ありか

  • 水鈴社 (2025年4月18日発売)
4.34
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感想 : 28
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  • 本 ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910576039

作品紹介・あらすじ

愛はここにある。
幸せはここにいる。

「これまでの私の人生を全部込めたと言い切れる作品を描きました」
――瀬尾まいこ

母親との関係に悩みながらも、一人娘のひかりを慈しみ育てる、シングルマザーの美空。
義弟で同性のことが好きな颯斗は、兄と美空が離婚した後も、何かと二人の世話を焼こうとするがーー。

「子育てをしながら自分が受けた恩を思い知って、親に感謝していくのだと思っていた。それが親になった途端、さっぱりわからなくなった。この日々のどこに恩を感じさせるべきところがあるのだろう」
(本文より)

本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』、ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待&日本アカデミー賞優秀作品賞原作『夜明けのすべて』など、人々のかけがえのない関係性を紡ぎ続けた瀬尾まいこが描く、あなたの小さな、でも確かな支えとなる感動の物語!

大丈夫、忘れているだけ、見えていないだけ。 柔らかく折り重なった言葉が語りかけてくる。 そう、希望の鳥はすぐそばにいる。
――津田健次郎(声優・俳優)

今、部屋で一人涙をこらえるあなたに読んでほしい。
しんどい人生をそっと優しく肯定してくれる傑作です!
――三宅香帆(文芸評論家)

感想・レビュー・書評

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  • シングルマザーである主人公が子育てに奮闘する様を描いた本作。主人公が愛情いっぱいに子どもと向き合う姿に、瀬尾さん作品らしい温かみを感じました。

    本作は日常描写がとても多く、子どもとの触れ合いに癒される一方で、主人公の母や旦那さんの弟、会社の人などとの関わりが随所に描かれており、そこでは「母親」の心配や苦労なんかが描かれておりました。

    個人的に良かったなと感じたのは、主人公の「母親」との関係性です。シングルマザーという同じ境遇で主人公を育ててくれた母と言動が対比されて描かれており、そこに母としての多様性を認めるような描写が見られたのが良かったです。

    本作を読んで、「理想の母親像」を持つのも考えものだなと感じました。人によっては子育てを辛く感じることもあるということを本作で言及されており、時には1人で抱え込まず人に頼って欲しいという願いがこもった作品であると感じました。

  • 瀬尾まいこさんが描くシングルマザー美空と娘のひかり、義弟の颯斗を中心とした物語。
    血のつながりと相手を思いやれるかどうかは関係ない。適度な距離感を保ちつつさりげない心遣いができるママ友やパート仲間に感動した。こういうことが自然にできる人たちもまたどこかで辛い経験をしたり、少なくとも辛い思いをしている人の立場を想像できるようになる経験があったのではないかと思う。一人じゃないとわかるだけでどれだけ救われるのかということ、そして、遠慮せず頼れる人を頼ること(自分に余裕がある時には遠慮せず辛い人へ手を差し伸べること)の大切さが描かれていた。

  • もし小数点があったら、4.2

    そして、バトンは以来の瀬尾さん。
    久しぶりで懐かしさを感じながら、前半は登場人物の動きに結構「?」が連続した。
    決して、伏線とかじゃなく、内容の批判でもなく、「えっ、なぜ」と感じただけだ。
    でも、読み終わると、その「?」もなくなった。

    小説というより人の日記を見てるようだった。

  • 辛くも優しいお話だった。自分の在りか、家族の在りか。
    なんといっても「ひかりちゃん」が、可愛くて可愛くてならなくて。ひかりちゃんの佇まいや言葉、笑顔が読んでいる私までもを癒してくれた。
    笑っていたら、頑張れる
    なんて素敵なんだろう。
    心に滓のある颯斗くんも力ずけていくひかりちゃん。
    そんなひかりちゃんにした、ママ(美空さん)はとびっきりだ。
    母娘、お互いがとびっきりの在りかだ。そして、颯斗くんも在りかだ。
    生まれた時にキラキラ光が見えたから「ひかり」にした、美空さん
    生まれた時に美しい空だったから「美空」にした美空のお母さん。
    愛情は時にいびつではあるけど。
    かけがえのないものはかけがえがないのだ。
    改めて、親子、家族、自分に関わってるみんなに感謝したくなる物語だった
    だからこそ大切にしなきゃ

  • 子供の世界はいつでもキラキラしていて、その世界に触れられる嬉しさと愛おしさで胸がいっぱいになる。
    一方で、どうして自分はこんな子供時代を送れなかったんだろうと、主人公の美空と一緒になって、子供の自分がもらえなかったもの、足りないと感じていたものを思い出してしまう。
    でも、そのわだかまりに囚われていては、そばにある幸せや愛情を見過ごしてしまうのかも。

    瀬尾まいこさんが「これまでの私の人生をすべて込めた」と仰る作品。
    自分の生きてきた道のりを振り返らずにはいられませんでした。
    今持っているものの尊さを再確認して前を向けるような、素敵な物語です!

  • 人はみんな自分のありどころを探しながら生きている。
    家族や友人、仕事においても、自分の居場所や存在意義を無意識に求めている。
    しかし、誰であっても、その人の「ありか」は、気づかぬうちにちゃんとあり、愛してくれる人が必ずいて、一人ひとりがかけがえのない存在なんだと教えてくれる物語でした。


  • 瀬尾まいこさんの集大成の作品との事母子家庭の美空一人娘のひかりとの関係がすごい筆致で描かれています。なんと離婚した夫の義弟、義母、の親密な関係が信じられない普通別れた夫の実家とは縁がないと思いきや、娘ひかりと義弟颯斗との深い関係に感動しっぱなしでした。
    保育園のママ友との関係がすごい。これまで読んだ瀬尾作品の中で傑作中の傑作だと思いました。あなたもぜひ読んで震えて下さい。感動して下さい。それとあとひかりの成長が知りたいので続編を期待します。

  • 瀬尾まいこさんだ!
    うれしくなって本屋さんのレジへ

    とても高評価
    瀬尾まいこの集大成とある

    だけど、私はそんなに共感できなかった
    もちろん子育てのあの愛おしい時間
    そして母からもらったあふれる愛
    様々なシーンをなつかしく思い出したけれど

    ≪愛はここにある。
    幸せはここにいる。≫

    シングルマザーの子育て
    母と娘
    義弟

    返さなくっていいのよ
    親の恩なんて

    ≪ しあわせも 愛も ここなの そのありか ≫

  • 過去に囚われるのではなく、今の幸せを感じて生きて行くことがいかに大切か。周りの人に助けられながら日々を過ごしていく、優しく温かいシングルマザーと娘の物語。
    やっぱり瀬尾まいこさんの作品が好きだ。


  • シングルマザー、毒親、同姓愛者への偏見など現代の問題に直結する凄く考えさせられる物語でした。
    血の繋がり以上に大切なもの。
    自分にとっての一番とはなんなのか。

    辛い現実がありつつも子どもという存在の大きさを実感させられましたし、なによりも大切な自分の子どもを最後に守りきった主人公はすごくかっこよかったです。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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