仕事の喜びと哀しみ (K-BOOK PASS 1)

  • クオン
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感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910214153

作品紹介・あらすじ

決して安寧ではない現実に向き合いながらも、本書に描かれる人々の目線や行動はどこか軽やかだ。日々の労働、生活、誰かとの関わりを静かに、生々しく、辛辣にユーモラスに優しく描くチャン・リュジンと出会えて幸福に思う。
――小山田浩子(小説家)

表題作「仕事の喜びと哀しみ」がチャンビ新人小説賞を受賞し、ネットに公開されるとたちまち読者の共感をよび40万ビューを記録。
2020年11月には韓国KBSでドラマ化もされています。

本書にはこの表題作をはじめ、ミレニアル世代の著者が同世代の人々を主人公に描いた8篇を収録。
2020年「書店員が選ぶ今年の本」小説部門に輝いた話題の短編集を、新たな文学シリーズ「K-BOOK PASS」からお届けします。

大型新人の話題作に、作家たちから次々と賞賛の声!
――喜びと哀しみのあいだにある幾重もの名もなき感情が、世界の硬い表面にぶつかってぐらりと微妙に揺れる一瞬一瞬を、作家チャン・リュジンは素早く繊細に捉えてみせた。
チョン・イヒョン 

――チャン・リュジンが捉えた物語は まさに今、私たちの時代の物語だ。
ピョン・ヘヨン

――小説の最後のページをめくったとき、私の心の中に冷たくも甘い痕跡が刻まれたことに気づいた。そんなことをやってのける小説はめったにない。
パク・サンヨン

感想・レビュー・書評

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  • 最近読んだ日本の小説で
    こんなにも仕事に突っ込んだ
    話ってあったっけな
    見事に今の空気を
    切り取った作品たち
    結末は決してスカッと爽快
    というわけではないのに
    明るさと気持ちの良さを感じる
    「少なく働いて
     多く稼いでくださいね」
    という韓国ミレニアム世代の
    挨拶が載っていて
    これがすごく気に入った

  • ミレニアル世代が主人公の、仕事にまつわる短編。
    『幸せになります』、『仕事の喜びと哀しみ』、『俺の福岡ガイド』、『やや低い』、『助けの手』、『101回目の履歴書と初めての出勤』、『真夜中の訪問者たち』、『タンペレ空港』の8篇。

    ちょっとずれているおねえさん(おんに)ってきっとどこにでもいるんだろうな、と皆が誰がを想像した『幸せになります』。
    いや、この会社のスクラム導入したけど、全然スクラムにならずむしろ時間がかかる感じ、よくありすぎて。ニックネーム呼称とか、アメリカの表面だけ輸入するのやめてほしいよね、と共感ばかりの表題作『仕事の喜びと哀しみ』。
    『助けの手』、と『101回目の履歴書と初めての出勤』は自分のこと書いているのかと思った。

    同世代の感覚で、軽やに、だけどしっかりと芯があって。こういうものが読むことができて幸せ。レビューが少ないのが残念。装丁のとってもかわいい。

  • 女性が生きていくなかでちょっと引っかかる息苦しさ見たいのを切り抜くのが上手いなと思った。訳もすごく上手いんだろうと思う。
    こんなにも日本と韓国の生きづらさで共感できると思ってなくてびっくりした。

    小説のテーマとは全く関係ないけど、どちらの国もお互いもっと分かり合える素地があると強く感じた。

  • 著者は10年ほど会社員をしてのち作家になったひと
    現代韓国の若者のこころをみるような短編集
    厳しい現実をそれぞれが生きてゆくのだが結末は甘くはないが不思議の爽やかさがある

  • 著者は1986年生まれと比較的若い方。

    そのため著者自身も経験してきたからか、この本は近年の韓国の就職事情や仕事の厳しさと、それに直面にしている若者たちの苦悩や葛藤ががとても生々しく描かれている。

    良い企業に就職するために、誰よりも頑張ってきたと自負する「幸せになります」の主人公や、よりよい会社への就職を目指すために働きながらキャリアアップを目指すような「101回目の履歴書と初めての出勤」や「タンペレ空港」などの主人公たち。

