補陀落ばしり物語

  • ぷねうま舎
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784910154015

作品紹介・あらすじ

 時は江戸宝永年間、富士山大噴火と大地震の巷から船出した三度の渡海の物語──西方浄土に向けて、僧を小舟に閉じ込め、熊野灘の荒海に流す、世に名高い補陀落渡海顚末。

 果たしてそれは、大破局の地獄絵から衆生を救う捨て身の行たりえたのか。親殺しの汚名と、裏切りと、人肉食の破戒……俗世の底の底をうごめくものたちが、渡海のはての仮死の境で目にしたものとは。

 生きとし生けるもの、ことごとくに仏性が具わる。世間知を破り、人間の条件すら踏み抜いたとき、そこに光と呼び声が……。

 小説・破局をくぐる信と愛と光と。



「あとがき」より

 私は、 ……古代・中世の補陀落渡りを、元禄末・宝永期のこととして、この物語を書いた。市井の人々の生命と信仰とが、そこ に凝縮していると考えたからである。この時期には、小田原城が倒壊した元禄大地震、四国・近畿に大被害を及ぼした宝永大地震、さらに富士山噴火と、天変地異が続いた。未曾有の大災害のさなか、信仰心を持ち続け、煩悶しながら生きた人々が、この物語の主人公である。

著者プロフィール

1952年、長野県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。西鶴などの江戸時代文学を専門とする。主な研究書・注釈書に『西鶴と元禄メディア その戦略と展開』(NHKブックス、1994年/笠間書院、2011年新版)、『初期浮世草子の展開』(若草書房、1996年)、『西鶴と元禄文芸』(若草書房、2003年)、『都の錦集』(国書刊行会、1989年)、『世間子息気質・世間娘容気』(社会思想社、1990年)、『八文字屋本全集』(共編、汲古書院、1992〜2013年)、『浮世祝言揃』(太平書屋、2010年)など。小説に『廓の与右衛門 控え帳』(2007年、第8回小学館文庫小説賞受賞)、『はぐれ雀』(小学館、2014年)。

「2023年 『西鶴『誹諧独吟一日千句』研究と註解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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