- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784910132075
作品紹介・あらすじ
本書は、現代韓国語の形式名詞「것geos」及び「것geos」諸形式をスコープ機能の観点を導入し、連体形語尾との関連からその意味・機能を論証したものである。また、韓国語の形式名詞「것geos」の意味・機能の拡張を文法化の観点から考察し、さらに、日本語の形式名詞と比較対照を行い、言語学における韓国語の形式名詞「것geos」の位置づけを包括的に論じた。韓国語の形式名詞「것geos」が前後の形式と結びついて新たな複合的要素を生み出す点、そして節を名詞化する機能を通じて新たな機能を獲得していく点で日本語の形式名詞、中でも「の」との共通点を見せるものの、日本語にはない韓国語の連体形語尾の形式の対立によって「것geos」の変遷が日本語と異なる様相を見せていることを指摘した。文法化がしにくいとされる韓国語の中にあって、「것geos」の諸形式は文法化のそれぞれの段階が見て取れる貴重な事例であると言え、その文法化は進行中である。
本書で得られた成果は今後の韓国語学にとどまらず、日韓両言語における形式名詞の比較研究に寄与できれば幸いである。
[ 目次 ]
第1章 序論
第2章 本稿の考察対象に関する共通知識
第3章 従属節における「것geos」の機能
第4章 スコープ機能の「것이다 geos-ida」
第5章 モダリティ機能の「것이다 geos-ida」
第6章 終結語尾の「-ㄴ걸 n-geol」「-ㄹ걸 l-geol」「-ㄹ게 l-ge」
第7章 形式名詞「것geos」の言語学的位置づけ
第8章 結論