    幸せになりますでは、会社でも頑張ってそして会社からそれを認められていても男性とは年収格差があることからも韓国の格差社会を表している。

    でもそんな苦悩の中でも喜びを感じる瞬間はある。

    世間知らずといえるような人と関わり合い、嫌味のつもりで送ったつもりのプレゼントももらった本人はそんなことは気づかず、本心で感謝するのをみてちょっと恥ずかしくなる瞬間。そしてその人の幸せを自然と思っている瞬間。(幸せになります)

    会社で理不尽なあったことがあったとしても結局は世界は変わらないし続くということに気づくとき。(仕事の喜びと哀しみ)

    仕事をしている中押さえ込んでいた自分の中での未練がやっと解消した。(タンペレ空港)

    新しい会社への初出勤とその会社への希望など。(101回目の履歴書と初めての出勤)

    他には、

    「俺の福岡ガイド」では、驕りを描いている。
    自身でも認めるくらい女性との付き合いは欠かさないしことから自信もある主人公が、ヒロインへも今までの女性へのアプローチでいけるだろうと高を括る。そして失敗。

    ヒロインとは知り合ってから長いのに、ほんの一瞬たりともつまらないと思ったことはないと主人公が感じたのは彼女自身が努めてそういう関係を築こうしていたからであって、自然となったものではないと知り、愕然とする主人公。

    ヒロインが「思うに、人間って年をとれば取るほど自分が見たいものだけを見て、聞きたいものだけを聞いているのかもしれないわね」といったときは相手に合わせて返事をしただけでその裏にある意味を感じ取れなかったのだろう。

    「やや低い」では自分のやりたいことと、それでお金を稼ぐことができないことの葛藤が描かれている。
    主人公は男性で草食系とでもいえるような感じ。遊び半分で作った曲は動画配信サイトでたまたまはやり有名になり、デビューの話までも持ちかけられる。しかし主人公はこれはたまたまで自分のやりたい曲ではないし、がんばるのも嫌だし、成功したいとも思わないとその話を断る。

    そのせいで恋人が離れていったり、真にお金が必要になったときに以前あったデビューの話を頼ろうとしても「ほんとにタイミングをつかめんやつだな」と言われ断られる。

    そして最後は何も残らない。それは結局の所本人の怠慢のせいなのだけれど。

    今の時代、物や情報が溢れ、また流行り廃りなんて一瞬でくる。
    そんな中で優柔不断でいるといざと言う時に動けなくなるよ、そんなことを作品を通していっているような気がした。

    「助けの手」では、人間の奥底にある憎悪や愛情などの本能そのままを表現したかのような「母なる証明」という韓国映画を見た時に感じたような、背筋がぞっとするような恐怖を覚えた。

    家政婦サービスを頼んだがいいがその仕事が気になって心が落ち着かない主人公と、仕事ぶりからその主人公の心にかなって専属になった4人目にきた家政婦のおばさん。

    おばさんに払う給料は結局は同じだと言うことでサービス会社を解さずに専属契約を結んだ主人公

    最初のうちはきちんとしていたが段々とその仕事が杜撰になっていく。
    しかし、それはおばさんにも事情があるのだと自分に言い聞かせ認める主人公。

    そして最後におばさんの仕事ぶりを見かねて解雇しようとした日に、タイミングよく(悪く)突然おばさんからのもうこられなくなったという宣言とサービス会社への年会費を払うようにという言伝。

    年会費が高いと感じ払わなかったために、サービス会社への苦情もいえず泣き寝入りしてしまったであろう主人公。

    おそらく、おばさんはおばさんが「私がここに固定で来るようになったこと、業者に話した?」と主人公に聞き主人公がサービス会社への加入をしないことを聞いた時から仕事を段々と手を抜いていこうと決めていたのだろうと思った。
    苦情を入れようとしても、その契約は主人公とおばさんとの間だけの契約だからその時点で会社への苦情はできないのだから。

    そして辞めるタイミングも考えて相手の顔色を伺っていたのだろう。そうでなければあんなタイミング良くで辞めるとは言えない。

    このおばさんの狡猾さと、またこのような会社を通さない契約がきたらこのおばさんはまたやりかねないだろうと考えたら私は上記にあるように背筋がぞっとした。

    「真夜中の訪問者たち」だけは自分は風俗というものに縁がないからか理解ができなかった。

    結末だけをみるとホラーっぽいのだけどそれほど怖くもないのでホラーでもないのかな?と思ったり。

    この中で一番を決めるなら自分は「タンペレ空港」を推します。

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