ネーション」より
感想・レビュー・書評
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人類共通の課題解決のために、グローバル国家を形成しよう がメッセージ
移民の受容の内容があったが、違和感。大国を蹂躙し、世界史を変更してきたのは移民であって、著者のいうパワーではないかとおもう。
世界政府ではなく世界国家が目標
3つの主張
・グローバル国家は実現可能である
・反グローバリズムのうねりが高まっているのは、現在のグローバル・コミュニティの不公平さにある
・グローバリズムは魅力的でインクルーシブなビジョンを提供できる
気になったこと
・民族、地域のアイデンティティを残しながら、グローバル国家を作るのは可能
・国境をなくせば人口は60%増える。移民への反感は先進国だけの感情?
・タックスヘイブンに世界の富の8%が、隠されている。もっと富裕層へ負担を増やせ
・超大国の対応に無力感、ルールかそれともパワーか
・グローバル国家建設に検討すべき3つのケース
①アラブの歩み
②中国の歩み
③印パ分裂後のインド
<結論>
不完全ながら、同じ歴史と運命を共有しているという意識
さまざまな言語、宗教、国家に属する人々が、それぞれ固有の社会的絆に誇りを抱きつつ
一丸となって人類共通の課題に立ち向かおうとする連帯感
それが私たちの目指すべきフューチャー・ネーション(グローバル国家)の姿だ。
構成は以下です。
イントロダクション グローバリズムをアップデートせよ
第1章 グローバリストとナショナリスト
第2章 第1の原則:だれも排除しない
第3章 第2の原則:ミッションを定め、敵を見きわめる
第4章 第3の原則:国民国家を守る
第5章 第4の原則:移民の自由化にはこだわらない
第6章 第5の原則:勝者のタダ乗りを許さない
第7章 第6の原則:システムを支えるルールを公平に
第8章フューチャー・ネーションへ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
メタバース世界での国境の意味を考えるなどの内容かと思ったら、実は大きく違ってもっと真面目な本だった。
デジタル的な話ではなかった点で、逆の意味で興味を持ったという感じだ。
本書で課題としている話は「(リアル)国家は、今後どうなるのか?」ということだ。
我々日本人は島国という特性もあるし、使用言語も特殊なために「日本国家」そのものをイメージしやすい。
しかしながら世界を見渡せば「●●言語を喋るから、●●人」とは当然イコールにならない国も多数存在する。
「▲▲国で暮らすから、▲▲人種」ということも当然成り立たないケースがある。
日本ではあまり身近でないかもしれないが、「帰化」だってその一例だ。
外国籍の人であっても、もし「日本国籍」が取得出来れば、その人はそこから「日本人」ということになるのは理解できるだろう。
そういう状況で「国家とは何なのか?」「●●人とは何なのか?」を定義しない限り、「今後国家そのものがどうなっていくのか?」は問えないという訳である。
本書では各論としての答えを出す前に、「地球という一つの国家として考えることは出来ないのか?」についても論じている。
もちろん昨今のSDGsなども含めて、地球環境の改善は、世界が一つになって取り組むべき課題である。
今現在も続くコロナウイルスによるパンデミックに対峙することも、世界が一つになって取り組むべき課題である。
そう考えてみると、自国の利益を優先するのではなく、あくまでも地球全体の一員として考えた方がよさそうだ。
これは当然に理解できる。
地球は一つだし、我々が暮らす上では運命共同体な訳だ。
かつてよく聞かれた言葉で「宇宙船地球号」と言う表現があるが、本質をついていると思う。
心の底では理解しているのに、そう単純にいかないのが人間というものか。
ここ数年間は、世界はナショナリズムに振れていた。
世界の平和は願うけど、自分自身が犠牲になってまで行う必要があるかとという考えだ。
トランプ政権誕生しかり、ブレグジットしかり。
北朝鮮は核開発をし続け、中国は世界を牛耳ろうと画策している。
2022年の現在は、ロシアがウクライナに侵攻し戦争まで起こってしまった。
ナショナリズムの人々も、論理展開的には「我々の正義が世界を平和にするのだ。他人に任せてはならない」という感じだろう。
そういう意味では、世界平和については考えているのかもしれない。
ただしこれら主義主張をそのまま受け入れることは出来ないし、今後一つにまとめ上げることも出来ないだろう。
そういう中で地球環境は日々悪化している。
どうやって国家という概念を今後アップデートしていけばよいのか。
理想だけで一つの地球・一つの国家を作れるのかは個人的には大きく疑問に思う。
本書では指摘が無かったが、今後メタバースなどバーチャルな世界が普通になっていったらこういう「国家という概念」もどう変わっていくのだろうか。
個人的にはそちらの方がすごく興味がある。
バーチャル世界は国境もなければ人種の差もない。
貨幣すらバーチャル世界の中で、そのルールの中だけで完結したら、ドルも円も意味が無いかもしれない。
今はバーチャル世界がどうやって進化していくのか分からない部分が多いのだが、数十年後はどうだろうか。
そんな遠くない未来でもバーチャル世界が一般化していそうな気がする。
我々中高年は今までのリアル世界が居心地良くて、バーチャル世界の良さが理解出来ないかもしれない。
しかし、生まれた時からバーチャル世界が存在している世代がこれから誕生していく中で、話はそんなに単純とはどうしても思えない。
子供が赤ちゃんの時、両親が子育てする中で、ちょっと「バーチャル世界で遊んでいてもらう」が当然出てくるだろう。
そんな長時間でなくても、夕食を作る30分とか1時間とかそういうレベルだ。
今でもテレビを見させたり、お気に入りのビデオを見させて、その内に親が洗濯物をやるなんてことがある。
そのテレビやビデオが「バーチャル世界」に変わるだけだ。
そうなった時に子供に、リアル世界とバーチャル世界の区別はつくのだろうか?
クリスマスにサンタが存在しない事を知ったのは何歳だっただろうか。
そういうような感覚で、バーチャル世界のファンタジーと、リアル世界の差に気が付くのは何歳くらいなのだろうか。
生まれた時からバーチャル世界で生きた世代がその後大人になった時、それこそ「国家」という認識はどうなっていくのだろうか。
私は寧ろそちらの方が気にかかる。
もしかするとリアル世界の「フューチャー・ネーション」を解決するのは、バーチャル世界世代の人達なのかもしれない。
そういう考え方はないだろうか。本書を読みながらもそんなことを想像してしまった。
(2022/8/21) -
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東2法経図・6F開架:KW/2020//K